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藤田あみいの「懺悔日記」・44「自分を責める必要はない」というのはわかったが、やっぱり辛いのだ【懺悔日記・44】

2017.07.04

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第44回 不安は愛情

44

2016年9月28日

あの劇的なカウンセリングから数週間、わたしの「不安」に対する感覚がかなり変わった。

やはり日中には不安の波が押し寄せてくるのだが、これが不快なものではなく、娘への愛情なのだと感じるようになった。

愛情というのは心地よい。不安が押し寄せてくるたび、絶望の淵に立たされたような感覚に陥っていたが、不安=愛情なのだと認識できれば、それは遠足の前の日にワクワクして眠れない時のような感覚に変わる。

認知行動療法。これは、認知の歪みを正し、思考のパターンをより楽になる方へ向かわせる、というのが狙いのようである。

正直、最初の二回目まで、これは効かないな、と感じていたが、いざ療法が始まると、いままでの投薬でも手が届かなかった部分に触れてもらえたような気がした。

まず大事なことは、思考の整理。そして認知を正すこと。

自力で認知行動療法をやる人も多くいるようだが、なかなかこれは人に導いてもらわねば上手くはできるまいと感じる。悩んでいる人がいたらぜひ勧めたいと思った。

カウンセリングは保険適応外なので料金としてはそこそこ値が張るのだが、ここまで心の健康に影響があるものであれば、痛い出費ではない。

日中、娘がいないときに突如押し寄せてくる不安に関しては、前回のカウンセリングで大分改善が見られるようになってきた。素晴らしい成果だと思う。

しかし相変わらず娘は色々な音に対して耳を塞ぐ。日中の不安はなんとかやり過ごせるようになったが、実際にそれを見てしまうと、瞬間的に血の気の引くような感覚に陥ってしまう。

とはいえ保育園のお迎えの際になど、他の園児を見てみると、どの子もうるさい時は耳を塞いでいるではないか。これって当たり前のことなのだろうか。

夫は、うるさいときに耳を塞ぐののどこが異常なんですか〜…と、わたしをたしなめてくれる。

でも、やっぱり不安なのだ。「この不安は愛情からくるものだから、自分を責める必要はない」というのはわかったのだが、やっぱり辛いのだ。

ときには指先がチリチリしてしびれてしまったり、胸の鼓動が抑えられなくて大量に冷や汗をかいてしまったり。身体的に起きるこの反応はいくら愛情のなせる術だとしても辛い。

耳を塞いでいるのを見ても不安を感じなくなれれば、一番良いのだが。

娘も娘で、わたしが過剰に反応するものだから、本当に音に対して敏感になっているような気がする。そういえば、耳を塞ぐこと以外のことはいつの間にか気にならなくなっている。不思議なことだ。

色々と気にしたこともあったが、ただのブームだったのか。耳塞ぎもただのブームであることを願うばかりだ。

でもなんだか光が見えてきたように思う。何かが、変わり始めている気がする。

(次号に続く)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第30回「私はこんなにめちゃくちゃな人間なのです、と泣けたらどんなに楽だろうか」
第31回「破壊へと道を進めているのは私そのもの。私だけが狂っている」
第32回「恐れていた一歳半検診。ついにこの日が来た」
第33回「わたしが暗闇の中を彷徨ってる間に、この子はこんなに喋れるようになった」
第34回「ああ嬉しい。もうちょっとで普通のお母さんになれる」
第35回「胸の奥から再びモヤモヤした黒いものが湧き上がってくる」
第36回「娘に「ママいなくなってもいい?」と聞いてしまった」
第37回「頭の中は娘に関する心配事ばかり。身も心も憔悴しきってしまった」
第38回「体重が激減した。ご飯が喉を通らないのだ」
第39回「悩んでいたことが口からこぼれ、初めて会った人の前で泣いていた」
第40回「もう終わらせたかった。なにもかもを終わらせて、消えたかった」
第41回「ちょっとだけ話をしたい」と言いながら、子どもみたいに泣いた」
第42回「元気に見える人たちも、なんらか心に葛藤を抱えている」
第43回「愛情という文字を見た瞬間に、わたしは大きな声を上げて泣いていた」
第44回「「自分を責める必要はない」というのはわかったが、やっぱり辛いのだ」
第45回「娘を見ているのがつらいなんて変だ。私は家を出ることにした」
第46回「布団に入っても、夫の言葉が頭の中を巡った」
第47回「自分に発達障害の可能性があるとは、夢にも思わなかった」
第48回「私が発達障害を抱えているとしても、何も変わらないのではないか」
第49回「私は、可愛い娘から逃げてここにいるのだ」
第50回「ママ、大好き」と言って眠りに落ちた娘の側で、私ももう一度眠りたい

「懺悔日記」連載一覧

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい