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子どもが喧嘩をした時と仲直りの絵本

連載:絵本とボクと、ときどきパパ 子どもが喧嘩をした時と仲直りの絵本

もう三月。卒園や卒業間近の季節となれば、お友達とあんなことこんなことあったなぁと思い返すことが多いでしょう。

息子も、新年度にはクラス替えがあるため、今のクラスメイトとはお別れです。過ぎ去った日々を振り返って、あの時この時のことを話してくれています。

そもそも「ただいま」と帰ってくる息子の表情を見ると、その日どんな思いで学校生活を過ごしたのか、大抵わかります。やたらテンション高くて声が大きい帰宅。そんな時は、クラスでの発表がうまく行ったか、体育の対抗戦で勝利した日です。

落ち着いてドアを開け、靴を脱ぎ、荷物をランドセルから出して、淡々と「おやつちょうだい」という時は、和やかに過ごせた筈です。

変なギャグを飛ばして帰ってくる時は、お友達とだいぶふざけてきたのだろうと思いますし、無口な時は、もちろん先生に叱られたとか、およそそんなところでしょう。しばらくすると、叱られた、と教えてくれて、ああ、やっぱりね、と思うわけです。

最近ではあまりありませんが、以前は、ドアを開けた瞬間、眉間にシワを寄せて、口元がへの字の時がしばしばありました。その表情を目に、わたしはハラハラ。ああ、どうしよう。どうやって対応しよう。戸惑う私の前をスルーして、まずランドセルをソファーに放り投げます。

どっかと座ったと思ったら「なんだよ、あいつ!」と吐き出すようにいうわけです。やっぱり、誰かと喧嘩をしてきたな。こういう時、じっと自分の中に抱え込んで解決しようとする子もいれば、親に思う存分話してスッキリする子もいるでしょう。

息子は後者。なので、私は聞き役に回りますが、その役の難しいこと! 時には聞いてるこっちがストレスでした。

育児の参考書などには、よくこんな風に書いてあります。

笑顔でそうだったのね、嫌だったね、とまずは全部聞いてあげること。そして、オウム返し。子どものいうことを同じように繰り返し言って、同調するように、と。

確かにそうするとすぐに子どももスッキリするので、有効です。なるべくそのように対応しようと努めてみていました。

「あんなことするなんて、ひどい!」と言ったら、「そうね、ひどいね」と。

「ぼくがやるはずだったのに」と言ったら、「やるはずだったのにね」。

「ムカつく!」など、だんだんと言葉が荒々しくなれば、とりあえず「そうだね」と言ってみる。

いや、言ってみる時もあります。汚い言葉に同調するのはとまどいますし、私も一緒になって相手を悪くいうようで、気が引けるものです。

正直言うと、そういう時はあまり積極的に同調できず、酷い言葉を聞きたくないばかりに焦ってしまいます。「でも、あの子にも何か考えがあったのかもしれないよ」などとフォローして、落ち着かせようものならむしろ逆効果。「なんだよ、あいつの味方をするのか!」ということになり、親子間に流れる空気は一気に重たくなってしまいます。

これにはやはりタイミングが必要なんですね。気持ちを全部吐き出させてから初めて、逆の立場を想像してみたり、仲良くやってた時を思い出してみたりができるのでしょうね。そう上手くは対応できませんでしたが、親として不器用ながらあの手この手で相手をし、なんとかスッキリさせるまでに持っていった記憶があります。

高学年になったこの頃は、そういうこともめっきり減りました。相手と折り合う方法が徐々に身についてきたのでしょう。そんな経緯を辿ると、子どもは小さいうちに喧嘩をたくさんした方が良いように思えます。喧嘩をしても大丈夫。仲直りはできる。その時は少し嫌な気持ちになるけれど、それも当たり前。

それが自信に繋がり、その自信さえがあれば、主張することも恐れないでしょうし、譲ることも謝ることも素直にできそうです。人としてのバランスを保つための必要不可欠なことのように思うのです。

とはいえ、喧嘩にもレベルがあります。自分で解決できない時、親が話を聞いてさすがに首をかしげるような内容の時だってあるでしょう。そんな時は私は、「使えるものは使うべき」と思っています。

いろんな人の手です。

ご近所ママや先輩ママに軽く相談をしてみたり。少し深刻であれば、例えば先生。それにこのごろの学校には、保健室以外にカウンセリング・ルームもあります。役所の教育委員会に問い合わせたという知人もいます。とにかく相談窓口はたくさんありますから。子供もそうですが、大人も一人で抱え込まないほうがいいですよね。

周囲の手はなんでも借りて、ちょっとしたきっかけを作ってもらえれば、仲直りだって大概は簡単なことなのだと思います。

絵本の手だって借りましょう。

『♪ピンポンパンポンプー』(マガジンハウス)

これは中居正広さん、劇団ひとりさん、古市憲寿さんの豪華メンバーによる、仲直りのお話です。のんちゃんとびりーくんはいつも一緒。でもびりーくんのお誕生日の日、のんちゃんは約束の場所に来てくれませんでした。悲しくなったびりーくんは、のんちゃんの嫌なところを思い出して嫌いになろうとします。でもそれもちょっと寂しい。色々な思いがびりーくんの頭を巡ります。お友達との関係がギクシャクした時、どうすればいいのか教えてくれる一冊。「ピンポンパンポンプ~」と明るい仲直りの合言葉が聞こえそうですが、さて、どこから聞こえてくるのか。それはお子さんと読んで一緒に考えてみてくださいね。キャラクターも版画タッチの絵も可愛いらしい! 4歳ぐらいからでしょうか。

仲直りのきっかけは、案外ひょんな事からという場合もありますね。『ごめんね ともだち』(内田麟太郎:作、降矢なな:絵/偕成社)では、まさにそんな具合。

仲良しオオカミとキツネが突然喧嘩をしますが、意地を張り合って、なかなか謝れません。どうしようと悩んでいるうちに、あらまぁ! 『ともだちや』からスタートした、愉快活発でちょっとしみじみする、友情物語シリーズの第4作目。オオカミとキツネの衣装や小物も見どころです(3歳から)。

『きみなんか だいきらいさ』(ジェアニス・メイ・ユードリー:ぶん、モーリス・センダック:え/冨山房)

私が大切にしている絵本のうちの一冊です。とっても仲良しだったぼくとジェームス。でもある日、ぼくはジェームスのことが嫌になって、絶交を心に決めます。あんなやつ! とばかりに悪いところを挙げてみたり。楽しかった時のことも思い出してみたり。そしてやっぱり・・・。仲直りのきっかけなんて、案外シンプルなものなのでしょう。そんな子どもの心理描写が愛おしい素敵なロングセラーです。(幼児から)

高学年から中学生向けには『日向丘中学校カウンセラー室』(まはら三桃:著/アリス館)

お友達との関係が拗れてしまった茉莉は、いてもたってもいられずカウンセラー室にやってきます。そこで待っているのは、悩みを聞くのが仕事の谷川綾。リラックスできるように努めながら、慎重に手を差し伸べ原因を探ります。すると、なんてことない。問題はスルスルと解決に向かっていきます。自分の居場所を見失った泰人、「時は金なり」主義の啓太など、一見すると些細な悩みを抱えた子どもたち、それになんとも不思議な「ゴースケさん」。

彼らが行き交う和やかな部屋を舞台にしたオムニバスです。少しでも困ったら、頼れる人はどこかにいる。そんな風にみんなが思えたらと、お勧めします。(Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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