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助産師をもっと身近に ③世界の日本人ママと助産師をつなぐ イギリス在住助産師 西川直子さん

助産師をもっと身近に ③世界の日本人ママと助産師をつなぐ イギリス在住助産師 西川直子さん

妊娠・出産のキーパーソンである、助産師。でも、あまり上手に相談できなかったと感じるママ達もいるようです。3回のシリーズで理解を深め、助産師との距離を縮めましょう。


最終回は、日本で助産師として勤務後、ご主人の駐在に付き添い、タイ、イギリス、スペイン、イギリスと10年間を海外で過ごす西川直子さん。現地での日本人ママ向け子育て支援を経て、オンラインで世界中のママ達をサポートする場を立ち上げる他「助産師オンライン24時間マラソン」を主催する等、精力的な活動を続けています。

異国で気がついた「育児に正解はない」

――世界各国で暮らす日本人ママ達をサポートする取り組みとは?

「日本で長男を出産したのですが、思い通りにならないことが多くて、子育て支援センターに毎日通いました。その経験から、初めて駐在帯同したタイでは、支援センターのかわりになればと、自宅でお茶会を開きました。4年間で200回、のべ650人のママが来てくださいました。その後のスペインでは最初、お茶会の需要が少なく、それならば世界中のママのためになることを、と2017年にfacebookグループ『世界のママが集まるオンラインカフェ(せかままcafe)』を立ち上げました。現在の会員数は2000人を超え、月20回以上様々なテーマで集まりが開かれています」

――異国での子育ては、驚きや戸惑いの連続かと思われますが・・・。

「異国で子育てするママ達の悩みは日本のママ達と変わらない部分もありますが、沐浴、補完食(離乳食)、言語教育、寝かしつけなど、その国の風土や文化と密接に関連するものもあります。例えば、便秘になるからとスペインでは離乳食にお米はNGと医師に言われたというママがいました。日本の育児の常識がひっくり返される場合も多々あり、育児において絶対こうすべき、という正解はありません。どうするかは、自分で選ぶものとママ達に伝えています」

せかままcaféのキュートなロゴ

「ママと助産師がつながる」助産師オンライン24時間マラソン

――世界のママ達を支える活動が、助産師とママをつなぐイベントにつながったのですね。

「海外に出ると、日本の良い部分、悪い部分がみえてきます。イギリスに住む日本人助産師達とつながり、違いを知り、日本のために何かしたいという思いが強くなりました。そこで、助産師とママ達のつながりを強め、共に変化を求めて行動できるきっかけを作ろう、日本では理解が進みづらい助産師という職業についてもっと発信しようと『助産師オンライン24時間マラソン』を開催しました。ZOOMを使って、セックスから性教育、母乳育児やパートナーシップなど、助産師と女性ならではの 16 テーマを 31 人のメンバーがファシリテーターになり、途切れることなく 24 時間話し続けました」

――参加者の反応は?

「皆、たくさんの気づきがありました。お産の現場を離れた潜在助産師からの反応も多かったです。

『業務が忙しくて、ママ達に寄り添えなかったことがつらかった』

『助産師なのに育児がうまくできない、分からないと悩んでいましたが、同じ想いの助産師さん達がいて心が楽になりました』などです。

録画申し込みを合わせ763名から申し込みがありました。まず、声に出すことが、自分や周囲を変える第一歩だと実感しました。今年も是非開催したいです」

参加者と、笑顔で記念写真

日本の助産師は激務。母親に寄り添うケアがしづらいのでは?

――海外から日本の妊娠・出産をみて、どう思われますか?

「決して欧米礼賛というわけではありませんが、母親に寄り添う仕組みについて考えます。日本では、看護師資格をとってから助産師になりますが、他国では直接助産師になる道(ダイレクトエントリー)があり、専門職として業務に集中できる環境が整備されています。イギリスでは、助産師が関わるのは主に妊娠中から産後6週間までと期間も区切られています。ダイレクトエントリーがないのは、G7では日本だけ。日本の病棟では、看護もやらねばということで、ますます激務になり、ママ達に寄り添うケアができない、離職率も上がる、という悪循環に陥ります」

海外生活10年目、オンラインでママ達をサポートする西川さん

日本のお母さん達も、もっと意思表示を

――最後に、お母さん達へのメッセージをお願いします。

「日本では要望を口にすると『大変なのはあなただけではないのだから我慢しなさい』と言われることもあり、希望通りのお産ができず、自信を失ったまま育児を始める人も少なくありません。日本のお母さんは、私を含め『自分が我慢すればいい」』と考えがちではないでしょうか。でも、妊娠・出産においても、もっと意思表示をして『私はこうしたい』と言える人を増やしたいです。イギリスでは、医師、助産師、ママは平等な立場で意見交換します。コロナ感染防止対策による立ち会い出産制限も、イギリスではママ達が声をあげて1人まではOKに変わりました」

せかままcafe: https://peraichi.com/landing_pages/view/sekamamacafehp/

助産師オンライン24時間マラソン:https://peraichi.com/landing_pages/view/mwonline24hour

(3回シリーズ完結)

(同シリーズ第1回、第2回は著者記事一覧よりご覧ください)

岡本 聡子

岡本 聡子ライター・経営学修士・防災士

戦略系経営コンサルティング会社を経て、上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『中国のビジネスリーダーの価値観を探る』(『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を加筆・改題)を株式会社アルクより出版。幼稚園児の母。分析・事業開発支援、NPO運営なども行う。oyakobousai@gmail.com facebook.com/okamotosatokochina

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