働くママのウェブマガジン

Mama子育てママを元気にするコラム&トピックス

藤田あみいの「懺悔日記」・16自閉症。発達障害。検索結果が頭の中から消えてくれない【懺悔日記・16】

2017.03.29

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第16回・悲しいことが始まる

16

2014年8月26日 

来年4月からは私も仕事を始めようと思っていたので、いろいろな保育園に見学予約をいれていた。

認可保育園はまず入れない激戦区らしいので、認証保育園を中心に回ることにした。

今日は駅近くの保育園に見学。うーん、なかなか狭いのね。ここはちょっとな…と思っていたけど、とりあえず予約待ちだけはしておいたほうがいいと先輩ママたちから聞いていたので申し込みをした。

用紙に記入している間、園長先生にてーたんを抱いてもらうことに。

園長先生が突然「この子、人見知りしないわね」と言った。

「ええそうなんですよ」とちょっと鼻が高いような気持ちで言ったら「これからかな…」と園長先生の表情が曇った。

なんだか後味のよくないものを感じつつ帰宅。ご飯を作って食べて、てーたんとたくさん遊んでベッドにはいった。

2014年8月27日

たしかに、てーたんが人見知りらしい人見知りをしているところを見たことがない。

昨日言われた「人見知りをしない」ことをインターネットで検索してしまった。

「8か月 人見知りしない」というワードだったと思う。

出てくる検索結果がぐるんぐるん頭の中から消えてくれなくて、一晩眠れなかった。

自閉症。発達障害。なんだろうそれ。病気? 病気ではなくて障害だと書いてあった。治らないものだと書いてあった。

ほかにも名前を呼んでも振り向かない、後追い(お母さんの後をついてくること)しないというところも、自閉症の子の特徴だと書いてあった。

名前? 名前の認識なんてもうあるものなのか? 自閉症ってなんだろう? 治らないの? とてもとても怖い。

2014年8月28日

てーたんについて今日も悩みすぎて苦しい。

てーたんの何を見ても、自閉症なのかな? 発達障害なのかな? と、何もわからないのに思ってしまって辛い。

でも笑ってる、この子、笑ってる。私のほうを見て笑ってる。

自閉症の子は目が合いにくいって書いてあった。この子はしっかり目が合う。でも、「ちゃんと合うけれど、私の子は自閉症です」って書き込みも見た。

もう何が何だかわからない。私の可愛いてーたんはどこにいったんだろう。てーたんを溺愛している私はどこにいってしまったんだろう。

かかりつけの病院に電話したら、健康診断という枠があるから、そこを予約してきてくださいね、と言われる。

しばらく待つことになった。どうしよう、待っている間ずっとこんな気持ちなのだろうか。何も手につかない。

でもご飯だけはちゃんと作らなくては。お風呂も歯磨きもちゃんとやらなくちゃ。

夫は今日も帰ってこない。誰にも話せない。怖い。こんなに大好きなのに、こんなに愛おしいのに。

(次号に続く)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第6回「お腹の中でお星様になった子のこと」
第7回「どーでもいい細かいことがいちいち気になってしまう」
第8回「最高過ぎる実家暮らし。東京に帰るのがとても不安だ」
第9回「きっと、きっとどうにかなる。だってこんなに可愛いんだから」
第10回「汗疹がよくならない。もう何が正解なのやらわからない」
第11回「表現しがたいが、てーたんが回転するようになった」
第12回「離乳食はほとんど食べず、三角コーナー行き」
第13回「誰も言ってくれないけど、私、おつかれさま」
第14回「会ったこともない人のことを想像して、私もがんばろっ!とはなれない」
第15回「知らないおばさんに「子どもは希望」と言われて、泣きそうになる」
第16回「自閉症。発達障害。検索結果が頭の中から消えてくれない」
第17回「ごめんね、ごめんね、どうしてこんな母親なんだろう」
第18回「障害や病気は医者が見つけるから、お母さんはこの子を可愛がってあげて」
第19回「強いお母さんになりたい。不安で震えが止まらない」
第20回「インターネットから得た余計な知識。どれも燃やして捨てたい」
第21回「これは母親の勘なのか、それとも私が異常なのか」
第22回「悲しいことにわたしは、娘を色々と試すようになっていた」
第23回「ただひたすらに「助けて助けて」と頭が悲鳴をあげていた」
第24回「この子に何か問題があってもいいじゃないか」
第25回「断乳した翌日、信じられないことが起きた」
「懺悔日記」連載一覧

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい

「懺悔日記」連載一覧