知的障害のない自閉症もあるの?自閉症の子どもへの接し方や注意点
一般的に知られる自閉症は、言葉や知能の遅れなど知的障害が伴うイメージを持つ人も多いでしょう。
しかし、自閉症の中には知的障害のないケースがあることをご存知ですか?そこで今回は、知的障害のない自閉症について深掘り解説します。
知的障害のない自閉症とは?症状は?
知的障害のない自閉症には、どのような症状が現れるのでしょうか。知的障害のない自閉症の概要や症状について見ていきましょう。
知的障害のない自閉症とは
知的障害のない自閉症は、言葉や知性の遅れがないことが大きな特徴です。しかし、その場の空気を読んだり一般常識といわれる社会的なルールを理解したりする能力が乏しい傾向にあります。
知的障害のない自閉症を発症する割合は約1%。そして、女性より男性のほうが発症することが多く、その数はなんと女性の約4倍になることがわかっています。知的障害のない自閉症は性別に相関関係があるということです。
知的障害のない自閉症の症状
知的障害のない自閉症には、「社会性の障害」「言語コミュニケーションの障害」「想像力の障害」の3つの特徴があります。まず社会性の障害は、同年代の相手とうまく付き合えないことが大きな特徴です。
周囲に馴染めない分、一人で遊んでいることも少なくありません。言語コミュニケーションの障害は、相手の気持ちを読み取って話を進めることができないのが大きな特徴です。
言葉の発達に遅れはないので十分なコミュニケーションは取れますが、場の雰囲気や相手の表情から気持ちを汲み取れないため一方的に話してしまうことも。
想像力の障害とは、ある特定の物事やルールに強いこだわりがあり、臨機応変に対応できず柔軟性に欠ける特徴があります。自分の関心があることに対して強いこだわりを発揮するため、周囲が驚くほど優れた才能を開花させることも。
ルールにこだわりを持つ子どもの場合は、いつものルーティンが少し変わるだけで癇癪を起こす子もいます。
知的障害のない自閉症への接し方
知的障害のない自閉症の子どもに、どう接すればよいのか分からない人も多いでしょう。そこで、知的障害のない自閉症への接し方を紹介します。
指示は簡潔にまとめて伝える
絵本が散乱していた時に「ちゃんと部屋を片付けて!」と叱ることもあるでしょう。ただ「ちゃんと」など曖昧な表現を、知的障害のない自閉症の子どもに理解させるのは難しいといわれています。
そのため、「絵本を本棚に入れて」など具体的に指示することが望ましいでしょう。
視覚的な指示を明確にする
知的障害のない自閉症の子どもは、漠然とした空間や時間を把握することが難しいといわれています。そのため、視覚的な情報を加えてあげることが大切です。
例えば、1日のスケジュールをカラーペンで彩ったり空間を目的に合わせて仕切ったりするのがおすすめ。視覚的な情報が入ると目的に合わせた行動を取りやすくなるようです。
自閉症の子どもと接する際の注意点
問題行動が増える時は、本人が何か自分で解決できない困難な状況に直面していることも考えられます。
そのため、行動を改善させようとするのではなく、「なぜ問題行動が増えているのか」に焦点を当てて改善策を見つけることが必要です。そうすることで、本人が困難に感じることを解消できて問題行動が改善されるでしょう。
個人のニーズに合わせた対応を心がけよう!
知的障害のない自閉症の子どもは、言葉や知性の発達の遅れはありません。しかし、対人関係に問題があったり特定のことに強いこだわりがあったりなど、別のところで症状が現れます。
個人によって症状が異なるため、それぞれのニーズに合わせた対応を心がけることが大切です。