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藤田あみいの「懺悔日記」・27昔は一人でいるのが大好きだったのに、今はとても不安でやりきれない【懺悔日記・27】

2017.05.05

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第27回 雪国

27

2015年2月9日 

実は東京で4月からの働き口を探していて、今日はその面接だった。

というのも保育園に入れるわけだから、いくら認証保育園とはいえ私は仕事もせず、のんびりしているわけにはいかないので、その面接のために一時的に東京に帰ってきたのだ。

のっぴはひさしぶりにてーたんに会えて、嬉しそうだった。

保育園の面接もいくつか控えている中、電話が鳴った。

以前見学に行った、一番素敵だなと思っていた保育園からの電話だった。

ぜひうちに来ていただきたいのですが、いかがでしょうか?という旨だった。もうあっという間にOKした。

なんてことだろう! あの保育園に4月から通えるんだ! うれしい!

4月からの行き先を見つけ、仕事の面接にも気合が入る。

履歴書を丁寧に作り、いざ出陣。職種は全く別の分野ではあるが、WEBができる人を募集していたとのことで、少しは脈があると考えた方がいいのか。

とても和やかな雰囲気で面接を終えた。なんだかテンションがあがる東京滞在だった。

2015年2月16日

再び雪国・釧路に戻ってきた。

てーたんは一生懸命保育園に通っている。私も一生懸命仕事をしている。

仕事をしている間は少なくとも罪悪感からは逃れられるし、人と話す機会が多い仕事なので、楽しんで働くことができた。

てーたんはまだまだ小さい体だが、ダッフルコートを着て、うちの母が作ってくれたちいさなポシェットを下げて登園していた。

釧路の冬は本当に寒く、凍える。その中で、私は今自分に何が起きているのかを考えていた。

父には「育児なんて楽なもんじゃないんだ。お前は親になる覚悟がないんだ」と珍しく怒られた。怒りたくなる気持ちもわかる。

親になる覚悟ってなんだろう。どういうことなんだろう。答えはわからない。

母はひたすらわたしの車の運転を心配していた。気が気ではないと言っていた。普段から薬の影響でか、眠い眠いと言っているのも一つの原因だが、路面がツルツルで滑って事故が起きてしまうのだ。

そうこうしているうちに、本当に事故ってしまった。

私は停止していたのだが、横からスリップした車が突っ込んできたのだ。全くもって無事だったが、肝が冷えた。

母はますます心配に拍車がかかり、ずいぶん神経をすり減らしていたと思う。

父も母も日中は仕事にでているので、昼間はたまに一人きりになることがある。そんなとき、なにをしていいのかわからなくなってしまっていた。

昔は一人でいるのが大好きだったのに、今はとても不安でやりきれない。

てーたんは保育園で泣いてないだろうか。風邪をうつされてないだろうか。

母らしい考えも浮かんでくるようになった。少しでも前進しているのだろうか。

(次号に続く)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第6回「お腹の中でお星様になった子のこと」
第7回「どーでもいい細かいことがいちいち気になってしまう」
第8回「最高過ぎる実家暮らし。東京に帰るのがとても不安だ」
第9回「きっと、きっとどうにかなる。だってこんなに可愛いんだから」
第10回「汗疹がよくならない。もう何が正解なのやらわからない」
第11回「表現しがたいが、てーたんが回転するようになった」
第12回「離乳食はほとんど食べず、三角コーナー行き」
第13回「誰も言ってくれないけど、私、おつかれさま」
第14回「会ったこともない人のことを想像して、私もがんばろっ!とはなれない」
第15回「知らないおばさんに「子どもは希望」と言われて、泣きそうになる」
第16回「自閉症。発達障害。検索結果が頭の中から消えてくれない」
第17回「ごめんね、ごめんね、どうしてこんな母親なんだろう」
第18回「障害や病気は医者が見つけるから、お母さんはこの子を可愛がってあげて」
第19回「強いお母さんになりたい。不安で震えが止まらない」
第20回「インターネットから得た余計な知識。どれも燃やして捨てたい」
第21回「これは母親の勘なのか、それとも私が異常なのか」
第22回「悲しいことにわたしは、娘を色々と試すようになっていた」
第23回「ただひたすらに「助けて助けて」と頭が悲鳴をあげていた」
第24回「この子に何か問題があってもいいじゃないか」
第25回「断乳した翌日、信じられないことが起きた」
第26回「断乳を機にいよいよ本格的な投薬が始まる」

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい

「懺悔日記」連載一覧