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藤田あみいの「懺悔日記」・47自分に発達障害の可能性があるとは、夢にも思わなかった【懺悔日記・47】

2017.07.14

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第47回 入院

47

2016年10月18日

今日は入院の日。私のいない間、少しでも気がまぎれるようにと思い、昨日、シルバニアファミリーの「おうち」と「うさぎさんの一家」を購入した。これが娘に大ヒットした。

娘は大喜びで、昨日はテレビに目もくれず、ずっとずっとお話を作って遊んでいた。これには夫も静かに喜んでいた。

今朝はお人形を保育園に持って行くと言ってきかなかったため、うさぎさんのファミリー全員を乗車させ、登園した。

園の玄関で、いつもなら「なくなっちゃうかもよ~」などと言えば、おとなしく私に渡したり、カバンの中にしまったりということができるのに、どうしても母親のうさぎさんだけ手放せず、泣く泣く手から奪い取るしかなかった。

どこかで、本能的に母親がいなくなることを察知しているのだろうか。入院前、最後に見た娘の顔は、うさぎさんから離れたくない一心の大泣き顔であった。

午後に妹と病院へ。入院手続きが非常にめんどうだった。その中で医師との面談があり、衝撃的な質問をされた。

「心理検査を受けたことはありますか?」

先生の意味していることは、私にADHDの傾向があるのでは、という意味を含んでいるのだとピンときた。不注意である、気持ちの切り替えができない、衝動的に動く、などの話の例を妹からヒアリングしたのちに出てきた言葉だったからだ。

「それは私にADHDの可能性があるという意味ですか?」と聞いたところ、先生はそれを否定してくれなかった。

「あくまでもその傾向がある、というだけの話であって、いままで何の問題もなく生きてこられたのですから、それは障害とは言わないです。考え方の癖みたいなものです」と。

ただ、検査という言葉が出るところをみるとやはり可能性、傾向があるのかもしれない。気持ちの切り替えの出来なさは子供の時からあったように思う。そしてそれが普通と比べて過剰であることにも、心のどこかでは気がついていた。

なぜこんなに苦しいのだろう。どうして頭ではわかっているのに、心をコントロールできないのだろう。ずっとずっと苦しんできたことだ。

先生は一度検査をしてみましょうと言った。ただ、時期は一月、二月ほど待たなければならないらしい。やはりここでも待てない気持ちが先行する。他の方法で早めに診断を受けられないかとすぐに頭が働く。これも症状の一つなのだろうか?

なんだかんだと話しているうちになぜだか涙が溢れてきた。

今引き起こされている強迫性障害の症状は、実は二次障害なのかもしれない。

そう思うと、今飲んでいる薬ではどうしようもなかったことなのかもしれない。

別のやり方があるのかもしれない。今までとっても辛かったけれど、私自身がどうにかできる問題ではなかったのかもしれない。頑張っても頑張ってもダメだったのは、私のせいではないのかもしれない。

発達障害。自分のことであればこんなに冷静に考えられるのだと、新しく気づくことができた。しかし一方では「私が発達障害だとしたら、娘にも遺伝しているのでは」という強迫観念が浮かんでいた。

不安な気持ちを抱えたまま、入院の病棟へ。一通り説明を聞いて、妹とコンビニまで買い物に行って、そこで別れた。

たった一人の病室。絶対に暇だ。

それにしても、娘の発達障害を疑いに疑った結果、自分が発達障害の可能性を示唆されるとは夢にも思っていなかった。妹が「ウケるね」と言っていた。

(次号に続く)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第26回「寒い寒い氷の町の丘の上にてーたんの保育園はあった」
第27回「昔は一人でいるのが大好きだったのに、今はとても不安でやりきれない」
第28回「育児ノイローゼというやつなのか? 本当に屈辱的で誰にも話したくない」
第29回「治療が必要なのは娘ではなく、100%お母さんの方だということになった」
第30回「私はこんなにめちゃくちゃな人間なのです、と泣けたらどんなに楽だろうか」
第31回「破壊へと道を進めているのは私そのもの。私だけが狂っている」
第32回「恐れていた一歳半検診。ついにこの日が来た」
第33回「わたしが暗闇の中を彷徨ってる間に、この子はこんなに喋れるようになった」
第34回「ああ嬉しい。もうちょっとで普通のお母さんになれる」
第35回「胸の奥から再びモヤモヤした黒いものが湧き上がってくる」
第36回「娘に「ママいなくなってもいい?」と聞いてしまった」
第37回「頭の中は娘に関する心配事ばかり。身も心も憔悴しきってしまった」
第38回「体重が激減した。ご飯が喉を通らないのだ」
第39回「悩んでいたことが口からこぼれ、初めて会った人の前で泣いていた」
第40回「もう終わらせたかった。なにもかもを終わらせて、消えたかった」
第41回「ちょっとだけ話をしたい」と言いながら、子どもみたいに泣いた」
第42回「元気に見える人たちも、なんらか心に葛藤を抱えている」
第43回「愛情という文字を見た瞬間に、わたしは大きな声を上げて泣いていた」
第44回「「自分を責める必要はない」というのはわかったが、やっぱり辛いのだ」
第45回「娘を見ているのがつらいなんて変だ。私は家を出ることにした」
第46回「布団に入っても、夫の言葉が頭の中を巡った」

「懺悔日記」連載一覧

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい