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【フランスからの報告】OK?  NG? 日仏・躾ギャップ
2020.11.22 by 祐天寺りえ 祐天寺りえ

【フランスからの報告】OK?  NG? 日仏・躾ギャップ

フランスといってもパリから660km以上離れたスイスとイタリアの国境近く、フレンチアルプスのスキー場暮らし。そんな田舎&山から、華やかさはないけれど、ごく普通で一般的なフランスの日常や教育についてご紹介。

今回は、日本と真逆のフランスの躾事情についてレポート!


第10回 OK? NG? 日仏・躾ギャップ

「告げ口」&「言いつけ」はOK

村の小学校に勤務して最初に驚いたことといえば「告げ口は大いに結構」なことだった。

例えば、誰かが汚い言葉(いわゆる「畜生」「くそったれ」「 阿呆」など一般に禁止されているスラング)を口にした。髪を引っ張った。つねった。足を蹴られたなど。ごく小さな意地悪やけんかでも、子ども達はそれを教師や私達スタッフにすぐに訴え、それに大人は耳を傾け、相手の子を呼び、即、問題を解決しなければいけない。

家でも同様。友達と何か問題があれば、子どもは親に言いつけ、親は翌日には連絡帳に書いてきたり、電話、あるいは学校に来てそのことを申告。教師は調停役になる。

今はわからないが「すぐ告げ口する子」や「言いつけ魔」は小生意気と嫌われ、子どものけんかに大人が口を挟むこともよしとしない傾向が強かった日本で育った私は、はじめ、これになかなかなじめなかった。

そして、つい子どもの訴えを聴き流したり「まぁまぁ。大したことじゃないでしょう」と、訴えてきた子の方をなだめがちだった。

でもしばらくして気がついた。こうして火を小さいうちに消してしまう。これは確実にイジメ防止になっている! と。

中学生以上になっても同様。同僚のひとりは「息子が太っていることでイジメられたから、今日は訴えに行ってくる」と仕事を早退し中学に行き教師と面談。翌日からイジメはストップ。いじめっ子達はターゲットを変えたのだろう。

ただし、常に言いつけてばかりの常習者的子どもはフランスでも好まれないし、信用もされない。そこはいずこも同じことらしい。

「人見知り」&「シャイ(内気)」はNG

幼児の頃、日本では「小さいから仕方ない」と許される「人見知り」。許されるからだろうか、人見知りをする子は日本では珍しくない気がする。それがフランスでは多くなく、それ故に、たまにいると「あら、ずいぶんと非社交的な子ね」と冷たく言い放たれたりもする。

人見知りやシャイも個性のひとつ。認めてあげないとかわいそう、と論理的には優しく言いながら、実際には多くの親が早くも乳児のうちから他人には笑顔で接し、しゃべれるようになったらボンジュールと挨拶できる子にしつけている。

大人についても同様。「あの人は無口」は、つまり「社交性がない人」という批判的言い回し。だから「寡黙な男性がかっこいい」「口数少ない女性は奥ゆかしい」といった風潮もなく、有名俳優や女優、歌手達も大半がとても饒舌だ。

「しかめっ面」はNG

「しかめっ面」や「ふくれっ面」はNG。ふざけてやっても、たちまち「ノンノンノン。おやめなさい!!」と叱られる。そんなことくらい大目に見ても、と最初は思ったが、後になって納得。

叱る一番の理由は「無礼だから」らしいが、なににしろ表情というのは大切だ。表情豊かなことはいいことだが、不満を露わにしない癖をつけることは自制心を養い、わがまま防止になる。この躾をされていない子どもは、わがまま、頑固、従順さに欠ける子が多く、幼稚園や学校で教師の手を煩わせている傾向がとても強い。

「大きな声でハキハキ」はNG 。「ささやくように小声で喋る」はOK

「大きな声でハキハキと話しなさい!」と私にしつけられた長女が、連絡帳に「小声でささやくように喋る癖をつけるように」と書かれてきた時には本当に驚いた。字も同様。「伸び伸び大きな字」は必ずしも褒められず、逆にミミズが這ったような小さな字でも叱られることはさほどない。

また、コソコソ内緒話をしていても意地悪な行為とは受け止められず、むしろその場をうるさくしない好ましいことと奨励されたりもする。

お仕置きは家の内? 外?

子どもを叱る時の注意点については、「感情で叱ってはいけない」「ダラダラ長い小言も効果なし」「手を出すのは厳禁」「テレビやスポーツなど遊びの禁止も良くない」など、日仏あまり違いはない。

ただ、これは私だけだろうか? 「言うことを聞かないのなら出て行きなさい!」と外に放り出すのは、アパート内で我が家だけ。

他の家は皆「部屋から出るな!」と子ども部屋に閉じ込めていた。なぜなら大抵の子どもは、外で友達と遊ぶことがなによりも大好き。室内でも兄弟姉妹と戯れたく、ひとりぼっちを嫌う。

育児書などでも「部屋や廊下に一人で居させる」が勧められているし、考えてみれば外に放り出すというのは安全面ではよくないことかもしれない。しかも「家から出ていけ!」は親の権力威力を知らしめるもので、リベラルな現代に反する行為。でも、私はつい言ってしまい、我が子たちは玄関の外で頭を冷やし、家に入りたいがために「ごめんなさい」と謝罪してきたものだった。

いずれにしろ「郷に入っては郷に従え」。3人の子ども達はフランスで生まれ育ちフランス人になるのだから(日本は二重国籍不可なので)、フランスに従うのがスジ。それが「移民の心得」と考えて子育てした。

知らずに「大きな声でハキハキと!」喋らせたり「出ていきなさい!」と家から放り出したり、他にも気づかずに、フランスでは「非常識」な躾をいくつもしたに違いない。

そんな風に育った彼らが親になった時、果たしてどんな躾をするのか? それが実に楽しみだ。

祐天寺りえ

祐天寺りえライター

1994年フランスのスキー場(メリベル)に移住。小学校勤務(給食、教室清掃、スクールバス添乗など)、執筆業、鍼灸&指圧&アロママッサージなどを生業とする3子(19&20&25歳)のシングルマザー。著書「フランスの田舎暮らしとおいしい子育て(小学館)」「食いしん坊の旅(パラダイム出版)」「フランスだったら産めると思った(原書房)」facebook.com/rie.yutenjiosaki

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