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Column あの人に聞きました

保育園義務教育化読めば納得。古市憲寿さんが考える、保育園の「これから」【保育園義務教育化・総集編2】

2017.05.06

昨年秋に始まった、社会学者・古市憲寿さんの著書『保育園義務教育化』の本文を少しずつ公開していくという連載がついに最終回を迎えました。

今回は総集編の第2回目。連載のなかでも反響の大きかった言葉をあらためてご紹介します。

前回は、お母さんがどれだけ大変かという気持ちに寄り添う古市さんの言葉をまとめましたが、今回は、この本のメインテーマである「保育園義務教育化」について。

小さな子どもたちに「義務教育」なんて、行き過ぎでしょうか? まずは読んでみてください。

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学校で身につけるのは「学力」だけではないということだ。子どもたちは、先生や同級生との交流の中で「非認知能力」を身につける。そしてそれが、「人生の成功」につながっていくのだ。
実は保育園や学校に行く意味は「学力」以上に、この「非認知能力」を磨くことにある。

連載の後半、何度もでてくる「非認知能力」という言葉。この能力が高いと、人生に成功する確率が高くなるのだそう。いわゆる英才教育を受けても身につかない、というその力。カギは「保育園」にあるというのです。

アメリカでは様々な実験が行われてきたが、その多くが「良質な保育園に行った子どもは、人生の成功者になる可能性が高い」といった結果を示している。
それは、赤ちゃんに対して数学や英語などの英才教育を施せばいいという話ではない。
良質な保育園に通った子どもたちは、そこで「非認知能力」なるものを身につけていたのだ。
「非認知能力」とは、意欲や忍耐力、自制心、想像力といった広い意味で、生きていくために必要な力のことである。

「非認知能力」は、生きていくために必要な力。それは、子どもたちの「集団」のなかで育まれる力。お友だちと遊んだりけんかしたり、大勢の大人とかかわることで身につく力。子どもに「非認知能力」を獲得させたいのなら、保育園や幼稚園に通わせることが一番シンプルな方法なのです。

保育園などの就学前教育を充実させたほうが、社会全体がトクをすることになる。なぜなら、この章でみてきた通り、いい保育園に通った子どもたちは、大人になってから失業率や犯罪率が低く、生活保護を受給する割合も低いからだ。つまり、質の高い乳幼児教育を全ての子どもに受けさせることができれば、日本全体の犯罪率が減ったり、失業保険や生活保護受給者が減るのだ。

いい保育園に通えば、将来的に成功する可能性が高くなる。そんな子どもが増えていけば、社会全体のレベルが上がる。その結果、日本全体の犯罪率が減ったり、失業保険や生活保護受給者が減る。将来の日本の社会にとってもいい保育園に通わせることは、メリットばかりといえそう。


子どもを小学校や中学校に行かせることに、「賛沢だ」とか「子どもがかわいそう」と言う人はいない。なぜならそれが「義務教育」であり、「行くことが当たり前」だからだ。
「保育園」も「義務教育」とすれば、「国が言うから仕方なく保育園に行かせている」という言い訳を誰もが堂々と使うことができる。

「義務教育」としてしまえば、「保育園に通わせる」ことは、贅沢なことでもかわいそうなことでもなくなる。何より、待機児童の問題がこれで解消されるのです。

全体の記事を読めばもっと詳しく理解できると思いますが、ここに挙げた一部を読むだけでも、「保育園義務教育化」という考え方に希望が感じられるのではないでしょうか。

総集編、次回は編集部に寄せられた読者のコメントをご紹介します。

「保育園義務教育化」連載終了記念で、古市憲寿さんのスペシャル対談イベントが決定しました!

ずっと愛読してくださった読者のみなさんに感謝の気持ちを込めた、スペシャル対談イベントが開催されます。

対談のお相手は、「保育園義務教育化」にも登場している、産婦人科医・宋美玄先生です。

〇日程:5月28日(日曜日)
10時半受付開始/11時開始/12時終了予定
〇場所:「Startup Hub Tokyo」https://startuphub.tokyo/
〇応募締切:5月14日(日曜日)

応募はこちらから!
http://hanakomama.jp/enquete/26224/

いま、あらためて読みたい!
連載第1回目「女性が「お母さん」になった途端に、できなくなること」

「保育園義務教育化」連載一覧

古市憲寿(ふるいち・のりとし)

1985年東京都生まれ。社会学者。若者の生態を的確に描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)などで注目される。日本学術振興会「育志賞」受賞。著書『保育園義務教育化』(小学館)では、女性が置かれた理不尽な状況を描き、その解決策を示す。共著に『国家がよみがえるとき』(マガジンハウス)などがある。

この連載について
こちらの連載は、古市憲寿さんのご厚意により、書籍『保育園義務教育化』(小学館)の本文より、約8割ほどの内容を、順次Hanakoママウェブに公開していく、という企画です。古市さんの「この問題をできるだけ多くの人に、自分の問題として意識してもらいたい」という強い思いによって実現したものです。第2章からは、週に1回更新します。共感したかたはぜひ、家族や友人とシェアしてくださいね。
古市さんのインタビューはこちらから