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見守る成長と、猫好きのための猫の絵本

連載:絵本とボクと、ときどきパパ 見守る成長と、猫好きのための猫の絵本

親の役目は、子どもが自分で伸びようとするのを待ち、そして見守る。そんなアドバイスをよく見聞きします。

その通りだ、そうしようと思いつつも、私は未だかつて誇れるほど待てた記憶はありません。やはり我が子ですもの。どうしたって「期待」はしてしまいます。そのこと自体は悪いことではないと思いますが、そのせいでつい先回りして口を出してしまったり、結果を急いでしまったりするのは気をつけないといけないところでしょう。私の場合、息子が自分から「さあ歯磨きをしよう」「さあお風呂に入ろう」「さあ宿題をやろう」と自主的に動き出す前に、つい「やったの?」と聞いてしまいます。少しの間黙って見てればいいものを。案の定、息子の返事は「ちょっと待ってよ!」ですもの。やはり待って欲しいんですよね。

こと、我が家のタンタンに関して言えば、猫だからでしょう、そもそも期待なんてしていません。だから、マイペースだろうが、気まぐれだろうが、先回りはせずしっかり待って暮らせています。そういう意味では私は、猫の「良い親」です。

それで、例えばトイレの後に「にゃー」と初めて訴えてきた時には「まあ! お掃除してって言えるようになったのね」と褒めちぎったりします。息子にもこういう風に接すればベストなのでしょうけれど……。

実は、ここで猫の話を持ち出すのは、どうしても紹介したい猫の絵本が溜まってきたからでもあります。

にゃんにゃんにゃんに因んだ2月22日の猫の日も、3月22日のさくらニャーニャーの日も過ぎ、もう5月。今の時期は猫達の繁殖期です。私が小さかった頃は、暖かい外の空気を取り入れようと窓を開けると、近所で盛りを迎えた猫の大きな鳴き声が、ナオナオ聞こえていました。でもこの頃は、見かけるのは「さくら猫」ばかり……。

「さくら猫」とは、耳がV字にカットされた飼い主のいない地域猫のことです。V字カットがさくらの花びらのように見えることからこのような呼び名になっていますが、これは不妊去勢手術済みという大切な目印なのです。そもそも、猫は一匹あたり、年間3度ほど5~7匹の子を産めるのだとか。さらに子猫は6ヶ月も経つと、子どもを産めるようになるため、猫の繁殖力はかなりのものです。放っておけば、地域で猫の被害を訴える人も多くなるでしょうし、また殺処分の悲劇だって待っています。耳のさくらカット活動は、そうならないための、つまり繁殖をコントロールする目的があるんですね。ちなみに、雄が右、雌が左の耳が桜になってるんです。

私の暮す地域ではこのような活動が活発なので、それはもちろん幸いですが、一方で春になってもナオナオは聞こえないし、軒下で子猫が生まれたなんていう素敵なサプライズもありません。

そんな中、ある日息子が学校から帰るなり、息急き切ってこう言いました。近くの学校の敷地内に子猫がいる! と。

そんなこともあるものかと驚いて話を聞いてみると、カップルらしき親の元で数匹の子猫がチョロチョロしていて、どうやら家族のようだと。一匹はキジ、一匹は白黒。そのほか数匹。その中に一匹とても美しいのがいるんだそうです。毛並みは金色に輝いていて、雌なのかはわからないが、お姫様みたいな顔つきをしているんだとか。「もう一匹飼えない?」と上目使いの息子に「いや、無理だから」と断りましたが、飽きもせず息子は翌日も「今日もあの家族がいた」と言って帰ってきました。

それから3~4日は見かけなかったようですが、子猫の話が聞けなくなると今度は私が少し寂しい気持ちになりました。

それからまた数日経った頃「やっぱりいたよ。あの家族。子猫達は少し大きくなっていた」と、息子が帰宅。聞けば学校の帰りに、猫達を見つけると小学生達がワイワイ集まって「可愛い」と言ってみたり、撫でようとしてみたりしているようです。なんだか楽しそう。

だんだん私も無視できなくなり、見るだけならと子ども達の下校時間を見計らって敷地の方に出向いてみました。すると、いましたいました。これだろうという金色の子猫に遭遇したのです。確かに輝くような毛並み。端麗な顔立ち。ほっそりとしなやかな胴体。我慢できなくなり、いよいよ引き取ろうかと決心したころ、風の噂で、あの一家は捕獲されたと。一瞬ドキッとしましたが、聞けば「さくら猫」になるためだそうなので、安心しましたよ。

そういうわけで、どの猫もすぐにさくら耳になるため、うちのあたりでは、地域猫は滅多に子どもを産まないんだと思います。

6年前に我が家に猫を迎え入れる際も、待てど暮らせど子猫に遭遇しないし、里親のチャンスも逃してしまったので、止む無くペットショップへ行ったのです。でも、命は命。可愛いアメリカンショートヘアをタンタンと名付け、今ではもうオッサンの年になりかけています。何も口出ししなくても、知らぬ間に成長してくれました。

タンタンと呼ぶと「にゃ」と返事をしてこちらを見る。

「ご飯?」と聞くと「にゃー」とYes。

「おすわり!」と指示するとしっかり座れますし、ブラッシングをするかと聞けば、ちゃんとすり寄ってきます。

ドアを開けてほしい時は「ニャア、ニャア」。何か特別な要求がある時は、なんと「ママァー」と私を呼ぶんですよ。

時々「テメェ、コノヤロウ」と言わんばかりにパンチするのが玉に瑕ですが、この通りだいぶ賢くなりました。

ちゃんと待って見守っていれば、こんなに成長するものだと、ちらりと息子に目をやって、黙る決心をする私です。

さて、上記のどうしても紹介したい猫の絵本です。

『ねこはるすばん』(町田尚子:さく/ほるぷ出版)

飼い主の留守中、ねこは何をしているんでしょうね。おとなしく昼寝? いやいや、そんなわけはありません。タンスの奥へ入り込み、ちょいとお出かけ。カフェで一息ついたら、床屋へ向かい、思いっきり運動。銭湯にだって立ち寄ります。いやはや、忙しいのなんの。そんなに動き回って、主人が戻ってきたら、一体どんな顔で迎えるんでしょうか。作者の描く猫らしい表情と、ずっこけていて愛らしい動作に、何度もニヤニヤしてしまう作品です(3歳から)。

『みんなのおすし』(はらぺこめがね:さく/ポプラ社)

食と人をテーマに創作活動をしているユニットによる、おすし屋さんの風景。大将とやってくるお客さんの手元を描いた、しかけ絵本です。大将が「へい、らっしゃい」と威勢良く迎え入れるのは、仕事帰りのおじさん。笑顔のお母さんと男の子。それから、あらあら、オドロキの生き物たちも。もちろん猫も登場します! ページをめくるごとに、とっておきのサプライズが用意されていて、何度でも盛り上がれそうですよ。最後に美味しい思いをするのは?あんまり面白いので私は甥っ子のプレゼントにしました(3歳から)。

『吾輩は猫である』(夏目漱石:著/佐野洋子:絵/講談社青い鳥文庫)

誰でも知ってるタイトルですが、私はこの歳になってようやく完読しました。猫の視点から、主人である教師の家を訪問する愉快な人々との絡みを描いている、言わずもがなの内容ですが、驚きました。けっさくです! まるでボケツッコミの漫才をコント舞台に据えた長い長いお笑い劇場のよう。膨大な知識と猛烈な語彙力と圧倒的なユーモア。その間を自由に行き来しながら、人の本質を暴く夏目漱石の本作品は、究極の娯楽でしょう。全ての漢字にふりがながついていて、且つ全ページに注釈ありで読みやすいです。偕成社版は、字が少し大きめ。

昔の小学生はこのくらい読めたといいますが、中学生ぐらいからでしょうか。独特の漢字の使い方や文章に一旦慣れてしまえば、あとは一気に読み倒してしまいます。小学生には『吾輩は猫である』(夏目漱石:著、齋藤考:編集、武田美穂:絵/ほるぷ出版)を。斎藤考氏による、「声にだすことばえほん」シリーズの一つ。日本の名作の名文を引用して、作品の魅力を伝えています。親子で一緒に読んで、面白さをつまみ食いして見ると、のちに、原作に入りやすいかもしれません。是非、是非、名作を!

(Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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