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中学・高校受験エッセイ・10まさかの展開! 私立中学に合格した長男のその後【我が家3児の受験事情・最終回】

2017.05.17

この連載は……
3人のお子さんの中学受験・高校受験を経験した、ライターの佐貫香子さんによる受験エッセイ。受験生のママとして感じたことや、日々の取材を通して見えてきた受験事情を綴ります。

我が家3児の受験事情・最終回

私学合格、からの……

10

これまで、中学受験ってどんな感じ?というのを、先輩ママの立場から紹介してきましたが、最後に、さんざん心配をかけてなんとか私立中学に入った長男のその後をお話ししようと思います。

息子の様子が心配で、PTA活動に参加

長男は、家からドアツードアで約1時間かけて学校に通い始めました。

私学は、地元の中学と違って家から離れているので、ママ友もできづらく、保護者が学校の様子を知ることはなかなかできません。

そこで私は、PTA活動に参加することにしました。小学校のときから問題の多かった息子が、ちゃんと学校生活を送っていけるか心配だったからです。

活動を通じて先生と親しくなっていれば、何かあったときに相談しやすいし、息子にも注意を払ってくれるのではないかという考えもありました。

働く母にはなかなか大変なことですが、私は子どもが小学校のときから可能な限りPTA活動に参加してきました。3人の子どもが通う間、トータル3回はPTA会長も務めました。「PTAなんかいらない」とSNSでも最近話題になったようですが、

1)学校の子どもの様子を知ることができる
2)ママ友ができる⇒いろいろ情報が得られる
3)先生と親しくなれるので何かと相談しやすい
4)国や教育委員会の教育政策など、いち早く情報を入手できる

など、PTA活動にもメリットがあります。

また、PTA活動の歴史を紐解いてみると、学校の環境改善や給食の質の向上など、当たり前の権利だと思っていることが、実はPTAの活動によって勝ち取られたものだったりすることがわかります。

学校の環境をよくしたい、問題を解決したいというときに、一人で声を上げるのは難しくても、PTAという団体ならば実現の可能性が高まります。

学校が生徒に対して不利益なことをしないよう目配りをする意味でも、PTAはなくてはならない活動だと私は思っています。

ママ友から「肩たたき」なる言葉を聞いて…

話が反れてしまいました……。

PTA活動は、学校の情報収集の場としても、何かと役に立ちます。あるとき、PTAのママたちと話していると、「先輩ママのお子さんが、肩たたきにあった」という話題が出ました。

中高一貫の私学は、受験なしで高校に進学できるのがメリットの一つですが、著しく成績が悪いと、学校からそれとなく自主退学を勧められるそうで、それを「肩たたき」と言うのです。

退学したら、地元の公立中学に行くか、別の私学に転入するか2つしか選択肢はありません。公立中学に行くのは子どもでもプライドが許さないでしょう。いじめの対象になるかもしれません。

とすれば、他の私立に行くしかないのですが、そのためには転入試験を受けなければなりません。合格しなかった場合、行く先がなくなります。

もっと困るのは、他校に転入する場合、もとの学校に在学証明書などの書類を発行してもらわなければならないのですが、その先輩は「学校が書類を発行してくれなくて困っている」とのこと。

「辞めさせておいて、後は知らないということ?」、「結局、私学ってやめる人に対しては冷たい」とママたち。

私は、まだ子どもが入学したばかりだったし、その学校の教育方針も校長の人柄も気に入っていたので、その“裏情報”にはかなりショックを受けました。が、「ネガティブなことを言う人はどこの世界にもいるものだ」と気にしないことにしました。

その後、息子が、同じ状況に陥るとも知らず……。

せっかく合格した中学を1年ちょっとで退学!? そのとき学校は……

息子が、学校をやめると言い出したのは中学2年になってすぐの頃でした。

どうしても勉強が好きになれない、校風が合わない、友だちも好きになれないと。

学校の出来事を毎日楽しく話してくれていたし、友だちが家に遊びにくることもあったし、部活も楽しく通っていたし、まさか、学校が嫌なふうには見えなかっただけにショックでした。

しかも、地元の公立中学に通いたいというのです。

公立になんか行ったら、「私立の勉強についていけずやめさせられた」とバカにされ、いじめられるのではないか。

私学に行っていればどこかしら大学に入れる力はつけてくれるだろうけど、公立校からでは勉強嫌いの息子の場合、大学にも行けないだろう。

その前に、高校受験をまたしなければならない。この子の人生はこの先どうなるのだろうと、目の前が真っ暗になりました。

せめて、6月のオーストラリアへの修学旅行だけでも行ってからにしたらと説得しましたが、1日たりとも通いたくないと聞き入れず、退学することに。

先輩ママに聞いた通り、学校側は、やめると聞くと手のひらを返したように冷たい対応となり、必要書類を発行してはくれませんでした。メールで担任の先生にお願いをしても返事すらきませんでした。

結局書類は、地元の教育委員会から、元の私学に直接請求してもらって揃えました。

息子の人生は息子のもの

公立中学校に転入した息子はいじめられるどころか、小学校以来の友達に温かく迎えられ、残りの中学校生活を楽しく過ごしたようです。

高校も、自分で志望校を決め、塾に頼らず自力で地元の公立校に合格しました。決してレベルの高いところではありませんでしたが、(だからこそ?)息子のキャラクターにはぴったり合っていたようで、たくさんの友達を作り充実した高校生活を送ったようです。

その後、やりたいことがあるからと、大学には行かず、専門学校に行く選択をした息子。

2人に1人が大学に進学する時代に、大学に行かないとは……、就職するときに後悔しても取り返しがつかないのにと、また絶望的になりましたが、「やりたいことがあるのに、4年間も大学に行って時間を無駄に過ごしたくない」という息子の主張に負けました。

むしろこれからの時代、息子みたいな生き方のほうが大化けするかもしれません。

いずれにせよ、親が口を出すことではない、彼はちゃんと自分で人生の選択ができるはずだ、中学をやめることも、地元の高校に通うことも彼自身が決めてやりとけたのだから、と思うことにしました。

さてその後、彼の人生は大迷走していくのですが、「20代はいくら失敗してもいいから好きなことをしなさい」と言っています。

そんな母を見て、息子は「かーさん変わったね」と言います。

息子の脳裏には、問題集を叩きつけて「勉強しろ!」と怒鳴っていた母の姿が焼き付いているようなのです(ああ、早く忘れて……)。

中学受験は、親をも成長させてくれるのかもしれません。

結局、私学だから、公立校だからどう、ということはない。どこに行っても、そこで何をするか、何を得たかが大事なのだと思います。

息子にとって、中学受験の勉強を開始してから私学を退学するまでの3年余りは、親から押し付けられた無駄な時間だったのかもしれないけれど、それに反発し、自ら自分の人生を切り開いた息子の選択を、今は心からリスペクトしています。

(終わり)


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第2回「中学受験を決心させた、私学のいいところ8つ」
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佐貫香子

ライター。3児の母。1人目(長女)は私立中高一貫校~私立大学へ。2人目(長男)は、私立中高一貫校を中退、公立中学に転校~公立高校~専門学校へ。3人目(次男)は、公立中学~公立高校に在学中。おとなしく優等生の長女、荒れ放題の自由人の長男、バランス型の次男を育てた経験から「教育に正解なし」を実感する今日この頃。

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