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藤田あみいの「懺悔日記」・36娘に「ママいなくなってもいい?」と聞いてしまった【懺悔日記・36】

2017.06.06

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第36回 さようならしてもいい?

36

2015年11月21日 

毎日は淡々と過ぎて行っているようで、私にとっては修羅のような時間だった。

どうにか自分を立て直したい。病院にだってちゃんといってる。色々と努力をしている。しかし進歩のない状況と再び調子を崩してしまったことのショックは強烈だった。

夕飯を食べ終わり、娘に「ママいなくなってもいい?」と聞いてしまった。

最近、娘は問いかけにはとりあえず「うん」という。その時もニコニコしながら「うん」と言った。

「そうかぁ、じゃあね」といって、ワインをがぶがぶ飲んで、中学生の時に買ったお花のベルトを輪っかにして階段に吊るした。

娘が、てーたんが、許してくれた。もう考えなくていいよって許してくれたんだ。てーたんはニコニコ笑ってる。ママぁと足に絡みついてくる。

輪っかに首を通そうとするが、滝のように涙が出てくる。ごめん、ごめんね。ごめんなさい。ごめんなさい。

てーたんを抱きしめて何度も謝った。できない、できるわけがない、こんな可愛い子を置いてどこに行くのか。この子を世界一不幸にしてしまう。

私は、この子に幸せになってもらいたい。なのに、なんでこんなことができるのか。

小さなこの子に一生消えない傷を残す気なのか。

自分が辛くてしょうがないからって、どうしてみんなを不幸にして自分だけ逃げることを考えてしまったのだろうか。

最初は不思議そうにしていたてーたんもいつのまにか泣いていた。二人でわんわん泣いた。

泣いていると心の中の汚いものが次々に流れ出て行く気がする。

変わりたい、変わりたい、私は元に戻りたい。

不安が消えて、何もかもを受け入れて、そしてこの子のかけがえのない母親になりたい。唯一無二のこの子の拠り所でありたい。

わかってるのに、わかってるのにどうしてこんなに不安になってしまうのだろうか。大好きなのに。こんなに愛してるのに。

小さなクライマックスを平凡な家の中で迎えるものの、朝はいつものようにやってきてしまうのだった。

(次号に続く)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第30回「私はこんなにめちゃくちゃな人間なのです、と泣けたらどんなに楽だろうか」
第31回「破壊へと道を進めているのは私そのもの。私だけが狂っている」
第32回「恐れていた一歳半検診。ついにこの日が来た」
第33回「わたしが暗闇の中を彷徨ってる間に、この子はこんなに喋れるようになった」
第34回「ああ嬉しい。もうちょっとで普通のお母さんになれる」
第35回「胸の奥から再びモヤモヤした黒いものが湧き上がってくる」
第36回「娘に「ママいなくなってもいい?」と聞いてしまった」
第37回「頭の中は娘に関する心配事ばかり。身も心も憔悴しきってしまった」
第38回「体重が激減した。ご飯が喉を通らないのだ」
第39回「悩んでいたことが口からこぼれ、初めて会った人の前で泣いていた」
第40回「もう終わらせたかった。なにもかもを終わらせて、消えたかった」
第41回「ちょっとだけ話をしたい」と言いながら、子どもみたいに泣いた」
第42回「元気に見える人たちも、なんらか心に葛藤を抱えている」
第43回「愛情という文字を見た瞬間に、わたしは大きな声を上げて泣いていた」
第44回「「自分を責める必要はない」というのはわかったが、やっぱり辛いのだ」
第45回「娘を見ているのがつらいなんて変だ。私は家を出ることにした」
第46回「布団に入っても、夫の言葉が頭の中を巡った」
第47回「自分に発達障害の可能性があるとは、夢にも思わなかった」
第48回「私が発達障害を抱えているとしても、何も変わらないのではないか」
第49回「私は、可愛い娘から逃げてここにいるのだ」
第50回「ママ、大好き」と言って眠りに落ちた娘の側で、私ももう一度眠りたい

「懺悔日記」連載一覧

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい