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助産師をもっと身近に ②地域を支える助産院 大坪三保子さん

助産師をもっと身近に ②地域を支える助産院 大坪三保子さん

妊娠・出産のキーパーソンである、助産師。でも、あまり上手に相談できなかったと感じるママ達もいるようです。3回のシリーズで理解を深め、助産師との距離を縮めましょう。


2018年現在、全国には2545の助産所があり、そのうち379か所で分娩を取り扱います。では、その他2100か所以上の助産所はどんなことを行っているのでしょうか? 今回は地域に根ざした助産院で、母子支援を行う大坪三保子さん(たらちね助産院)にお話を伺います。

ママ達が集まって話をすることが、自身と子どもに向き合うきっかけに

現在、大坪さんの助産院では、授乳相談、マタニティーヨガやベビーマッサージクラス、交流会など、産前産後のケア全般を行っています。加えて、子育て支援者向けの講師育成の講座も開催しています。ヨガやベビーマッサージを行うのは、安心して話をしやすい雰囲気を作る効果もあってのことです。

「身体を動かすと、心がほぐれて本音が出やすく、皆さんが仲良くなりやすいです。何よりも、集まって話をすることは、自分自身を冷静に見つめるために必要なことなのです。

例えば、自分の子どもは変わっているのではないかと悩んでいても、他の親子と話すことで『この子はこういう個性・タイプなんだ』と納得して安心します。それが、自分の子どもと向き合うことにつながり、育児に自信をもつきっかけになります。

最近は、ネット情報を重視する人が増えていますが、頼りすぎると悩みが極端な方向に行きがちです。早い段階で「うちの子は発達障害・学習障害ではないか」「私、鬱っぽいんです」と、ご自身で診断してしまう方もおられます。もっと視野が広がるように、人と話す方がよいと思います。会話することで、考えが整理され、自分の中で深まりますから」

病院や助産院で勤務後、独立開業した大坪さん。産後訪問などを行ううちに、ママ達が集まれる場作りや、そこで互いに話をし、助け合う仕組みができないかと考え、子育て支援団体の運営にも関わるようになりました。

「助産師がなぜ子育て支援団体を、と思われるかもしれませんが『困ったら助産師に相談すればいい』で続けていくと、その方だけでサポートが終わってしまいます。例えば、私が訪問してケアできるのは、1日2~3人が限界です。そのため、限られた数の専門職を要所でうまく利用しながら、お母さん自身が力をつけて自分達で解決するという『ピアサポート』の仕組みを循環させていきたいと考え、子育て支援グループアミーゴの活動を開始、たらちね助産院を開院しました」

高井戸にある大坪三保子さんの助産院。

助産院は、地域と親達をつなぐ役割も

地域に根差した助産院は、地域と親達をつなぐ役割も果たします。

「うちの助産院は、土日もあけていますので、ご夫婦で相談に来られる方々もいます。今は、ご両親共に赤ちゃんに触れた経験がないという方がほとんどなので、戸惑うことも多いようです。特に都市部は、転出転入が多く、地域に知り合いがいないまま親になる方がほとんど。これまでの交友関係の中では解決できないこともあり、夫婦でゆき詰まってしまう方もいます。そういう方たちにとって、助産院は地元の情報に触れるきっかけにもなります」

助産師、助産院それぞれ得意分野が様々です。性教育を語る助産師もいれば、母乳相談に特化した助産院もあります。それぞれの地域の助産院が何を中心にしているかは、以下のマップで確認できます。

助産師会の全国助産所マップ:https://www.midwife.or.jp/general/birthcenter_list.html

(掲載希望する会員助産所のみ)

地域でママ達を支える助産師、大坪さん

妊娠中から地域の助産院に相談すれば、産後ケアがスムーズに受けられる

「できれば、妊娠中から助産院に声をかけていただきたいです。病院で出産する方も、退院すればやがて地域に戻ります。地域での子育てを支援するところにつながっていると安心ではないでしょうか。

2人目出産の方でも『上の子の時にこんなことに困った』と相談していただければ、妊娠中や入院中に気をつけることをお伝えして、退院後すぐケアに移れます。

たとえ『母乳育児相談』と表示されていても、人工乳を使用している方ももちろん歓迎です。離乳食の相談や赤ちゃんとのかかわり、産後の体調などのご相談も受けます。

また、デイケアは身体を休めるために是非利用してください」

【地域での妊産婦支援の種類】

助産院:産後のショートステイ、母乳育児相談、栄養相談、保健相談、ヨガや運動クラス、ママ交流会、その他イベントなど(助産院を開放し、子育てサロンやカフェを開催している助産院も多い。ショートステイやデイケアを行っている助産院もあり、自治体からの補助が出る場合は比較的安価で利用できる。)

・自治体(保健所など):赤ちゃん訪問、産前産後の家事育児支援、離乳食講座、子育て広場事業、子育て応援券などのクーポン発行、産後ケア事業への補助

・民間:子育て広場、産後ドゥ―ラ(産後の家事育児支援)、産後ケア専門施設、母親のグループ作り、ヨガや運動講座など。

たらちね助産院:https://www.taratine.com/

(次回第3回に続く)

(同シリーズ第1回、第3回は著者記事一覧よりご覧ください)

岡本 聡子

岡本 聡子ライター・経営学修士・防災士

戦略系経営コンサルティング会社を経て、上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『中国のビジネスリーダーの価値観を探る』(『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を加筆・改題)を株式会社アルクより出版。幼稚園児の母。分析・事業開発支援、NPO運営なども行う。facebook.com/okamotosatokochina

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