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小さなお子さんがいる家庭向け防災ガイド「地震から身を守る③」

小さなお子さんがいる家庭向け防災ガイド「地震から身を守る③」

Part3 避難所に行くべき? ライフライン停止の影響とは?

9月は防災月間。コロナに気をとられて忘れがちですが、災害はいつ起きてもおかしくありません。首都直下型地震は30年以内に70~80%、さらに広域の南海トラフも同じ確率で起きるといわれています。

今回は、小さな子どもを連れての避難所や、電気・ガス・水道が停止したらどうなる? というテーマについてです。


避難所へ? 皆さんなら?

前回記事では、地震発生後12時間後までに何が起こるかをたどりました。

その中で、不安にかられた主人公ママは自宅建物は無事でしたが、子どもを連れて避難所へ行こうと最後に決意しました。

皆さんならどうしますか?

避難所ってどんなところ?

地震の際の避難所は、自宅が全壊または住めないほど半壊した人達を一時的に受け入れる場所です。定員も限られています。

大雨の際の避難所は事前に開設されますが、地震の際は、地震が起きてから開設されるためある程度時間がかかります。私も、防災リーダーとして避難所運営メンバーの方達と同席したことがありますが、町内会の役をされている高齢の方々が多いのが実情です。

子ども連れはまとまって過ごすことになりますが、特に優遇されるというわけではなく、場所とりなどは基本的に早いもの順です。そして、町会別運営・管理であるため、普段から交流がないと事情が分からず、不便なこともあるかもしれません。

また、不特定多数の様々な人々が、被災のストレスを抱えて集まるので、弱者への配慮は難しい部分があります。乳幼児向け・家族向け避難所は、一部地域には存在しています。

特に、運営が男性目線のことがまだ多く、幼児や女性への配慮は足りていません。もし、避難所で長期滞在することになれば、皆さんご自身のニーズをはっきり伝えましょう。

実際の運営者の方達とお話したことがありますが、乳幼児親子のことを気にかけています。でも、悪気なく、「ニーズに気づかない」のです。0歳の夜泣きと5歳の夜泣きの違い、授乳、生理用品、アレルギー食などへの希望は当事者でないと分かりません。

「わがままを言うなんて、と怒られそう」と我慢するママも多いかと思いますが、黙っていると「問題無し」とみなされます。同じ立場の仲間を見つけて、一緒に伝えましょう!

小さなお子さん連れで、避難所に行くことのメリット・デメリット

◆メリット

・食糧配給、情報収集の拠点となる
・安全とされる建物、場所にあることが多い

◆デメリット:

・初期は混乱しており、治安があまりよくない
 トイレに行った隙に物をとられた、置き引きなどはよく聞きます。貴重品はウェストポーチなどで身体に巻き付けましょう。

・トイレや食事などで並ぶ
 大きい避難所では、トイレに2時間待ちという事例も。

・見知らぬ人と同席するため、プライバシーが保ちにくい
 配置や間仕切りなどが工夫されている避難所もありますが、基本、男女・年齢の区別なく過ごします。

・いろんな人がいるため弱者への配慮をしづらい、騒ぐ子どもへのイライラがたまる
 子どもへの苦情や暴力の事例も。

・報道は少ないものの、性暴力の報告が多数 
 トイレに行く途中や就寝中に性暴力を受けたという報告が、年代問わずこれまでに寄せられています。災害時は、気持ちがたかぶり、ストレスもたまります。普段より犯罪に巻き込まれやすい状態であることを、忘れずに。

・感染症、衛生面のリスクがある 
 ほこりや土煙などにより、呼吸器疾患が起きやすくなります。アレルギーやぜんそくの方は要注意です。コロナの影響で、避難所の定員を3割程度に減らすところも。

結論は、小さなお子さんのいるご家庭は、可能であれば在宅避難を。津波、土砂、火災、倒壊の危険がある場合は、即時避難ですが、自宅で生活できそうであれば、自宅をおすすめします。

「避難所にいないと、食糧をもらえないのでは?」という質問をよく受けます。自治体などに問い合わせましたが、これは各避難所の運営者、すなわち町会や防災会の考え方次第で、一律の回答は得られませんでした。

東京都の想定するように、1週間は自宅で乗り切れるように食糧を備蓄して、物流の再開を待つ、というのが現実的かもしれません。

電気・ガス・水道停止時の、在宅避難のコツ

首都直下型地震では、

  電気は7日間、
  上下水道は30日間、
  ガスは60日間
止まるといわれています。

南海トラフ地震や他の地域でも、大きな地震ではライフラインに影響が出ます。

さらに、停電により、スマートフォンなど情報機器も使えなくなるため、安否確認や情報交換に支障をきたします。

東京都の想定では、家が無事な場合、「各家庭、1週間は自宅で乗り切る」とされています。

この前提で、各ライフライン別に対応策を考えてみましょう。

【電気】

◆灯り
・LEDヘッドライトを家族人数分準備。できれば、寝室やリビング、玄関など各部屋に常備できると安心。
 ヘッドライトは、両手が空くため子どもを抱っこしながら行動できます。

・ソーラー発電式や、長時間使用できる置き型ランプも便利。火災につながるろうそくやマッチはやめましょう。

ヘッドライト

◆スマートフォン

・モバイルバッテリーを満タンにしておけば、iphoneを3-4回充電できます。(スマホ機種と、バッテリー容量により異なります)

・ソーラー式(太陽光発電)ができるスマホ用バッテリーもおすすめです。お持ちのスマホ機種とあうUSB接続ケーブルを準備しましょう。こちらも普段から、USB充電で満タンにしておきましょう。PSEマーク付きの安全なものを選んでください。

ソーラーパネル付モバイルバッテリー

◆冷暖房

・寒さには、段ボールやゴミ袋、カイロを使って効率的に暖をとれます。今回は、詳細掲載できませんが、検索してみてくださいね。

・暑さ対策は、熱中症予防と同じです。水分を含んだ布を首の後ろに巻く、鼠径部や手足の先を冷やす、叩いて冷やすアイスノンを準備など。猛暑の被災後が一番恐ろしいかもしれません。
 私はこの夏、USB充電式で最長45時間稼働する卓上扇風機を購入しました。この消費電力の小さい卓上扇風機を、ソーラーパネルやモバイルバッテリーで動かす実験をしているところです。
いずれ、ブログやSNSで結果を発信できればと思います。
 皆様も、真夏の停電を乗り切る知恵があれば皆で共有しませんか?子ども達を熱中症から救いたいです。

【水道】

◆飲料水

・大人は、1日3Lの水を飲みます。4人家族だと大変な量になりますが、棚の奥や家具の隙間などを利用して備蓄しましょう。

給水車が来てくれるから大丈夫では?

給水車の数は、東京都では10台強、全国では1000台以上です。実際は、広域の災害では、自宅近くまで給水車はなかなか来ないと考えてください。地区の給水地まで歩いてくみにいくことになります(*1)。
(*1)公益財団法人 水道技術研究センター
http://www.jwrc-net.or.jp/hotnews/pdf/HotNews561.pdf

◆トイレ

・マンションでは、震度5以上で水道管の破損の可能性が指摘されています。他の部屋への水漏れは、地震免責のため支払われません。

地震により他人に与えた損害については、自分の火災保険・地震保険いずれでも補償されません(*2)。
(被害を受けた側が地震保険に加入していると、支払われる場合があります)
破損無しと確認されるまではトイレ使用を控えた方がよいでしょう。

(*2)損保ジャパン

https://faq.sompo-japan.jp/sumai/faq_detail.html?id=1001877

・大人は一日4~7回トイレに行きます。災害用トイレセットは必須です。
トイレセットの基本は、「吸収する」「密封する」の繰り返しです。
経験者によると、ごみの回収がないので、汚物の匂いが充満するのが悩みだそうです。

赤ちゃんのオムツ処理袋で有名なBOSがトイレセットを出していますので、匂い対策のご参考に。

BOS非常用トイレセット
BOS非常用トイレセットの中身

◆お風呂

・小さいお子さんに使う「おしりふき」を多めに常備すると便利です。

【ガス】

災害時の食糧の考え方を、ご紹介します。


①ローリングストック法
少し多めに買って、順番に食べていれかえていきましょう。

②ガスコンロで、お米を湯せんして炊く
煮炊きするためには、ガスコンロ、ガス缶、高密度ポリエチレン袋(湯せん用)を準備します。衛生面、心身の健康のためにも、一日一度は温かいものを身体にいれたいですね。粉ミルク、身体を拭く、などにもお湯は役立ちます。

・ガスコンロ、ガス缶(1本で60分使用)、水をはったお鍋、高密度ポリエチレン袋を準備。

・お米を炊くには、高密度ポリエチレン袋に、無洗米・同量よりやや多めの水を、袋の空気抜きをして入れます。20分湯せんして、少し蒸らせばできあがり。

高密度ポリエチレン袋の例

・ツナ缶や人参などを入れて同様に湯せんして、つぶせば離乳食もできます。

③自分や家族の好きなものを準備する。

食べたことのないもの、食べたくないものはやめましょう。無理に乾パンを食べる必要はありません。心身ともにストレスがかかっても、食べたいというものや慣れたものが良いですね。おやつも立派な非常食。

水の備蓄は大変!私の備蓄体験談

私は、真夏の被災が一番怖いです。
真夏にクーラーが使えないのもきついですが、飲み水がないのは死活問題。というわけで、水の備蓄は必須です。

転勤・引っ越し続きの我が家。この1年半は母子だけで暮らしていました。その際、必死になって2Lペットボトルを60本(計120L)備蓄しました。大人は1日3L、子どもは1.5 Lとすれば、断水時も4週間弱は乗り切れるという計算です(煮炊きや身体の冷却にはもう少し必要)。

しかし、夫が合流して3人住まいになった現在、以前と同じ120Lのままでは水不足。東京都の想定では、水道は1か月停止、でしたよね。

でも、この2LDKの狭いマンションのどこに備蓄をすればいいの?

まず断捨離でものを捨て、棚の奥や、ソファー下、洗面所などのデッドスペースを見直しました。すると、120L追加できるスペースが出現!

地震発生時に凶器になるので、寝室にそのまま段ボール箱ごと置くという解決法はだめです。

断捨離を進め、かわりに水を備蓄しようとすればスペースは絞りだせるものです。真夏に、貯水池にくみにいくことを考えれば断捨離も進みます。

しかし!

夫が「もう十分、水あるじゃん、いらないよ」と反対。でも、足りないのよ~。力仕事だけど、私がやるからいい! というわけで、合計240L(1日に大人3Lを2人分、子1.5L)、なんとか32日分の備蓄に成功しました。

いや~、身内の説得が大変でした。

夫婦で取り組む防災講座の必要性を実感した次第です。

でも、備蓄にこだわって今の生活に支障をきたすといけないので、皆さんの生活スタイルや価値観を大切にして取り組んでくださいね!

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上沢 聡子

上沢 聡子防災士、「赤ちゃんとママの防災講座」主宰

大阪で阪神大震災を経験。東京で出産後、「今、被災したら子どもを守れない」と奮起し、乳幼児親子向け防災を始動。同活動で「第9回健康寿命をのばそう!アワード母子保健分野厚生労働大臣賞優秀賞」を受賞。東京都語学防災英語ボランティア、中野区防災リーダー。幼稚園児ママ。oyakobousai@gmail.com oyakobousai.wp.xdomain.jp

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