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進級おめでとう! 新しい環境と引っ越しの絵本。

連載:絵本とボクと、ときどきパパ 進級おめでとう! 新しい環境と引っ越しの絵本。

ワクワク、ドキドキ、メソメソ、ブーブー。
4月に入るとそんなオノマトペが聞こえてきそうです。
なにせ新年度スタートに伴って、入学、進級、クラス替え、引越し、転校などがあり、子どもを取り巻く環境は大なり小なり変わる季節なわけですから。期待や不安、寂しさや不満が、入り乱れて当然でしょう。

息子はというと、なんと! とうとう、6年生です。
今までは2年おきだったクラス替えも、今年からは毎年行われることになり、従って、息子の学年もまたシャッフルされることになりました。

ということで、今年も、始業式、息子が学校に行くと、新しいクラス編成表が待ち受けていたわけです。
自分がどのクラスになって、誰と一緒なのかを、まるで死活問題のように真剣に確認する息子の姿が目に浮かびます。
どの子もきっと似たり寄ったりの心地だったでしょう。ワクワク、ドキドキ、メソメソ、ブーブー。
当日は親の私だって、子どもがうまくやっていけるメンバーなのかどうか、気になりました。

息子が「ただいま!」と帰ってくるや否や、私は玄関に飛んで行ってしまいましたよ。

「どうだった?どうだった?」 息子は手に持った編成表を机に広げ、しばらくだんまり。それから、一気にしゃべり始めました。

仲良しと一緒で喜んでみたかと思ったら、よく知らない子がいると文句を言ってみたり。別のクラスのメンバーを羨ましがったかと思えば、やっぱり自分のクラスが落ち着いて過ごせそうだと思い直してみたり。挙げ句の果てには、「この人とこの人を入れ替えて……」などと、自分で再編成してみたり。それはそれは長くて騒々しいものでした。

いずれにしても、手放しで喜んでいるというふうではありません。新しい環境ですから仕方がありませんよね。
でも、思えば、3年生に上がった時のクラス替えでは、様子は全く違っていました。
新しいクラスにあっという間に溶け込み、初っ端からとても元気でワクワクしている様子だったのです。

それが、5年生に進級した去年のクラス替え時点から、急にクラス編成にああだこうだ言い始め、不貞腐れたような日が続いてしまったのです。
このギャップに私の方もうろたえて、当初はあれこれ理由を考えては不安になっていました。

どうして? コロナ禍で休校中だったから? それともよほど新メンバーとの相性が悪いのかしら? 悩んだ末に、私は先生に相談を持ちかけました。

すると、こんなお話が。
低~中学年ぐらいまでは、もちろん個人差はありますが、余計な心配をする間も無くクラスに溶け込んで行ける。けれども、高学年になってくると、事情は変わってくるのだそうです。物事を分析したり広い目で見れるようになってくる。
それはすなわち、だんだんと周囲の目が気になるようになることでもあるのだとか。自分がどう他人に映るか、どう立ち振る舞うべきかが、純粋に仲良くなりたいという気持ちよりも勝ってしまう。だからなのだと。うちの息子に限らず、みんな大体は、サッとクラスに溶け込むわけでもなく、周りの様子を探っている状態だとも。あるいは前のクラスのお友達とだけ遊ぶといった、傾向が見られているんだとか。そして少しづつ距離を縮めてゆくので……と。そんな風に説明してくださいました。

どうりで3年生とは違うわけです。

それからしばらく経った頃には、息子も何事もなかったように自分のクラスが1番だとか言って、元気を取り戻していましたからね。
このような経緯があっての今回。おかげさまで私は少し落ち着いて様子を見れました。
息子の方もクラス編成への複雑な思いは2日で済み、新しいクラスを楽しみ始めているようです。6年ですから、きっとまた少し成長したのでしょう。そんな小さな成長を見守れるのは、子育ての大きな楽しみだとつくづく思うこの頃です。

あの騒々しい「ワクワク、ドキドキ、メソメソ、ブーブー」もこれで最後かな。

さて絵本です。この時期はお引っ越しも多く、転入してくるお友達にとっては、より一層新しい環境への期待や不安な気持ちは大きいでしょう。なので今回はお引っ越しをテーマに選書してみました。

『ヤドカリのおひっこし』(エリック・カール:さく/偕成社)

ヤドカリといえば、何度も自分の住処を変える生き物。いわばお引っ越しの名人ですよね。そんな生き物だって、おうちを変えたら、ちょっと寂しい。それじゃあ、と、海の中で出会う生き物や海藻をどんどんお友達にしてゆきます。そして十分楽しいお家になった頃、また……。ヤドカリの一年を情緒的に描いたこのお話は、環境が変わる子どもの気持ちを明るく支えてくれることでしょう。切り紙とペイティングが合わさったエリック・カールならではの絵も、変わらず素敵です(4歳から)。

『とん ことり』(筒井頼子:さく、林明子:え/福音館書店)

かなえは、山の見える町にひっこしてきました。段ボールに囲まれ、お母さんやお父さんは忙しそうにしていて、なんだか落ち着きません。ふと、物音が聞こえました。「とん ことり」。なんだろうと玄関へ行ってみると、そこにはスミレの小さな花束が。次の日もまた同じ音が聞こえ、行ってみると、誰もいません。でも今度はタンポポが。期待と不安を胸に、新しい環境での出会いを描いた素晴らしい作品。子どもの気持ちにぴったりと寄り添ったお話と絵に、読み聞かせをしながら、親の方はつい声を詰まらせてしまうでしょう(5・6歳から)。

『100回目のお引っ越し』(後藤みわこ:著/講談社)

こちらは、業者さんからの視点で描いた「お引っ越し」です。主人公のタツルはおじさんの営む小さな引っ越し業者のお手伝いをすることになります。ところが、100件目に依頼されたのは、頑なに動こうとしないおばあさんの家。さて、どうするか。タツルを取り巻く大人たちのやりとりに疑問を感じて反発してみたり、納得してみたりしてゆくうちに、大切な事情に気づかされてゆきます。引っ越しというのは、単に「これまでの家」から「これからの家」に荷物を運ぶだけのことではないのだと。頑張るタツルの奮闘記。謎解きのような展開にページをめくる手が早まります(小学校上級から)。


(Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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