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藤田あみいの「懺悔日記」・31破壊へと道を進めているのは私そのもの。私だけが狂っている【懺悔日記・31】

2017.05.19

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第31回 親子遠足

31

2015年5月2日

GWだったので三重に帰った。

てーたんの従兄弟たちはみんなますますやんちゃに大きくなっていた。

てーたんもここぞとばかりに色々とおしゃべりをし、みんなを驚かせていた。

前に三重にきた時は自分史上最高にコンディションの悪かった私も、少しは元気な姿をお義父さんお義母さんに見せることができたと思う。

前よりはいい。たぶん。前よりはいいはずだ。たぶん少しは変わったような気がする。

仕事もしっかりしている。娘はちゃんと保育園に行っている。夫も頑張って仕事をしている。忙しいけれど家事もギリギリなんとかこなし、こうしてGWには実家に帰ってきている。

だけど本当は自分のことがよくわからない。不安だ。

何かわからないけれどずっと不安だ。今私に何が起きているのだろう。

見ないふりをしているこの不安には何が含まれているのだろう。苦しい。普通の顔をして生きているのが精一杯だ。

娘のことが心配なのか、自分が不安になる状況が訪れたらどうしようと心配しているのか…どちらかといえば後者なのだと思うが、対処の施しようがない。

2015年5月23日

 
保育園で初の行事、親子遠足に行った。

現地集合の現地解散だが、少しだけ足を伸ばして遠くて大きな公園に来てみるのも悪くないなと思った。

まだお友達の名前も顔も把握できていないので、いささかよそよそしい会ではあったが、みんなで色々なことにチャレンジしている姿をみて、娘も日々触発されるだろうなぁと感じた。

娘は12月生まれなのでまだ色々できないことも多いが、6月生まれの子なんて本当にしっかりしている。言葉もすごくでていて、しっかりとおしゃべりができている印象だ。

娘は終始眠かったらしく、お弁当を食べるシートを広げたところその場で寝てしまった。

爽やかな風が吹き、日光の暖かさが娘の頬に降り注ぐ。なんてさわやかな1日だろうと思わずにはいられない。

きちんと参加できて本当に良かった。

保育園の先生に、ピクニックシートに座ってるところを家族で撮ってもらったが、わたしこんな顔してたっけ?と思うほど顔が引きつっていた。どうしたものか。

2015年5月30日

 
先生に今自分が置かれてる状況はどんな感じなのかと聞いてみた。

病名こそつかないが、強迫性の不安症だ、とのことだった。

強迫…なるほど、すこし自分の状態を把握するのに必要なキーワードを拾うことができた。

家に帰って色々腹べていると(また性懲りも無く調べたのかよと思うが、自分のことなので良いだろう)、強迫性障害という病名がヒットした。

強迫観念(不安な考え)がうまれ、強迫行為(不安を払拭するための確認行為)によって1日の大半を費やしてしまう、またこの病気の特徴として、「確認行為はくだらないことだと認識しているのにもかかわらず止めることができない」…らしい。

うつ病や統合失調症との大きな違いはその「気付いているか、いないか」ということのようだ。

私の場合は「娘に障害があるのでは」という強迫観念があり、それに対し「娘の不安な行動は一体なんなのか」と調べ、結果途方もない情報の渦の中で沈没していくのだ。

それに四六時中不安な考えが頭から離れない。本当はいろんな医者に違うと言ってもらっているので違うはず、なのだが。そもそも私が恐れているものはなんなのか?

この幸せが壊れないかと心配なのだ。暖かい家、優しい夫、可愛い娘。

間違いなく破壊へと道を進めているのは私そのものだろう。私だけが狂っているのだ。

娘は何の心配もいらないといろんな先生に言われたじゃないか。

なのに不安なのはなぜ? どうして払拭できない? やはり娘に何かあるのでは……どうしたらいいのか……誰か違うと言って欲しい。絶対に違うと言って欲しい。あなたの不安は現実にならないと決めつけて欲しい。誰か。

(次号に続く)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第10回「汗疹がよくならない。もう何が正解なのやらわからない」
第11回「表現しがたいが、てーたんが回転するようになった」
第12回「離乳食はほとんど食べず、三角コーナー行き」
第13回「誰も言ってくれないけど、私、おつかれさま」
第14回「会ったこともない人のことを想像して、私もがんばろっ!とはなれない」
第15回「知らないおばさんに「子どもは希望」と言われて、泣きそうになる」
第16回「自閉症。発達障害。検索結果が頭の中から消えてくれない」
第17回「ごめんね、ごめんね、どうしてこんな母親なんだろう」
第18回「障害や病気は医者が見つけるから、お母さんはこの子を可愛がってあげて」
第19回「強いお母さんになりたい。不安で震えが止まらない」
第20回「インターネットから得た余計な知識。どれも燃やして捨てたい」
第21回「これは母親の勘なのか、それとも私が異常なのか」
第22回「悲しいことにわたしは、娘を色々と試すようになっていた」
第23回「ただひたすらに「助けて助けて」と頭が悲鳴をあげていた」
第24回「この子に何か問題があってもいいじゃないか」
第25回「断乳した翌日、信じられないことが起きた」
第26回「寒い寒い氷の町の丘の上にてーたんの保育園はあった」
第27回「昔は一人でいるのが大好きだったのに、今はとても不安でやりきれない」
第28回「育児ノイローゼというやつなのか? 本当に屈辱的で誰にも話したくない」
第29回「治療が必要なのは娘ではなく、100%お母さんの方だということになった」
第30回「私はこんなにめちゃくちゃな人間なのです、と泣けたらどんなに楽だろうか」

「懺悔日記」連載一覧

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい