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藤田あみいの「懺悔日記」・30私はこんなにめちゃくちゃな人間なのです、と泣けたらどんなに楽だろうか【懺悔日記・30】

2017.05.16

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第30回 入社

30

2015年4月10日

私もついに始動!家から自転車で10分くらいのところにデザインをやらせてくれる会社があったのだ。

といっても今までやったことのない建築の外装デザインではあるが、自分の技能を活かせそうな気もする。

面接後一週間ほどでだろうか、内定の通知が来た。ありがたかった。

はじめての環境にやはり最初は緊張をするものだが、少人数で年齢が高めの人が多かったのと、みんないい人たちばかりだったのもあって、すぐに打ち解けることができそうだ。ここで自分にできることを精一杯やっていこうと思った。

そして他のみんなが保育園に慣れた頃に、娘は保育園への拒否反応を表しだした。不思議なものだ。

もしかして最初はイベント感覚だったのか? そして一週間が経って、あれ?もしかしてずっとここにいないとならないの? と、気付いていった感覚なのだろうか、と、推測する。

でも、先生たちもとっても優しくて良心的で、安心感がある。

仕事をした後に食材を買って、娘を迎えに行く行程はなかなかハードだけど、忙しい方が余計なことを考えないで済むかもしれない。

ちょっとたいへんだけど慣れるまでじっくり向き合ってみようと思った。

2015年4月20日

まだまだ病気も良くならないなか、ずっと描いてたブログの出版計画が持ち上がった。

編集長ふくめたくさんの人がうちに訪れてくれて、わたしのしょぼけた心もすこしは浮上した。自分の書いたものが本になるなんて…どんな幸運だろうと思わずにはいられない。

しかし誰もこんな不安定な女と話してるとは思うまい。仕事の話になるとどうも私はイキイキするのだが、みんなが帰ってしまうとドッと寂しさが訪れる。

現実の私は…娘の発達を心配するあまり家事も育児も上手にできない、泥沼のような状態なのだ。

娘に触れる手から不安が溢れ出て、娘の体を侵食しないかと心配で…。愛しい娘、愛しい家族、全てが壊れそうなのだ。

ただ普通に息をすることができない。前に進んでいるようにみえて、私はいつも涙を堪えている。

私はこんなにめちゃくちゃな人間なのです、と告白して泣いてしまえたらどんなに楽だろうかと思う。

(次号に続く)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第10回「汗疹がよくならない。もう何が正解なのやらわからない」
第11回「表現しがたいが、てーたんが回転するようになった」
第12回「離乳食はほとんど食べず、三角コーナー行き」
第13回「誰も言ってくれないけど、私、おつかれさま」
第14回「会ったこともない人のことを想像して、私もがんばろっ!とはなれない」
第15回「知らないおばさんに「子どもは希望」と言われて、泣きそうになる」
第16回「自閉症。発達障害。検索結果が頭の中から消えてくれない」
第17回「ごめんね、ごめんね、どうしてこんな母親なんだろう」
第18回「障害や病気は医者が見つけるから、お母さんはこの子を可愛がってあげて」
第19回「強いお母さんになりたい。不安で震えが止まらない」
第20回「インターネットから得た余計な知識。どれも燃やして捨てたい」
第21回「これは母親の勘なのか、それとも私が異常なのか」
第22回「悲しいことにわたしは、娘を色々と試すようになっていた」
第23回「ただひたすらに「助けて助けて」と頭が悲鳴をあげていた」
第24回「この子に何か問題があってもいいじゃないか」
第25回「断乳した翌日、信じられないことが起きた」
第26回「寒い寒い氷の町の丘の上にてーたんの保育園はあった」
第27回「昔は一人でいるのが大好きだったのに、今はとても不安でやりきれない」
第28回「育児ノイローゼというやつなのか? 本当に屈辱的で誰にも話したくない」
第29回「治療が必要なのは娘ではなく、100%お母さんの方だということになった」

「懺悔日記」連載一覧

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい