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Column あの人に聞きました

保育園義務教育化ママの気持ちを代弁する、古市憲寿さんの言葉【保育園義務教育化・総集編1】

2017.05.01

昨年秋に始まった、社会学者・古市憲寿さんの著書『保育園義務教育化』の本文を少しずつ公開していくという連載がついに最終回を迎えました。

全30回、どれもが印象深い内容でした。今回は総集編として、特にこの連載のポイントとなった言葉をまとめてご紹介します。

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電車にベビーカーで乗れば白い目で見られる。新幹線や飛行機で子どもが泣くと嫌がられる。仕事を頑張ると「子どもがかわいそう」と言われる。小さな子どもを預けて旅行にでも行ったものなら鬼畜扱いを受ける。「電車に乗る」ことも、「仕事を頑張る」ことも、「旅行をする」ことも、多くの人が権利だと意識することもなく、当たり前にしていることだ。それなのに、「お母さん」が同じことをすると社会の反応はまるで変わる。

連載初回でのこのフレーズ。読者のみなさんからの反響が最も大きかった部分です。「お母さん」になったとたんに感じた違和感はこれだった!とハッとさせられたママも多かったのではないでしょうか。

高額な出産・育児費用。なかなか見つからない保育園。不足している育児支援の仕組み。子育てのしにくい労働環境。「お母さん」に対して異様に厳しい社会の目線……。子どもを減らしたい国の政策だったら、惚れ惚れしちゃうくらいに完璧だ。

日本は少子化で、子どもを増やしたいはずなのに、現実には日本で子どもを生み育てることはとても大変。「子育てに疲弊している親は僕の知人だけでも数え切れない。」と古市さん。

実際、数多くの育児ノウハウはあふれているのに、子どもを産んだ「お母さん」の身体に対して日本はあまりにも無頓着だ。
お腹の大きい妊婦さんのことは周囲もすごく大事にするくせに、赤ちゃんが産まれた途端、みんなそっちに夢中。赤ちゃんを産んだ「お母さん」のことにまで目がいかなくなってしまうのだ。

出産後の体はダメージでボロボロ。でも、里帰りができず、周囲のサポートがないママは、ゆっくり休むこともできないまま、いっときも気が休まることのない、孤独でつらい子育ての日々に突入します。

お母さんは子育ての「プロ」ではない。特に一人目の育児に関しては完全な「素人」。
そんな素人に対して、世間はやたら「きちんと育児しろ」というプレッシャーばかりをかける。そこで自分の親や夫や保育士さんや、きちんと相談相手がいる人はいい。だけど、そうじゃないお母さんは、不安ばかりを抱えることになるだろう。

素人のママが、いきなり赤ちゃんという命を24時間預かる。それだけでも不安でいっぱいなのに、「きちんと育児しろ」というプレッシャーまでかけられるのは本当につらいことです。

そもそもなぜ「お母さん」は減点法で評価されないといけないのだろう。
これが「お父さん」だったらどうだろう。ちょっと育児休暇を取っただけの人が「イクメン」と呼ばれるように、「お父さん」はほんの少しでも育児に関わっただけで褒められる傾向にある。

お母さんは減点法、と言われるとたしかにそうですね。お父さんは家事も育児もすぐにほめてもらえる。だからこそ、ママの不満がついパパに向かってしまうのかもしれません。

日本のお母さんたちを取り巻く状況を分析し、気持ちを代弁してくれた古市さんの言葉にたくさんの読者が励まされました。

連載後半では、この本のメインテーマとなる、なぜ保育園を「義務教育化」したらいいと考えるのか、についてまとめられています。そこにもハッとさせられる言葉がたくさんありました。
次回は、この「保育園義務教育化」について反響の大きかった言葉をピックアップします。

「保育園義務教育化」連載終了記念で、古市憲寿さんのスペシャル対談イベントが決定しました!

ずっと愛読してくださった読者のみなさんに感謝の気持ちを込めた、スペシャル対談イベントが開催されます。

対談のお相手は、「保育園義務教育化」にも登場している、産婦人科医・宋美玄先生です。

〇日程:5月28日(日曜日)
10時半受付開始/11時開始/12時終了予定
〇場所:「Startup Hub Tokyo」https://startuphub.tokyo/
〇応募締切:5月14日(日曜日)


応募はこちらから!
http://hanakomama.jp/enquete/26224/

いま、あらためて読みたい!
連載第1回目「女性が「お母さん」になった途端に、できなくなること」

「保育園義務教育化」連載一覧

古市憲寿(ふるいち・のりとし)

1985年東京都生まれ。社会学者。若者の生態を的確に描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)などで注目される。日本学術振興会「育志賞」受賞。著書『保育園義務教育化』(小学館)では、女性が置かれた理不尽な状況を描き、その解決策を示す。共著に『国家がよみがえるとき』(マガジンハウス)などがある。

この連載について
こちらの連載は、古市憲寿さんのご厚意により、書籍『保育園義務教育化』(小学館)の本文より、約8割ほどの内容を、順次Hanakoママウェブに公開していく、という企画です。古市さんの「この問題をできるだけ多くの人に、自分の問題として意識してもらいたい」という強い思いによって実現したものです。第2章からは、週に1回更新します。共感したかたはぜひ、家族や友人とシェアしてくださいね。
古市さんのインタビューはこちらから