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「通級」ってなに? 子どもの健やかな成長のために

「通級」ってなに? 子どもの健やかな成長のために

通級」とは? 早目の準備が望ましい

いよいよウチの子も来年は小学生! 大きくなったなぁと感慨にふける一方で「ウチの子、大丈夫かな……?」とちょっと不安になることはありませんか?

たとえば、落ち着きがなくてじっと座っていられない、おしゃべりがあまり上手じゃないみたい、人の話をぜんぜん聞いていないかも? もしかして、何か障がいがあるのでは? などなど、些細なことではあるけれど、小学校の授業やお友だちとの関係に影響がありそうです。

そんな特性を持つ子のために「通級」というものがあるのをご存じですか? 筆者の周りではその存在すら知らないか、知っていてもイメージだけぼんやりと持っていて、実際はどんなものなのかはわからないという人が多いよう。

通級とは「軽度の障害のある児童・生徒を対象として特別な教育課程によって指導を行う制度」のこと。“障害”というとドキッとしますが、難聴や、弱視、吃音のような言語障害なども含まれます。早めに対応することで、学校生活で子どもが感じる困難が大幅に改善することもあるのに、よく知らないために利用する機会を逃しているということも少なくありません。

また、通級を利用するにはさまざまな手続きが必要なため、小学校にあがるタイミングで始めたい場合は早目に手配するのがおすすめ。ここでは筆者の体験談とともに通級とはなんぞや? をご紹介します。

子ども1人ひとりに合わせた特別な支援をしてくれるのが「通級」

「通級」とは「通級指導教室」の略で、文字通り「通うクラス」のこと。つまり、在籍するのは通常のクラスで、一般社会で生活するのに困難になるかもしれない特性をもつ子が「週に〇コマ」など定められた回数(時間)、教室を移動して個別に指導・支援を受けることができます。公立の小学校と中学校では制度化されているのでほとんどの学校に設置されていますが、私立の学校や高校ではまだ設置校は多くないのが現状です。

「指導」なんて単語が入っているため堅苦しい感じがしますが、これは子どもの特性に合わせた特別な支援を行うものであって、強制的に子どもを指導・しつけするものではありません。

通級を知るうえでとても大切なことは、通級を利用しているからといってそれは必ずしも子どもを「障がい者である」と断じるものではないということ。これは当事者であってもなくてもぜひ知っておいてほしいポイントで、通級を利用することそのものや、通級を利用している人に対する偏見をもたないようにしたいものです。筆者の周りではそうした偏見を気にするあまり、サポートを受けない決定をする保護者が少なくありませんでした。

どんなことをするの?

筆者の子どもは生まれつき舌が短いせいなのか、「か行」の発音が苦手。同じ保育園だった子はその発音に慣れていることもあり、スムーズに会話することができますが、初対面の人には聞き取りづらいことが多くしょっちゅう「え?」と聞き返されてしまいます。小学校で初対面の子が増えていけば、中にはその発音をからかう子も出てくるかもしれない。と不安になり、まずは住んでいる自治体の教育委員会(の該当セクション)に相談。日時を決めて専門機関で子どもの様子を見てもらい、通級「ことばの教室」を利用することが決まりました。

卒業まで週に2回(2コマ)通級に通い、うがいの動作で喉の震えから発声の仕組みを学んだり、ラムネなどの小道具を使って舌をなめらかに動かす練習をしたりと、発音をなおす訓練をしてきました。だんだん自分で気づいて言い直しができるようになり、中学では発声の練習は必要なしとの判断。まだ聞き返されることはありますが、それでも各段に発音がよくなったことは実感としてあります。

筆者の子どもが通った「ことばの教室」は同じ自治体の小学校の中でも1校にしか設置されていなかった(一般の通級は各校にあります)ため、他校の児童も通ってきていて、学年末になるとその子たちと合同で「おたのしみ会」を開催していました。子どもたちの1年間の成長を発表する場で、ふだんは先生と一対一のセッションですが、この日は保護者も呼ばれその成果を見ることができます。自分の子どももさることながら、ほかの子たちの成長をも目の当たりにするので、これは保護者としても楽しみでした。吃音がある子が深呼吸をするなど自分で症状が出るのを抑えることができて、すらすらと長い文章を読み終えたときにはその子の誇らしそうな表情に思わずうるっときてしまいました。

それぞれの特性に合わせた指導

通級で受けられる指導・支援の内容は多岐にわたります。基本的には“軽度の障害”のある子に対する支援ですので、その子の特性に合わせてカスタマイズされます。筆者の子どもが通った「ことばの教室(※自治体によって名称は異なります)」では先生と一対一で前述のような訓練を行います。ちなみに、筆者の住む自治体では、親が外国人の子どもも「ことばの教室」に通うことができ、そこでは読み書きのサポートも行っているようです。

コミュニケーションが一方的という特徴がある子の場合、似たような特性の子たちとともに一人でおしゃべりをし過ぎない、ゲームなどでみんなが楽しめるよう譲り合うなど配慮の必要性を知る、といったグループワークをすることもあります。気になる特性がいくつかあったとしても、基本的に受けられるサポートはひとつの特性についてのみ。たとえば「ことばの教室」と「コミュニケーションスキル」を組み合わせて受けることはできません。が、学校によってはもう少しフレキシブルに対応してくれることもあるようです。

教科書や決まったコースがあるわけではなく、先生や児童によって対応が異なりますが、どの学校でも「児童の特性に合わせてカスタマイズされる」というポイントは同じ。指導方針や内容は保護者とともに決定するので、保護者は学校に行く機会が増えることになります。「ことばの教室」のように、すべての学校に設置されているわけではない教室の場合は保護者の送り迎えが必要となるため少しハードルがあがってしまうというのが難点。とはいえ、これも改善傾向にあるので、あきらめずに相談してみてください。

子どもへの影響は?

指導・支援が功を奏すかどうかは指導者との相性などにもよりますが、子どもの特性や性格によっては通級自体がさまざまに意味のあるものになります。

筆者の子どもは大勢の子どもがいる騒がしい場所が苦手で、先生の話も聞き取りづらいという特性があります。そのため、先生と一対一または少人数で静かに集中できる通級の環境はとてもリラックスすることができ、まるでオアシスのように自分の居場所として非常に重宝しました。休み時間にも通級の先生に会いに行くなど、息抜きの場となっていたようです。

やはり通級を利用している同級生がいて、彼はクラスにいるときは授業中も暴れまわってじっとしていることができませんでしたが、通級ではいつも落ち着いて座って先生と向き合っていたといい、正直とても驚きました。

反面、クラスの子から「なぜひとりだけ授業を抜け出すのか」という疑問が出ることがあり、そこに居心地の悪さを感じる子もいるでしょう。高学年になればなるほどこの傾向は強まってくるかもしれません。担任の先生との協働が必要となりますが、友人関係とサポートとのメリットとデメリットのバランスを見て、続けるかどうか決めるのもいいでしょう。この場合ももちろん、子どもの意見を尊重することが大切です。

また、通級の時間は通常の授業を抜けることになりますから、少し授業の進捗に遅れてしまうことは避けられません。これに対し補習をしたり、連絡帳に進捗状況を書いて教えてくれたりといった配慮をしてくれる先生もいますが、対応は担任の先生によって異なります。どの授業のときに抜けるかは保護者に意見を聞くことが多く、筆者の場合は子どもが運動嫌いでほとんど自分からは身体を動かさないので、体育の時間はなるべく抜けないようにお願いしました。

高学年になるにつれ勉強に力を入れるため通級のコマ数を減らしたいなど、保護者の希望はある程度聞いてもらえるという印象ですが、近年では通級を希望する子が増えているため、なかなか思い通りにならないことも。とはいえ、一方的に決定されることはありません。

通級は強制ではなく、ある特性を持っている子どもがそうでない子たちの中にいたときに、過ごしやすくするための支援です。子どもに負担を強いるものではなく、その子に合った方法を指導者とともに内容を考えていくものですから、疑問点や違和感があったらすぐに指導者と相談しましょう。相談の機会は定期的に設けられていますし、どうしても子どもが嫌がる場合や成長に応じて特性に変化が見られた場合などは通級をやめることもできます。

通級を利用できるのは?

まず、通級は「通常のクラスで学習することができる」ことが前提。知的・情緒面でもう少し重度の障害がある子が毎日通う固定クラス「特別支援学級(※)」とは別のものです。いろいろな自治体のウェブサイトを確認したところ、対象者は「軽度の知的障害、情緒障害、弱視、難聴」などを例として挙げているケースが多いもよう。専門家によって特別な支援が必要と判断された場合に通級を利用することができます。

その「専門家による判断」は自治体によってさまざまで、医療機関によるなんらかの障害(広汎性発達障害など)があることを診断されていなくてはならない、といった対応のところも。ほかに、就学時健康診断(以下「就健」)を受ける予定がある人(※就健はどの自治体でも必ず行われますが、受けるかどうかは任意です)はそこで子どもの特性について相談するか、逆に、就健で通級を勧められるケースもあります。

就健はいつもと違う場所や雰囲気の中で行われるため、緊張してしまい「ふだんはそんなことしないのに」あるいは「ふだんはじっと座っていられないのに今日はおとなしい」というように、いつもと行動パターンが違ってしまう子もいます。就健で正しい判断がされなかったと感じたときや、入学後にサポートの必要性を感じたときはいつでも相談することが可能です。相談先は教育委員会に設置された該当部署に確認してみてください(※自治体によって名称が異なっています。お住まいの自治体のサイト内で「通級」を検索してみましょう)。

通級は相談から認定までさまざまな手続きが必要で、実際に通えるようになるまで数カ月という時間を要します。先述しましたが、近年では利用者が増えているのですぐに空きがなくなることも予想されます。早め早め、がおすすめです。

※特別支援学級は一般校に設置されていますが、障害の度合いが重いからといって必ずしも特別支援学級に入らなくてはならないわけではありません。また、さらに重度の障害がある子のために特別支援学校もあり、これは一般校とは別にあります。

岩佐史絵

岩佐史絵トラベルライター

東京都出身のトラベルライター。妊娠中も子育て中も闘病中も西へ東へ、旅・旅・旅! 旅のおかげでQOL(Quality Of Life=人生の質)が爆上がり! と思えるような、素敵な旅スタイルをご提案します。コロナ禍の今は旅ができずにしょんぼり……するわけもなく、身近に素敵♡を見つけてはご紹介。一児をもつシングルマザーでもあります。

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