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寝かしつけに、モーツアルトと小さな明かりと絵本
2020.10.25 by Anne Anne

連載:絵本とボクと、ときどきパパ 寝かしつけに、モーツアルトと小さな明かりと絵本

暗くなるのがめっきり早くなり、朝夕はひんやりしてきましたね。私は、お気に入りのふわふわの毛布を引っ張り出してきました。ゆったり読書をして、電気を消して、それから冬ごもりの動物のように丸まって、朝までぐっすり眠るのだ。

もう熱帯夜に睡眠を妨げられることはありません。もちろん子どもに起こされることも。息子も、もう5年生ですから。すっかり独り寝に慣れ、今では電気を消すと「ああ、疲れたー」と言ってから5秒後にいびきをかくぐらいです。私のあの頃の苦労はどこへやら。なんて、ありがたいんでしょう!

あの頃、息子が生まれてからの数年間は「睡眠サポート」に追われた日々。寝かしつけから、夜泣き対応、そして独り寝に導くまで、実に一進一退の長い長い道のりでした。可愛いけれど、早く寝てほしい。朝までぐっすり眠りたいけれど、いつなったら…。そんな思いも正直拭えないでいました。それも今となっては良い思い出ですけれどね。

フランスでは子どもが泣いても放っておくんだと、前々から聞いていましたが、そんなことできるはずもない。私は、「フニャ」と一声聞こえたぐらいでもガバッと置きて、息子の様子を見ないではいられなかったほどです。正しいかどうかはさておき、とにかく独り寝に至るまでにやたら手をかけた記憶が…。色々ありすぎるので、まずはとても小さい頃のことを書き出してみます。

まず、赤ちゃんというものは、抱っこしてミルク飲んでトントンすれば寝るのかと思っていたのが大間違いでした。そう一筋縄にはいかないということを知ってからの寝かしつけ試行錯誤のスタートです。

悩んだ挙句、手始めに「もう寝るのだ」という雰囲気作りを考えました。参考になったのは、育児書もしかりですが、ふと思い出した私の経験です。

一つ目は、独身時代の読んだ本。

モーツアルトの音楽に豊富に含まれる高い周波音は心身へのリラックス効果があるという内容です。これは使えるかもと思い出し、早速モーツアルトの子守唄から交響曲、オルゴール版まで、まだダウンロードに慣れていなかった私は、CDを買い揃えました。そして寝るという時には必ずかけるように。

そうやって毎日繰り返していたら、ある時から、すーっと寝てくれるようになったのです。大泣きした時もモーツアルトでピタッ。CDはもはやオムツと同じくらいの必需品でした。本人は今でも、たまに聴くと安らぐようです。

二つ目はフランスの照明です。

家の中は、日本に比べるとかなり暗い。夜、部屋全体を照らすのは、大概大きな蛍光灯という日本とは違いました。食卓だけを直接照らすライトはあっても、リビングなどは、ところどころに置かれた小さなスタンドの間接照明のみ。レストランも、せいぜい蝋燭という薄暗いところもたくさんあり、むしろそういう方が雰囲気があると好まれるわけです。でも困ったことに私は、楽しく過ごしているにも関わらず、だんだんとまぶたが重くなってくる。蝋燭の素敵なともし火は、眠くなるのが難点でした。

でも、この厄介な経験が使えそうだと思いました。

子どもを寝かしつける時は、部屋の明かりを、うんと暗くしよう。

そこで、和紙素材でぼんやり照らしてくれる小さなスタンドだけに切り替えて、あとは全て消すことにしました。その中で、静かにモーツアルトを聴きながら抱っこでゆらゆら。だいぶ眠そうだという頃に、横向きに丸く、そーっとベットに置いてから、しばらくトントン。だんだんペースを緩め、深呼吸するようにゆっくり、ゆっくり、トントン…。しばらくすると、寝たな、という瞬間が訪れ、小さな達成感に胸をなでおろしていました。

これで今後の寝かしつけはずっと上手くいくと思ったら、これまたそうもいきません。

伝い歩きが上手くなったころでしょうか、もうこの方法は通じなくなりました。そこから、いよいよ始めたのです。私がずっと楽しみにしていた寝る前の読み聞かせタイムを。

和紙スタンドの脇に大きめの肘掛け椅子を置きました。手が届くところに本棚を置き、絵本を並べました。息子を膝に乗せ、息子が引っ張り出す絵本を何冊も読みました。同じものを繰り返し。間に私が選ぶ新しいものも入れて。最後には「おやすみ」の絵本も忘れずに。

でも初めのうちは、もちろんちゃんとは聞けません。息子はページをめくることに夢中になるばかり。話なんてまともに読みきれません。でもそれでも構わない。ページをめくって何かを指差したら、「りんごだね」「車だね」「赤いね」と声がけをしてみたりして、時を楽しみました。これだけは、どんなに疲れていても絶対に怠らなかった、私の子育てです。

そんなことを続けているうちに、夜、スタンドの明かりだけになり、読み聞かせが始まると、息子は寝るモードに気持ちが切り替わっていった気がします。上手く行かない時期もありましたが、概ね、読み聞かせ後少し添い寝をすれば寝てくれました。

我が家のおやすみの定番は、『おやすみなさいおつきさま』(マーガレット・ワイズ・ブラウン:作、クレメント・ハード:絵/評論社)でした。

世界中で読み継がれている作品です。ページを開くと、広い素敵なお部屋にウサギのぼうやがいます。月明かりとおばあさんに見守られながら、ぼうやは部屋にあるものひとつひとつに、丁寧にゆっくりと「おやすみなさい」と言っていきます。明るかったお部屋は次第に薄暗くなり…。美しい絵と共に安らかな眠りへと誘う、素晴らしい作品です。(1~2歳から)

『ねむねむごろん』(たなかしん:さく/KADOKAWA)

NPO法人赤ちゃんの眠り研究所もオススメする、2019年発行の話題のおやすみ絵本。動物たちが1匹ずつ、あくびをして、ねむねむ、と寝てゆく様子がなんとも可愛い。ゆっくりと読んで聞かせて、親子で一緒に真似をしてみるのも良さそうです。海の砂を使って描いたという独特の優しいタッチと、「ねむねむ」という言葉の繰り返しのコンビネーションが、だんだんと眠りに導いてくれそうです。ぜひ!(1歳から)

もう寝かしつけを卒業した小学生には、おもしろ絵本『とんでもない』(鈴木のりたけ:さく/アリス館)を。

自分は素晴らしいと思っていた小さいころと違って、中学年ぐらいになると、周りと比較して自分に欠けているものが気になり始めるようです。お友達を羨ましく思ったり、自分にちょっぴり自信をなくしたり。それも成長の一過程だそうですが、せめて寝る前はそんなもやもやした気持ちを晴らしてあげたい。

このお話では、ぼくと動物たちが、それぞれに他の動物たちを羨ましがっています。でも当の本人は「とんでもない」と。そして悩みを告白してゆきます。みんなそれなりに大変。でもみんなそれでいいんじゃない?最後の夜の子供部屋のオチも、小学生ならすごーく共感できそう!(4歳から)

それでは、ぐっすり、おやすみなさい。 (Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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