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サンタクロースの謎に迫りたくなる小学生

連載:絵本とボクと、ときどきパパ サンタクロースの謎に迫りたくなる小学生

我が家は、親族が外国に住んでいるので、クリスマスから年末年始を国外で過ごすことが度々あります。それでも、サンタさんはちゃんと息子のところに訪れてくれました。

今年はコロナ禍ということもあって、渡航できないのが寂しいですが、前年までの楽しかった思い出を今もう一度、噛みしめているところです。

息子が就学前の小さかった頃、12月半ばを過ぎると、フランスの母のところへ行っていました。そこで迎える25日の朝には、時差ぼけは何処へやら。息子は飛び起きて、ヨーロッパならではの暖炉にぶら下がった靴下の前で足踏みです。喜びと興奮でウズウズするんですね。

サンタさんは煙突から入ってきたんだ、という雰囲気が漂っていて、見ている大人も浮きたちます。朝食はもちろんそっちのけ。即座に靴下からプレゼントを取り出し、大騒ぎです。そこには毎回フランス語でメッセージが添えられていました。

「東京の家に大きいプレゼントを置いてきた。戻ったら開けてみてくれ」

「サンタさん、フランスに来てるって知ってたのかしらね?」

こんな風に、私は息子に声をかけていました。

昨年過ごしたのは、従姉の住むシアトルです。やっぱりそこにもサンタさんは訪れてくれました。宿泊先のゲストハウスに到着し、鍵を開けて入ると…。

子ども用のベットサイドにプレゼントが置いてあるではないですか! 開けてみるとアメリカらしいお菓子やおもちゃ。メッセージは英語で、何やら「よく来たね。楽しんで」というようなことが書いてありました。この予期せぬプレゼントに、喜んだのは息子だけではありません。大人の私もびっくりでした。「サンタさん、すごいね! どうしてここに来るって知ってたんだろう!」と親子で首を傾げたんです。

少し違ったのは、妹一家の住むオランダでした。私たちは25日を過ぎてからアムステルダムに向かったので、サンタさんは東京にすでに来てくれていました。いざ、妹一家の家に到着し、挨拶を交わし終わった時。年末、小さい子には「サンタさんは来たのか?」と聞くのがお決まりパターンですが、それが息子に対して大人たちからありません。でも、私はそれには構わず、甥っ子に聞きました。

「サンタさん、来た?」

甥っ子はキョトンとした表情を浮かべています。その途端、妹が割り込んできて、こう言いました。

「こっちにはシンタクラースが来るの」

風習が違うんだそうです。今はまだ混乱するだけだから、そのサンタさんの話はしないでくれと囁きます。オランダには昔から独特のクリスマスのお祝いの仕方があるようです。

シンタクラースもサンタさんなのですが、少し早めに、しかも連日子どもたちの様子を見に来るんだとか。アメリカやフランスにように24日の晩のキリストの誕生を祝う行事、あるいは日本の楽しいイベント感覚とも少し違う。その土地に見合った形で「登場」してくれるものなのだな、なるほどと思いました。

そういうわけでウチの息子は、オランダ以外は海外へ行ってもサンタさんが来てくれる体験をしています。はじめは、単に寝てる間にプレゼントをくれるおじいさんという存在だったでしょう。でも、地球儀をくるくる回して海外のステイ先の場所や東京からの距離を確認したり、言語の違いに気づいたりするうちに、だんだんと色々な疑問が頭をめぐるようになったようです。私も、徐々に子どもの質問や疑問に真剣に答えなければならなくなりました。でも、なかなか難しい。

このごろは、まあ、こんな風です。

息子「たった一晩で世界中を回るなんで、やばくね?」

私「うん、やばいね」

息子「一人で配るんだったら、超人じゃね?」

私「ほんとだね、超人なのかも」

息子「複数のサンタがいるのかもしれない」

私「そうなのかもね、近所の人とか?」

息子「いろんな国の言葉ができるのは、たくさん勉強したんだろうね」

私「すごい勉強家だね」。

息子「 AIなのかな?」

私「あーあ、なるほど、そうなのかも」

息子「あのソリは何でできてるんだろう? 絶対、飛行機より早いっしょ!」

私「でも音は静かだよね」

息子「今日行ったお店に、サンタさんがくれたプレゼントみたいなものがあったよ。あそこでサンタさん買ったのかな?」

私「さあ。フィンランドにも同じようなもの売ってるのかもしれないね」

息子「勝手に人の家に入るのは不法侵入だよね」

私「まあね。でもサンタさんなら許されるんじゃない?」

息子「サンタのふりした泥棒が入ってもおかしくないよね?」

私「あの絵本みたいに?」

ふたりで『教会ネズミとのんきなねこのメリークリスマス!』(グレアム・オークリー作・絵/徳間書店)のワンシーンを思い出しました(主人公のネズミとねこが、大きな家に忍び込むサンタ姿の泥棒に出くわすシーン)。

やっぱり絵本は想像力を豊かにしてくれますね。

さて。こんな風に、疑問や質問が多くなってくる小学生に向けて、楽しんでもらえそうなオススメ「サンタさん」絵本です。

『あんたがサンタ?』(佐々木マキ/絵本館)

「こまったサンタの実例集」というサブタイトルがついていますが、その名の通り! サンタがプレゼントを配る際におきてしまう、とんだハプニングシリーズです。ソリで乗り物酔いをすることはないのかな、入り口を間違えることはないのかな、途中でサボったり眠くなったりしないのかな…。

そんな子どもたちの疑問に応答するように描いてくれています。でも、そんなズッコケサンタさんだったら、困っちゃうよねーって思うところが面白くって、笑ってしまいます。佐々木さんらしい、おかしみが散りばめられた愛すべき絵本です。(3才ぐらいから)

『さむがりやのサンタ』(レイモンド・ブリッグス:さく・え/福音館書店)

もはや古典ですね。コミック形式で、24日の起床から25日の就寝までの、サンタクロースの一日を追って行きます。でもスムーズに仕事ははかどりません。寒いだの、お腹が空いただの、眠いだの。サンタさんも大変です。やっぱりそうだよね、と子どもたちは笑顔になるはず。私も子どものころ、何度も読みました。

煙突を降りるところや、サンドイッチとラジオでの休憩シーン、牛乳配達のおじさんとすれ違う早朝など、とても印象に残っています。ちなみに、コニャックが好物だということもこの絵本で確認しました。我が家では、24日の晩には、ちゃんと喜んでもらえるよう、コニャックとグラスを用意してお迎えします。息子も先日、「またこれ読も~!」と言ってページをめくっていましたよ!(4才から)

『サンタクロースっているの?』(フランシス・ファーセラス・チャーチ:著/金の星社)

1897年、NYの新聞社に届いた、8歳の女の子の手紙。「サンタクロースって本当にいるの?」という純粋な質問に、真摯に答える記者の社説です。8歳の子どもに向けられた文なので、難しい内容ではありません。優しい言葉で、正直に書かれた文章は素晴らしく、大人の私たちの心にも大きく響きます。本当に大切なもの。それは一体何なのか。再確認させてくれるとともに、子どもたちのもやもやした気持ちはきっと晴れて、ときめきに満ちたクリスマスを迎えられることと思います。

私が大切にしまい込んでいる『サンタクロースっているんでしょうか?』(偕成社)が、この度金の星社から、いもとようこさんのイラストと訳で出版されました。原文も添えられたバイリンガル絵本です。こちらの方が親しみやすいという方、是非、一度目を通してみて下さい!(幼児から)

それでは、良いクリスマスを!サンタさんが入り口を間違えませんよう、祈りながら。 (Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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