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一度、ゆっくり考えてみませんか。あなたにとって生理とは?

一度、ゆっくり考えてみませんか。あなたにとって生理とは?

1961年、日本初の生理用ナプキンのCMがお茶の間に登場! 流したのは、元祖使い捨てナプキン「アンネナプキン」を開発、販売したアンネ社でした。今年でちょうど60年ですね(https://www.asahi.com/articles/ASP6D7WYXP69UTFL00P.html)。

女性の人生のあちらこちら。生理は様々な形で顔を出す。けれど「生理のこと、あんまりよくわからない」という女性は案外多いのでは? そこで、医師という立場から、性教育に関する活動をされているアクロストンのお二人に「生理に関するあんなこと、こんなこと」を教えていただきました。

どれだけ知ってる? 生理に関するQ&A

Q1 まず、そもそも生理の仕組みは?

―アクロストン(以下A) 生理はホルモンの働きによって起こります。視床下部から、下垂体へ、次いで下垂体から卵巣へとホルモンが出されると、卵巣の中で卵子のもととなる卵胞が育ち始め、十分に成熟すると排卵します。この間、子宮内膜はホルモンの働きにより厚くなっていって、受精が起こらなければ厚くなった子宮内膜が剥がれ落ち、血液とともに膣から排出される。これが生理です。

Q2 初潮を迎えると、妊娠できるようになる、と聞いたことがありますが、これは正しい?

―A 初潮は、初めての排卵後に起こる現象。頻度は少ないですが、初潮の前でも妊娠する可能性はあるんですよ。

Q3 そうすると、初潮が遅い場合、初潮より早く性交渉を経験することもありえますね。近年、初潮年齢は早まっている、と聞きますが?

―A 大阪大学の「全国初潮調査(http://hiko.hus.osaka-u.ac.jp/hinorin/introduction.pdf)」によれば、初潮年齢は若年化が進んでいましたが1997年頃からはずっと12歳程度。「体が大きいと初潮が早い」といわれますが、「〇cm、〇kg位」という単純なものでなく、急激な体格の伸びの数年後に初潮がくる、という報告もあります。ただ、16歳まで初潮がない場合は、思春期外来の受診をお勧めします。

この調査を見ると、明治22年の平均初潮年齢はおよそ15歳。また男子の精通は、初潮より平均2年程度遅い、というのも興味深い!

Q4 個人差が大きい生理。経血の量などは人と比較できず、また、生理痛を放っておいたら、子宮筋腫だった、という話を聞いたこともあります。受診の目安を教えてください。

―A どんな状態でも、気になる点があれば、ぜひ、婦人科の受診を! 受診の目安は、

経血の量

・経血の最も多い日に、通常タイプのナプキンを1時間以内に交換する必要がある。

・頻繁にトイレに行き、学校や仕事など日常生活に支障をきたす

・親指の頭よりも大きい血の塊が出る。

生理不順

正常な生理周期は25~38日間隔で、3~7日間。この基準から外れると生理不順ですが、思春期では割とよくあること。毎月来ていた生理が3か月以上あく、20日以内の間隔で生理がくることが続く、などの場合は受診を。

生理痛

生理通は我慢せずに早めの鎮痛剤の内服をお勧めしますが、鎮痛剤を飲んでも効かないほど痛い、あるいは、毎回の生理の際に連日内服しないと辛いような場合は子宮内膜症など子宮の病気が隠れていることも。ためらわず受診してください。

月経前症候群(PMS)

PMSは生理前の10日ほどの間に生じる心身の不調のこと。イライラ、記憶力や集中力の低下、不安、強い眠気、不眠、便秘、下痢、頭痛、吐き気などが主な症状です。PMSの治療には低用量ピルが効果的。婦人科を受診して処方を受けましょう。

不正性器出血

生理周期以外の出血がある場合、だらだらと出血が続く場合は婦人科を受診しましょう。

Q5 40㎝サイズのナプキンでも一晩持たずに漏れてしまう、と友人が悩んでいましたが、受診を勧めるべきですね。PMSはどう対処すればいいですか?

―A PMSには低用量ピルの使用が有効ですが、心の症状がより強い場合は月経前不快気分障害(PMDD)と呼ばれ、精神科や心療内科の受診もお勧めします。

Q6 低用量ピルの使用は避妊のため、と思っていました。

低用量ピルは、排卵を止める作用があるので、内服により生理は軽く、経血は少なくなります。旅行や受験がある場合など、生理の日程を調整することも可能。

副作用は胸の張り、吐き気、むくみ、不正出血、血栓症などですが、血栓症の可能性は喫煙していなければかなり低く、その他の症状も2~3か月内服を続けると軽減します。長期間の服用も問題ありません。PMDDで精神科や心療内科の服用薬がある場合も併用して問題ないことが多いですが、低用量ピルを服用していることを必ず医療機関にお伝えください。

Q7 「生理中は妊娠しない」というのは本当? ほかにも「生理が早く始まると、閉経も早い」とか「妊娠期間や授乳期間で生理が止まっている期間は、閉経もその分延びる」とか、生理には色々な噂がありますね?

―A 生理周期が乱れて排卵時期が早まると、生理中でも妊娠する可能性はあります。また、初潮年齢、妊娠回数、授乳期間のどれも閉経年齢とは無関係といわれています。

Q8 現代女性の生涯生理の回数が450回!なんて調査も……(https://whasympo.com/images/whadatabook2018.pdf)。生理は女性の体にどんな影響を与えますか?

―A 栄養状態が良く、妊娠回数や授乳期間が昔と比べてずっと少ない現代では、100年以上前と比べて生理の回数が約5倍になっているそうです。生理の回数が多いことは正直、デメリットが多いです。まず、痛み、だるさ等の月経困難症やPMSは心身ともに辛いもの。また生理の回数が多いというのは女性ホルモンがたくさん出ている期間が長いということでもあり、その影響で罹りやすくなる病気があります。「女性ホルモンで肌をきれいに」なんて広告を見たことがあるかもしれませんが、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、子宮体癌、卵巣癌、乳癌に罹る可能性を高めます。

生理が毎月来ることのメリットを強いてあげるとしたら、規則正しくくることで、ホルモン動態が保たれていることがわかることぐらいでしょうか。

子どもには、興味や理解に合わせて正しい仕組みを説明しよう

― 息子が小さかった頃、生理中に一緒にお風呂に入るか、で悩みましたが、同じ悩みを持つ友達が案外多かったんです。子どもに生理についてどう教えたらよいでしょう?

―A 子どもにとって「血=怪我」のイメージがあるので、子どもと一緒にお風呂に入った時、 お風呂で経血について子どもが疑問に思ったら、まずは「これは怪我じゃないし、痛くもないよ」と説明するところから始めてみるのが良いと思います。その後「子宮という赤ちゃんが育つところから血が出てきたんだよ」など仕組みについて話してみるのがお勧めです。年齢や性別で説明に違いはありませんが、ホルモンや排卵など、一気に説明することは、する側も受ける側も辛くなってしまいます。子どもの興味や理解に合わせた説明がポイントです。

― 性に興味を持つ年齢になると、生理に関して、男子が女子に性的な言葉をかけたりすることがあります。

―A 生理に関する知識がないために、「セックスすると生理になる」なんて誤解している子どももいれば、生理をこの世に無いものとして、一切生理について話さない子どももいます。まだ性に関する偏見がない思春期前に、性別に関係なく、生理の仕組みや症状、ケアの方法を伝えることがお勧め。女子の場合、初潮が起こる子が出始める小学3、4年生頃に生理用品の使い方を説明しておくと、不安にならずに済みますね。

生理は体に起こる当たり前の現象

― 生理について知る、ということは男女問わず、どのような意味を持つのでしょうか?

―A 生理について知るということは、当たり前に起こる体の仕組みについて知ること。例えば、鼻水やくしゃみ、熱など、風邪の症状や程度は1人1人違うことをほとんどの人は知っています。ところが生理は風邪より一般的、ともいえるのに、不安や痛みなど、生理に伴う様々な症状はあまり理解されていません。だからこそ「生理は特別なものではなく、体に起こる当たり前の現象で、1人1人違うもの」ということを多くの人が知り、理解する必要があるのです。何より強く伝えたいことですね。

経済的な理由で必要な生理用品を用意できない「生理の貧困」について、9月17日の読売中高生新聞が特集を組んでいました(https://kyoiku.yomiuri.co.jp/torikumi/teen/contents/post-565.php)。我が家の中高生の息子も目にしたはず。生理用ナプキンのCMは、今ではゴールデンタイムにも普通に流れ、これで初めて「生理」に触れる男子も多いのでは? 生理に対する社会の意識は、確実に変化しているように感じます。

男女問わず、生理に関する正しい知識は、時に人生を選択、設計するためにとても重要な意味を持ちえます。ただ。アクロストンのお話を伺って、生理をタブー視したり、逆に神聖化したりすることなく、排せつと同じ「普通の生理現象」と捉えることが理解の出発点なのかも、と感じました。

●教えてくれた人

アクロストン

妻・夫である2人の医師による性教育コンテンツ制作ユニット。公立小の保健の授業や楽しく性について学べるワークショップを日本各地で開催。家庭ではじめられる性教育のヒントや性に関する社会問題についてなどを発信している。

監修:『シールでぺたぺた おうちせいきょういくえほん』(主婦の友社) 

著書:『3~9歳ではじめるアクロストン式 「赤ちゃんってどうやってできるの?」、いま、子どもに伝えたい性のQ&A』、『思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!』(ともに主婦の友社)

参照

6月13日・朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASP6D7WYXP69UTFL00P.html

大阪大学・全国初潮調査

http://hiko.hus.osaka-u.ac.jp/hinorin/introduction.pdf

ウィメンズ・ヘルス・アクション・DATA BOOK

https://whasympo.com/images/whadatabook2018.pdf

9月17日・読売中高生新聞

https://kyoiku.yomiuri.co.jp/torikumi/teen/contents/post-565.php

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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