【フランスからの報告】コロナによる14週間・学校閉鎖~フレンチアルプス編~
はじめまして!フレンチアルプス在住26年。生徒数120人ほどの小さな小学校に勤務する3子の母、祐天寺りえです。6月22日から14週間ぶりに幼稚園年少組から中学まで全国的に完全・再スタートするフランス。さぁ、どんなことになるのか? その前にこれまでの閉鎖期間をまとめてリポートします!
外出禁止&学校閉鎖発令!同時に、罰金&禁固も
その日は「まさに突然!」やってきた。
3月16日、外出禁止&学校閉鎖発令。
日本では行政の対応の遅さを嘆く声も多いけれど、ではフランスのように金曜に「翌週の月曜からは全国一斉に外出禁止!」と急な発令をされたら、それも果たしてどうだろう? フランスは「社会民主主義」。日本は「民主主義」国なのだなと、その違いをあらためて知った出来事だった。
在仏26年でありながら、一番驚いたのは、やはり外出禁止令と同時に即刻実施された「罰金&禁固」制度。でも考えてみたら当然のこと。
「ご協力をお願いします!」は通用せず「〜せよ!」「従わなければ罰金!」それが一番手っ取り早いのがフランス。罰金は135〜1500ユーロ(約17000〜18万円)を問答無用で徴収。かなりの財源にもなった。
そして小学校では公・私立を問わず、即日、自宅学習開始。主にインターネットによる課題の送受信がされ、地域によっては就学児童のいる家庭にタブレットも支給。
教師は課題作成&添削。親も毎日子供の勉強指導&管理に追われる8週間を過ごした。
5月11日 外出禁止令・緩和(赤地域を除き)
発令は「突然!」。
でもその後は綿密に計算された段階的戦法が取られた。
8週間の外出禁止期間後、5月11日からはパリや北部など医療体制に不安がある地域を除き、全国的に学校再開。ただしソーシャル・ディスタンスのために1クラスにつき15人までなどの制限つき。登校も義務ではなく親の判断による希望者のみ
幼稚園については年長組のみ開園(年少&年中は濃厚接触防止が困難なため)。小学校はまず1週めは「小学校スタート時期として重要な1年生&中学準備時期として重要な5年生(最高学年)」を最優先。
2週めからは全学年。ただし各クラス15名までで週ごとに登校組と自宅学習組に分割。
学校とテレワーク両方では教師への負担が多すぎるので、登校組は金曜に翌週の自宅学習を持ち帰るなど、教師により様々な方法&工夫がされた。
また注目すべき点は、医療従事者や学校勤務をはじめテレワークや休業が不可能な家庭の子供は最優先され、毎日登園&登校を認められたこと(年少&年中園児も)。閣僚や議員に共働きやシングルでの子育て経験者・男女が多いことが、この辺にあらわれる。
6月22日 全国一斉開校!
8週間の完全閉校+6週間の段階的開校を経て、14週間後の6月22日からは全国一斉に完全開校(感染者の多い海外県の2島は除く)
といっても7月4日から夏休みなので2週間のみ。
9月の新年度にむけて試験的になのか、と思ったら、そうではなく「子供を理由にテレワークも拒否し、休業申請&給付金受理者が増長」したため。「そのような甘い考え&労働意欲減少を許しておくわけにはいかない!」と一斉開校。このあたり、日本とはかなり感覚が違う。
幼稚園の年少&年中組から全員登園&登校は義務。それまでのような「希望により」ではなくなり、当然のことながら休業補償も出なくなるので親も働かなくてはいけなくなる。
まさに「目には目」社会。
ウイルスについても社会についても、この結果がどのように出るのか注目したいところだ。