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藤田あみいの「懺悔日記」・21これは母親の勘なのか、それとも私が異常なのか【懺悔日記・21】

2017.04.14

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第21回 逆さバイバイ

21

2014年11月14日 

ものすごくショッキングなことがあった。先日から微妙にばいばーいというと手を振るようになったてーたんだが、喜んでた矢先に、それが逆さバイバイになってることに気づいた。発達障害の症状のひとつとして知られている、逆さバイバイ。

ショックでショックで、涙が止まらない。

夕飯の時間になってもどうしてもてーたんの顔を見れないので、実家でひとりだけ部屋に籠り切って突っ伏して泣いていた。

やはりこんなにいろいろな要素が重なって、そうとしか思えなくなってきてしまった。

そもそも発達障害ってなんなのだろう。全然わからない。コミュニケーションの障害? イマジネーションの障害? 社会性の障害?

てーたんはどうなっていくの? ちっともわからない。怖くて怖くてしょうがない。

何が怖いのかもよくわからない。障害と名のつくものへの未知なる恐怖なのか。実際に発達障害のある子を持つお母さんと思い切り話してみたい。

ただいまこれといって困ってることがない。困り感が出てきたらはじめて受診をすべきなのか。

いろんなサイトで「とはいっても母親の勘は当たります」なんて書いてあって、これは母親の勘なのか、それとも私が異常なのか、もう本当によくわからなくなっている。

そして朝まで眠れなかった。こんなに苦しい夜は人生ではじめてだった。

きっとてーたんは発達障害があるんだ。これからどんな人生を送るのか、とてつもなく不安だ。

目が覚めてもすぐに泣いてしまった。父と母はとても心配そうに私を見ていた。

2014年11月15日

できることはなるべくすぐに実行するタイプの私は、翌日に釧路市内の小児科に行った。

発達相談をしたいのですがと言ったら、だいぶ待たされて、初老の男性医師がでてきた。

「逆さバイバイをしたんです」と説明をしたところ、てーたんに指さしをしてそれを目で追うかのチェックをしたり、サイコロをころがしてされに興味をもつかなどの検査をしていた。

結果は「うーんわからないね」とのこと。わからない。

「逆さバイバイって普通の子でもしますか?」(普通の子なんて書き方をしてすみません。このころはまだ未熟で、いろんなことがわかってなくて、実際に発達障害のあるお子さんとそのお母さんを傷つけるような表現が多々でてくるかもしれません。腹がたつかもしれませんが、経過としてご覧いただけると幸いです)と聞くと、先生は「う〜ん、あんまりいないね」といった。

あんまりいない……。不安増大である。

でも私が母子手帳を見せると「あーこの先生に診てもらってるんだ! じゃあ大丈夫だわハハハ」と言っていた。

わたしの東京のかかりつけ医はそんなに有名な人なのか。少し安心もしつつ、わからないと言われてしまったことに「嘘でもいいから大丈夫っていえよ……」と涙がまた溢れた。

帰宅して、夫に連絡をした。長い長い電話をした。

実は、本当にてーたんになにかあるかもしれない。

昨日、逆さのバイバイをしたんだ。わたしが何処かに出かけても、全然気にしないんだ。指さした方をなかなか見てくれないんだ。

もう11ヶ月なのに。インターネットにはもうできるって書いてあるのに。

そんなことをつらつらと泣きながら伝えた。

わたしの夫はとても割り切りの上手な人で、あまり感情的にならない。

その話をきいている間も、ずっとわたしを諌めつつ、てーたんはなんともないと思うよというようなことを、淡々とわたしに説いてくれていた。

(次号に続く)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第2回「肉体的には限界だが、休むわけにはいくまい」
第3回「涙が出そう。すべての時間が赤ちゃんまみれ」
第4回「小さな腕に注射の管が刺さっている。私のバカ」
第5回「わからないことだらけで苦しい。どうして誰も傍にいてくれないの」
第6回「お腹の中でお星様になった子のこと」
第7回「どーでもいい細かいことがいちいち気になってしまう」
第8回「最高過ぎる実家暮らし。東京に帰るのがとても不安だ」
第9回「きっと、きっとどうにかなる。だってこんなに可愛いんだから」
第10回「汗疹がよくならない。もう何が正解なのやらわからない」
第11回「表現しがたいが、てーたんが回転するようになった」
第12回「離乳食はほとんど食べず、三角コーナー行き」
第13回「誰も言ってくれないけど、私、おつかれさま」
第14回「会ったこともない人のことを想像して、私もがんばろっ!とはなれない」
第15回「知らないおばさんに「子どもは希望」と言われて、泣きそうになる」
第16回「自閉症。発達障害。検索結果が頭の中から消えてくれない」
第17回「ごめんね、ごめんね、どうしてこんな母親なんだろう」
第18回「障害や病気は医者が見つけるから、お母さんはこの子を可愛がってあげて」
第19回「強いお母さんになりたい。不安で震えが止まらない」
第20回「インターネットから得た余計な知識。どれも燃やして捨てたい」

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい

「懺悔日記」連載一覧