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ひといちばい敏感な子(HSC)~「子育てハッピーアドバイス」著者・明橋大二医師に聞く(2)

ひといちばい敏感な子(HSC)~「子育てハッピーアドバイス」著者・明橋大二医師に聞く(2)

「うちの子は、他の子よりも傷つきやすく、不安になりがち?」こんな風に感じたことはありませんか? シリーズ累計500万部を超える「子育てハッピーアドバイス」著者であり、ひといちばい敏感な子(HSC)に詳しい明橋大二医師に、HSCの子育てについてうかがいました。

 前回記事:第1回「ひといちばい敏感とは

第2回 ひといちばい敏感な子(HSC)を育てる

「うちの子はHSCかもしれない」というご両親へ

我が子がHSCだと気づき、戸惑う親御さんも多いかと思います。しかし、明橋先生はこう言います。

「HSCのお子さんの気持ちを尊重して接すると、周囲からは『過保護だ』『甘やかしている』と言われがちです。でも、違うんです。親の関わり方は、子どもの特性にあわせた結果であって、原因ではないのです。他の子と同じように育てようとしたら、その子はストレスを感じてしまうのですから」

なかには、我が子がHSCだということをなかなか受け入れられない親御さんもいるでしょう。お父さん、そして男の子という組み合わせだと、特に抵抗感を感じるかもしれません。

「敏感で優しい」とは、女の子の性質のように受け取られがちですが、明橋先生によれば、HSCは男女ほぼ同じ確率で存在します。国が違っても同じようにあらわれます。

性別の先入観により、男の子は細かいことは気にしないと思いがちではありませんか? これでは、本人が敏感だと言いづらくなるかもしれませんし、結果、本人の性質を隠し生きづらくなります。

お父さんの中にもHSCだった人はいるはずですが、「自分は周りには隠してきたし、克服した。お前もがんばれ」という態度をとってしまうのかもしれません。

そんな方々へ、明橋先生からのメッセージです。

「我が子がHSCだと認められないのは、親御さん自身も辛い経験をしてきたトラウマがあるからかもしれません。また、HSCのことを知らないために、病気や障がいと結びつけたり、否定的にとらえてしまうこともあります。まずは正しい知識を得ていただきたいです」

日々の診療を行いながら、子育て支援を熱心に行う明橋先生(明橋先生提供)

HSCを育てるうえで心がけたいこと 

①全面否定や体罰はNG

HSCはちょっとした否定の言葉を、全人格を否定されたかのように受け取ることがあります。そのため、叱る必要はなく軽く注意するだけで十分です。

全面否定せず、『ここはよくできているね、あとはこの部分がこうなるといいね』と、できている部分をほめましょう。
それでも落ち込んでしまったら、後からフォローをしっかりしましょう。
体罰は子どもによくありませんが、HSCには特に厳禁です。

②ほめることが大切

HSCは自分に厳しく、自分を責めてしまいがちです。人に対しても容赦なく批判しますが、それ以上に自分の過ちを深く受け止めます。
そんな時は、親御さんがお子さんのいいところをみつけてほめましょう。優しい、気がつく、正義感が強い、繊細、ユーモアがある、創造性、芸術への感性などHSCには素晴らしいところがたくさんあります。

HSCはほめられて伸びる子ども達であり、まわりの人の笑顔が大好きです。

③「手のかからない、いい子」にしないこと

HSCは、親や大人の気持ちを敏感に察知するので、大人が自分に何を求めているのか、何を期待されているのかを鋭くキャッチし、大人が指示する前に大人の望む行動をとってしまいます。そうすると、一見「聞き分けのよい子」「手がかからない子」だと思われ、ますます十分な世話や関心を受けないまま、大人になってしまうことがあります。でも実は、もっと大人に甘えて頼りたいのです。

さらに、自分がいい子でいる間は受け入れてもらえるけど、もし悪いところを出すと、その途端嫌われて、見捨てられるのでは、と不安に感じることがあります。これは後で、赤ちゃん返り、試し行動、さまざまな心身症につながることも考えられます。

HSCには、自己肯定感が特に重要

「自分は生きている価値がある」「ありのままの私でいい」という気持ちは、心の成長の土台になり、これがあって初めて、しつけやルール、勉強などが積みあがります。自己肯定感は、自分のいいところも悪いところもすべてひっくるめて受け入れられて育つものです。自己肯定感が育っていれば、何事も前向きに取り組むことができ、多少つらいことも乗り越えられます。

「HSCは、傷つきやすいところがあるので、HSCと知らずに他の子と同じように接して育て続けると、自己肯定感が下がりやすいのは事実ですが、『HSC=自己肯定感の低い人』ではありません。きちんと特性にあわせた育て方をすれば、自己肯定感は育ちます」

【HSCの自己肯定感を育む10のこと】 
①子どもの感じたこと・気づいたことをまず信じる
②不安やパニックの時、抱きしめる
③否定せず、共感する
④気持ちを言葉にして表現できるように手助けする
⑤ネガティブな感情を吐き出させ、気持ちを受け止める
⑥目標を細かく分けて、小さなゴールを達成する
⑦心の安全基地、逃げ道を作っておく
⑧その子のペースを尊重する
⑨親から見て絶対大丈夫な時は、少し背中を押してみる(チャレンジさせる)
⑩他人と比べるより、自分のゴールを目指そうと伝える

(文:岡本聡子)

第3回「学校や周囲に、理解・協力してもらおう」に続きます。

【明橋 大二(あけはし だいじ)氏プロフィール】

精神科医、真生会富山病院心療内科部長。大阪府生まれ、京都大学医学部卒業。専門は、精神病理学、児童思春期精神医療。現在、児童相談所嘱託医、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長、一般社団法人HAT共同代表(http://www.hat-a.com/)。富山県虐待防止アドバイザー、富山県いじめ問題対策連絡会議委員、南砺市政策参与。

著書は、『子育てハッピーアドバイス』シリーズ(http://www.happyadvice.jp/)など多数。同シリーズは500万部を超えるベストセラーとなり、韓国、中国、台湾、タイ、ベトナムにて、翻訳出版されている。

明橋先生の公式サイト:http://www.akehashi.com/

「HSCの子育てハッピーアドバイス」(1万年堂出版)

「子育てハッピーアドバイス」(1万年堂出版)

岡本 聡子

岡本 聡子ライター・経営学修士・防災士

戦略系経営コンサルティング会社を経て、上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『中国のビジネスリーダーの価値観を探る』(『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を加筆・改題)を株式会社アルクより出版。幼稚園児の母。分析・事業開発支援、NPO運営なども行う。oyakobousai@gmail.com facebook.com/okamotosatokochina

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