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【フランスからの報告】コロナ禍といえども「黙食」は無理!

【フランスからの報告】コロナ禍といえども「黙食」は無理!

9月から新年度がスタート。学校給食も始まった。
フランスはワクチンの2回目接種終了率81.2%(9月15日時点)。外食もワクチン証明やPCR検査72時間以内の陰性証明があればOK。新規感染者数は、毎日1万人以上。
そんななか、まだワクチン接種をしていない小学生達が、どんな風に給食を食べているのかをリポートします。

第30回 コロナ禍の給食、フランスの今♬

新たな給食ルール

©️education.gouv.fr

私が勤務している村の小学校では、以前は50〜60名が全員一緒に給食をとっていた。
それがコロナ対策で、各テーブル最大6名まで。テーブルごとの距離も置くことになり、全員一緒はスペース的に無理。第1グループと第2グループに時間を分けられた。
ただし、フランスの小学校では「昼食は前菜からデザートまで、最低45分をかけて食べさせるように」という決まりもあり、コロナ禍といえどもそれは継続。
そのため第1グループは11時45分から12時30分まで。第2グループは12時30分から13時15分までとなり、第2グループの子ども達は、かなり空腹を覚えながら校庭で遊んで待っている。

校庭もクラスごとにテリトリー分け

村の小学校は3クラスのみ。1つのクラスが給食を食べている間に、残る2クラスは校庭で遊びながら待機。その2クラスも領域を区分。1クラスは屋根もある場所で(写真下)、もう1クラスはサッカーやバスケットができるが、雨の日は逃げ場がない場所なので屋内で読書や工作をして過ごす(写真上)。

その校庭での外遊びも、以前とは違いクラスごとに遊ぶ場所を決め、ボールなど遊具も他のクラスの子が触れてはいけないルール。
これは感染予防というより、仮に感染者が出た場合そのクラスだけを閉鎖すればいいように、というための決まりだ。

陽性者が1人出た場合は即日、学級閉鎖。そのクラスの子どもは全員すぐにテストを受け、7日目に再度受ける。そして1度でも陽性の場合は10日間の隔離。2回のテストとも陰性であれば証明書持参で登校できるが、更に7日間、外遊びの際もマスクは着用(通常の着用義務は屋内のみ)。これが保健省からの通達。

1テーブルにつき6人まで。席替えも禁止。

給食中もテーブルはクラスごとで、クラスを混ぜることは禁止。(これも学級閉鎖だけで済ませ、学校閉鎖にはしないための対策)
席も毎日、同じ場所。席替えは許されない。

以前は、故意に学年を混ぜ、高学年の子が低学年の子のステーキを切ってあげたり、コップに水を注ぐなど面倒をみる、給食はそんな教育の場でもあった。

マスク・ルール

マスクについては、小学1年生(6歳)から義務。

校庭ではつけなくてもよく、食堂への移動中のみ着用。
授業中は着用が基本だが、フランスの小学校は低学年でも授業1コマが1時間半前後と長い。長時間の着用は息苦しく集中力も損なわれると考え、着用を免除している教師も多い。

忘れてきた子や落として汚してしまった子には、随時、使い捨てマスクを渡し着用させる。
叱ることは皆無。ただでさえストレスの多いコロナ禍。子どもにこれ以上ストレスを与えたくないと考えてか、それとも本来マスク嫌いなフランス人達だからだろうか?  叱らない理由は、訊いたことはない(あえて訊く勇気もない)ので、正確にはわからない。

「黙食」は、子供はもちろん大人も無理。

写真からもわかるように、コロナ禍でも同じテーブルで賑やかに食べているし、生徒間の距離もかなり近い。
アクリル板の使用など、どの学校でも皆無。レストランやバーですら滅多に見ることはない。
費用がかかるし、衛生管理が大変だからだろう。もし使用しようとしても、掃除スタッフが猛反対。そのための賃金値上げを要求するか、ストライキに及ぶ可能性もある。

「黙食」も明らかに無理。その発想すらないらしく、国から指導されたこともない。
騒ぎ過ぎれば注意されるが、それはコロナ以前も同じ。
子ども達への給仕の合い間を縫って食べている私達スタッフですら、スタッフ同士で喋り放題。
もし「黙って食べなさい」と言われたら、それへの不満や愚痴の飛沫で溢れることは間違いない。
ロックダウンの段階的緩和の際も、会食は6人までなど人数制限はされたが「できるだけ喋らず、静かに食べるように」などと言われることはなかった。
そもそも会食は「喋ること」が目的。「黙って食べれば、それは会食ではないでしょう」と一笑されてしまうだろう。

とはいえ、毎日給食で子ども達からの元気な飛沫を浴びながら働いていると「これでも感染しなかったら、コロナ(やデルタ株など異変種)の感染原因っていったい何なのだろう?」と思ってしまう。
80%以上がワクチン接種を終了しているフランスだが、12歳未満つまり小学生達は全員未接種。また、その親にも断固としてワクチン接種を拒否し続けている人はいるので、学校から親、親から学校への感染もあり得る。

新年度が始まって2週間半の9月15日時点。この学校では、子どもにも親にも陽性者は出ていないが、さて、どうなることやら。こんな喋り放題の給食でも感染しなかったか否かは、また後日、報告します。

ロックダウン緩和時、会食は「6人まで」にした理由

ここからは余談です。

ロックダウンの段階的な緩和時、フランスでは会食の人数制限は、まずは「1テーブル6人まで」だった。
ではなぜ6人か?
それは外食の主流は「家族」。家族の基本は「両親&子ども4人」と考えるからなのだそう。

4人の子どもがいる家族が多いわけではない。(1世帯あたりの子どもの数は、1人45%・2人38%・3人13%・4人以上4%。2018年Insee)
ただ「外食は主に家族との団欒のため」と考えるので「一応、子どもが4人いる家族までを考慮した人数制限にしなければいけない」となったらしい。
また、子どもが2人の家庭でも、その子ども達が成人していれば、家族での会食にはパートナーも同伴することが一般的。両親+2カップルで6人になる。
子どもが1人の場合でも、パートナーと孫2人のパターンは多いので、6人。

要するに「会食は家族でが基本」「家族は6人を想定」。そこから人数制限の最小単位は6人になったという。(Gouv.Fr2021)

さらに余談で、和食器は5客ワンセットが基本だが、洋食器は6客。
理由には諸説あるけれど、いずれにしろ、日本に住むフランス人の友人達や、日本に行って和食器の美しさに魅了され、土産に持ち帰ったフランス人達は、揃って「人を招いた時、使えなくて不便!」と嘆く。

人を食事に招く際、フランスでは通常、カップル単位で招くことになる。
つまり1組だけ招けば4客で済むので5客でも構わないが、2組招くと計6人。1客足りず、和食器セットは使えないことになる。

「日本のお茶碗でご飯を。湯呑みで日本茶を出したいと思っても、私だけ別のもので食べたり飲んだりしたらテーブルは台無し。だから結局、出せないことが多いの」
ロックダウン中に大好きな和食作りに励んだという友人もそう言い、棚に飾ってある日本出張で買ってきた茶碗や湯呑みを哀し気に見上げていた。

コロナでビズ(挨拶のキス)をしなくなって1年半(親しい間柄では、もう我慢できず、し始めている)。でもスキンシップが大好きな子ども達は抱きついてくることをやめないし、大人もそれを拒まない。
ソーシャルディタンスもなんのその!?  こんな密着しまくりの毎日でも感染拡大しなかったら、なんだかそれも嬉しい結果に思えそう♪
祐天寺りえ

祐天寺りえライター

1994年フランスのスキー場(メリベル)に移住。小学校勤務(給食、教室清掃、スクールバス添乗など)、執筆業、鍼灸&指圧&アロママッサージなどを生業とする3子(20&21&26歳)のシングルマザー。著書「フランスの田舎暮らしとおいしい子育て(小学館)」「食いしん坊の旅(パラダイム出版)」「フランスだったら産めると思った(原書房)」facebook.com/rie.yutenjiosaki

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