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藤田あみいの「懺悔日記」・3涙が出そう。すべての時間が赤ちゃんまみれ【懺悔日記・3】

2017.02.10

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第3回・子供をみるということ

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2014年2月3日 

娘のてーたんを産んでもうすぐ2ヶ月。父も母も北海道に帰ってしまった。頼れるのは、3歳下の妹、ナタリー。ナタリーは、3ヶ月後には婚約者と暮らすために静岡に引越しをする。それまでの間、家なき子なので我が家で一緒に暮らすことになった。

ナタリーの存在は本当にありがたい。昼間は仕事をしているが、たぶん、夕方にナタリーが帰ってこなかったら、私は子供がいるのに孤独死している可能性が高い。いくらかわいいとはいえ、まだ本当に謎の生き物であることに変わりはないてーたん。どうしていいかわからない時、ナタリーがそばにいてくれると一気に不安がふっとぶ。

ふたりで色々と試行錯誤して、てーたんをあやす。私たちはよく笑って、よく感動している。てーたんの一挙一動にいろいろなことを学んだ。「ナタリー、てーたん今笑ったよね?」「うん、笑った。」「でもこれは生理的微笑っていうんだよ」「へえ、なにそれ」「本当に笑ったわけじゃないんだよ、生理的に、なるの」「ふうん」。

そんな風に話をしながら、子育て経験ゼロのふたりだけで一生懸命子育てをした。今日は節分。てーたんを抱っこしながら、ナタリーと豆まきをした。てーたんは不思議そうな顔で見ていた。恵方巻きも食べたし、節分はばっちりOKだ。

2014年2月6日 

てーたん、2ヶ月になった。おめでとう。今の所順調だと思われる。今日は予防接種に行った。予防接種、2回・3回と受けないといけないらしく、時期まで決められていて、種類も多い。忘れないでいられるだろうか。注射されたら当然泣いていた。よしよし。頑張ろうね。

いつだったか国境なき医師団の医師の方の記事をネットで読んだ。いわゆる発展途上国ではいろんな子が生まれて、そして簡単に死んでいく。でも命の重さはどの国、どの人でも一緒なのだ。
子どもが死んでしまうその直前、もだえ苦しむ様をお母さんやその他の家族は見たくないと感じてしまうらしい。当然のことだ。愛するわが子の苦しむところは誰だって見たくない。だけど医師は言う。この死に際こそ、この子が一番がんばっている姿なのだと。だから見ていてあげてください、どんなに辛くても見ていてあげてくださいと。そうだなあと思った。親のつとめは、子の喜び苦しみすべてを、受け入れることなのかなあと思う。

まだまだ未熟な母だが、ひとつでも前に進めるように、娘に長い長い注射針が入っていくのを目をそらさずに見た。少しだけお母さんになれたような気がする。

2014年2月10日

ナタリーが一旦静岡にいかないといけないらしく、ひとりでてーたんをお風呂に入れないといけない。もうベビーバスは卒業し、大きな浴槽で一緒に入っているが、この寒い中、ひとりでどうやってお風呂に入れたらいいんだ? 私はいつどうやって髪を洗えばいいんだ? よく考えなくては。

夫ののっぴは相変わらず仕事で12時過ぎに帰ってくる。産後、特に忙しくなったような気がする。困ったなあ、どうしようと思っていたら、友人のアズが遊びに来た。助かった。今日はアズの力を借りて、お風呂に入れよう。洗った後、キャッチさえしてくれればいいんだ。

本当に慣れないことだらけで涙が出そう。わからないことだらけ。すべての時間が赤ちゃんまみれ。

「僕見てるからコンビニに行っていいよ」ってのっぴにいわれただけで世界中すべての自由を手に入れたような気になる。育児書は怖いから読めない。インターネットでいろいろ見てる時点でそっちのほうがより良くない姿な気がするが……。

(次号に続く)

第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第2回「肉体的には限界だが、休むわけにはいくまい」
第3回「涙が出そう。すべての時間が赤ちゃんまみれ」

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子供を育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい


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