働くママのウェブマガジン

Column イラストエッセイ

山本祐布子の「子どものいる風景」当時の記憶が鮮明によみがえる。娘たちを描いた絵

2016.12.18

Vol.12 なにをしても可愛いよ

長女が生まれてから、ふとこの子の絵を描いてみよう、そう思って以来、心に残った娘たちの姿を、絵の中に閉じ込める作業を続けています。

はじめは、まだベッドに寝転んでいるころの娘に可愛い服を着せた時、コーディネートの参考になんて感覚で描いていましたが、ある日から、ちょっとした表情、しぐさ、そんなことからはじまり、動き出してからはもう、目が離せなくなりました。カメラマンで言うところの「シャッターチャンス」がいっぱいで、描くのが追いつかないほどです。

見ながら描くひまはありません。なので、いつも、頭の記憶にとどめておき、時間のある時に思い出しながら、その姿を紙に描きます。

次女が生まれてからしばらくは気持ちに余裕がなく、絵を描く時間が取れずに悔しい思いをしました。

それでも、どうにかほそぼそと続けて、今ではだいぶたくさんの数の娘たちの姿が絵に残っています。それは写真とは全く違って情報量も少ないはずなのに、当時の記憶が鮮明に、そのシンプルな画面の中に閉じ込められているのです。

いっぽう子どもたちも、私が自分たちの絵を描いているとなんだか嬉しそうで、見せてあげるととても喜びます。これはいついつの、こういう時だよね!と、自分でも思い出して楽しそうにしていたり、可愛いーなどと、不思議な自画自賛をしていたりします。

「我が子は目に入れてもいたくない」という例えは本当で、私自身は、なにをしていても、なにをされても、ああ、可愛いなあ。と思ってしまいます。あれも描きたい、これも描きたい、という気持ちが先行して、なかなか少しづつしか描けないのが、はがゆい限り。

長女は冷静に「じゃあ、これ絵に描けば?」

ある日、いつものように二人の喧嘩がはじまります。ストーブの前のあったかいところを独り占めしたいがために、足を相手の上にのせたり、はたまた追い出してみようとしたり、もう、なんだかもう、もみくちゃのご様子。

本人たちは本気です。叫びながら半泣きでお互いにお互いを罵り合っています。

それを見ている私には、可笑しい姿そのもの。

「ああ、可愛いなあ」

と私がもらすと、すかさず長女が冷静に言います。

「じゃあ、これ絵に描けば?」

ですって!!

ここでは、仲良しのところを残しておきましょう。

机の下の秘密基地。

将来、あなたたちにも見てもらいたいな。

mm-profile-yamamoto

山本 祐布子(やまもと・ゆうこ)

イラストレーター。切り絵作品、ドローイング作品を中心に、雑誌、装丁はもちろん広告・エディトリアル・プロダクトと、ジャンルを超えた活動を行う。ブログやインスタグラムでは、2人の娘たちの姿や、日々の小さな出来事等を綴っている。夫の蒸留家修行を見守るため、2015年にドイツ滞在。現在は千葉在住。

yukoyamamoto.jp instagram.com/funnnyup