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当事者発! 発達障害のリアルな困りごと

当事者発! 発達障害のリアルな困りごと

発達障害について広く知られるようになって久しいですが、実際にどのような症状や特性を持つのか、知らない人も多いのではないでしょうか。ネットに溢れる情報は、当事者からすると少し大雑把に表現されているように感じます。この記事では、発達障害当事者であるライター・きくが日々感じる、発達障害のリアルな困りごとを紹介。発達障害がある家族や友人がどのようなことで困っているのか知りたい! そんな人はぜひ参考にしてください。

1.感覚が過敏

発達障害の症状として真っ先に挙げられることのひとつが、感覚過敏です。人の感覚には、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、視覚などがあり、これらの感覚が過剰に感じられる状態を感覚過敏と呼びます。

わたしが自覚しているのは聴覚過敏と視覚過敏で、仕事中や日中は、だいたいイヤーマフを装着し、夜間は蛍光灯を点けず、蝋燭かテーブルランプなどで過ごします。

発達障害が診断されるまでの34年間、自分の感覚が過敏だと思ったことはありませんでした。しかし今思えば、予測不能に発せられる音や、いつ終わるかわからない騒音に固まったり、イライラを抑えられなかったりしていたのはそれが原因だったのだと思えます。

わたしの場合、ライブ会場の爆音や、カフェで食器同士がぶつかる音、人の話す声、公園や学校などで子どもが騒ぐ声などが気になったことはありません。ただ、「なぜ? 今ここで?」というTPOを弁えない音が怖くてたまらないのです。

子どもの頃、「場所見知り」(場所によって機嫌を損ねる、人見知りの場所バージョン)をよくしていたのですが、この感覚過敏が原因だったではと思っています。校舎の色、臭い、チャイムや蛍光灯のパチパチとした音、点滅。思い出すだけで胃がムカムカしてきます。

また、掃除機やドライヤーをあまり使わないのは、面倒くさがりだからだと思っていたのですが、もしかすると聴覚過敏のせいなのかもしれません。

参考:聴覚が過敏「音」で極端に疲れる|発達障害ってなんだろう?|NHK

2.フラッシュバックで集中できない

フラッシュバックに悩んでいる発達障害者は、少なくありません。定型発達(発達障害のない人)の人よりも失敗の経験が多かったり、気持ちの切り替えが下手だったり、記憶の残り方に偏りがあったりすることが原因だと考えられています。わたしの場合はフラッシュバックのせいで、物事に集中できなくなるのが悩みです。

この症状に悩み始めたのは大学生の頃。レポートや論文を書こうとすると、それまで言われて嫌だったことやシーン、人物などを思い出してしまい、挙げ句の果てに発熱したり、イライラしたり、自傷に走ったりすることもありました。

現在はそういう体質だという自覚を持ちながら暮らし、ADHD(注意欠如・多動症)の薬を飲んで、頭の働きを調整しています。

3.理解が遅い

その場では理解できなかったことが後々わかるという現象が、ときたま起こります。まるで紙に書かれた絵や言葉が炎であぶり出されるように、答えがじわじわと脳に浮かび上がってくる感覚です。

発達障害界隈では、これを「あぶり出し型脳」、研究者の間では「情報のまとめ上げ困難」と呼ぶそうです。「あぶり出し型脳」について書かれた記事の一部を引用します。

いつも仕事が終わってから不安に駆られたり、相手の言葉がすぐに理解できなかったり、ただの新聞記事の文章を読むことすら難しいという特徴の裏で何が起きていたのか、これなら説明できますね。

とにかく、いつも、理解が、遅れて、やってくる、というわけです。

わたしにも昔から、その場で理解できない経験がたくさんありました。家に帰ってから友達や上司が言っていたことに焦り出すこともしばしば。人が発話している一つひとつの文字や漢字はわかり、「言っていること」の理解は可能なため返事はしますが、内容や言外の意味を深く理解しているかというとそうではありません。

少ししてから、その意味や目の前に広がっていたはずの情景が脳全体に広がり、やっと理解するという感じです。

勉強や仕事であれば挽回したり、諦めたりすればいいですが、友人や恋愛など人間関係にまつわるトラブルでさえも、後々の理解になってしまうことがあります。あのときどうしてあの人はあんなことを言ったのか、どうしていじわるしてくるのか、どうしてこんなことが起こっているのか。

すべてが終わってから気づくことも多いです。

参照:【前編】社会は「あぶり出し型脳」を受け入れられるのか、その予感と考察――発達障害の私が気づいた定型と非定型の根本的違い 

【後編】社会は「あぶり出し型脳」を受け入れられるのか、その予感と考察――発達障害の私が気づいた定型と非定型の根本的違い

4.曖昧が難しい

発達障害の特性のひとつに、曖昧な指示や表現を理解するのが難しく、コミュニケーションに影響を与えるケースがあります。わたしも、「しなくてもいいです」「だいたいで」のようにどっちつかずな言葉や指示は知ったふりをするか、もしくは意味がわかるまで問い詰めてしまうことが多くありました。

言葉の範囲が広すぎて、見当がつかない気がしてしまうのです。曖昧な指示や説明不足の会話を、意地悪するためにわざとそうしていると疑った経験もあります。

そして反対に、曖昧な言葉や話が他人にとっても失礼だと思ってしまい、頭の中で考えていることのほとんどすべて言葉にしたり、証拠を提示して、わたしがなぜこの話をしているのかを説明せずにはいられなかったりすることがよくありました。

(そのわりに、社会人として大切な「報連相(ほうれんそう)」はできなかったりするのですが、これはまた別の発達特性と言えます)

こちらとしては本当の親切心(もしくは、わたしという人間を誤解されないための苦肉の策)なのですが、言われているほうは責められていると感じるようでした。

現在は、自分がそういう体質であるということを心得ているので、言いすぎない、というよりは何も言わないことが増えたかもしれません。

どうして好きなのか、どうして嫌いなのか、説明できないとそこに意味はないと思っていたときもあります。また、説明や理由がないと、好まれても嫌われても、褒められても貶されても、響かないことが多いです。

発達障害の悩みは千差万別

以上、というわけではないのですが(たぶん、もっとあります)、発達障害がある大人のわたしが日々悩んでいるのは、だいたいこんなことです。わたしの場合は、会社勤めをしていないので、社会で頑張っている方々と悩みが異なっているかもしれません。しかし、発達障害の特性は人それぞれ。ネットに書かれている代表的な発達特性「感覚過敏」にもいろいろな種類がありますし、集中できない、コミュニケーションがうまくとれない背景には、目に見えないいろいろな原因が潜んでいます。この記事を通して、発達障害の困りごとやその種類にもいろいろあるんだな、と思ってもらえると幸いです。

きく

きくライター

美、食、住に貪欲な、20代から40代の女性向けメディアで活動中の執筆屋。34歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受け、自分の過去や特性を研究しながら、発達障害やその疑いに悩む人に向けた記事を執筆します。

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