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藤田あみいの「懺悔日記」・54なぜ病気になったのかはわからないが、私を治したのはまぎれもなく、娘だ【懺悔日記・最終回】

2017.08.08

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第54回 バラが咲いた
54

2017年4月某日 

娘は3歳4ヶ月になった。

きめの細かい頬に、優しい匂い、小さな手のひら、少し茶色い髪の毛。暖かい皮膚の触感。

バラが咲いた。何度も何度も咲いた。

二年半だ。長らく、不安と戦ってきた。
その間にじつは何度もバラは咲いていた。

私を貶めたものは結局なんだったのか、答えは一つではない。
だけど、娘は何度も光を射した。
何度も起き上がるチャンスをくれた。

なぜ病気になったのかはわからないが、私を治したのはまぎれもなく、娘だ。

目を細めて、私を見てくる度に、幸せになって、と思う。
大きな声で泣く度に、幸せになって、と思う。
自分から繋いでくる手を握り返す度に、幸せになって、と思う。
日々、思う。毎日積み重ねて、どんどん深まっていく。

「ママ大好き」
ずっと思ってたのかな。赤ちゃんの頃からずっと。

「ママもういなくならないで」
「ママ行かないで」
「ママ怒らないで」
「ママ泣かないで」
「ママ一緒にやろ」
「ママ隣にいて」
「ママのお膝に座りたい」
「ママあそぼ」
「ママと一緒がいい」
「ママ」

娘は毎日願う。自分がどうしたら幸せになれるのか、教えてくれる。

道はひとつしかない。

その他は、何もいらないと思うのだ。

(懺悔日記・完)

長きにわたり、ご愛読いただきありがとうございました! 次回は、藤田さんの「あとがき」を掲載いたします。(編集部)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第16回「自閉症。発達障害。検索結果が頭の中から消えてくれない」
第20回「インターネットから得た余計な知識。どれも燃やして捨てたい」
第22回「悲しいことにわたしは、娘を色々と試すようになっていた」
第23回「ただひたすらに「助けて助けて」と頭が悲鳴をあげていた」
第29回「治療が必要なのは娘ではなく、100%お母さんの方だということになった」
第31回「破壊へと道を進めているのは私そのもの。私だけが狂っている」
第40回「もう終わらせたかった。なにもかもを終わらせて、消えたかった」
第41回「ちょっとだけ話をしたい」と言いながら、子どもみたいに泣いた」
第42回「元気に見える人たちも、なんらか心に葛藤を抱えている」
第43回「愛情という文字を見た瞬間に、わたしは大きな声を上げて泣いていた」
第44回「「自分を責める必要はない」というのはわかったが、やっぱり辛いのだ」
第45回「娘を見ているのがつらいなんて変だ。私は家を出ることにした」
第46回「布団に入っても、夫の言葉が頭の中を巡った」
第47回「自分に発達障害の可能性があるとは、夢にも思わなかった」
第48回「私が発達障害を抱えているとしても、何も変わらないのではないか」
第49回「私は、可愛い娘から逃げてここにいるのだ」
第50回「ママ、大好き」と言って眠りに落ちた娘の側で、私ももう一度眠りたい
第51回「わたしは「懺悔日記」と銘打った記録を書き上げた」
第52回「娘の屈託のない笑顔。ここにわたしはなにを求めていたのだろう」
第53回「産後はみんなホルモンの影響で不安に。それに耐えられる人とそうでない人がいる」
【最終回】第54回「なぜ病気になったのかはわからないが、私を治したのはまぎれもなく、娘だ」

「懺悔日記」連載一覧

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい