子育てママのお悩み解決メディア
SDGsについて息子と考える

連載:絵本とボクと、ときどきパパ SDGsについて息子と考える

最近話題になっているSDGs。とはいえ一時の流行ネタにはできません。

持続可能な(サステナブル)達成目標という意味ですから、当然継続すべき取り組みです。私たち大人が一人一人目指すべきですし、子どもたちにもこうした大人になっていくための意識づけが必要でしょう。

こうしたことから、息子の通う学校では、昨年から、家庭で取り組んでいるSDGsについて日々記録しようということになりました。家庭科の宿題として持ち帰りますが、課題としてはスケールが大きく、子ども一人ではそうそうこなせません。そこで、私も息子と一緒になって考えてみることにしました。

これまでどんな取り組みをしてきたか、今どんな努力をしているか。

エコバックやマイボトルは当然使っています。プラごみ削減の努力はしている方の我が家です。有機野菜やお米を購入して環境保護にも努めていますし、物はなるべくリサイクルに回すようにしています。そのほかもろもろ……。

だからSDGsは、得意、得意! 課題も楽勝!

最初のうちはそんな風に、いい気になっていました。ところが早々に、我が家の取り組みは底を尽きました。これは常時意識して私たちに何ができるかを考え出さないといけない。まずはそのことに気付いて、ようやく真剣に親子SDGsの第一歩を踏み出しました。

そんな矢先のとある夕方、「雨が降ってきたよー」と声が聞こえてきました。

洗濯物を取り込むよう教えてくれたのは、日頃から声をかけてくれる「近所のおばさん」です。私の無精な生活ぶりを見かねて、洗濯物はもとより、門前の木々の扱いや子どもの接し方のアドバイスなんかもしてくれるのです。いまどき珍しい、昭和風のお付き合いです。

こと植物には詳しいのか、我が家の金木犀に蔦のようなものが絡まっていたら、「これはヤブガラシと言ってね……」と教えてくれたこともありました。放っておくと木が痛むのだとかで、除去もしてくれたのです。しばらくすると木は見違えるように元気になり、その年の秋には、豊穣な香りを漂わせてくれました。

またある日は、出し放しの空の植木鉢を見兼ねて、トマトの苗を抱えて来てくれたこともありました。「植えてあげるから育ててごらん」「オタクの坊やも観察できていいよ」と。

その日も雨の知らせがあって危機一髪。慌てて洗濯物を取り込むと、おばさんにお礼を言おうと道端に出て行きました。

そしていつものように何気ない天気の話や草花の話をしていると、「ほら、これ」と見せてくれたものがあります。おばさんのお宅の花壇の中に、一本すぅーっと伸びた茎。アブラナのような花が咲きそうではありますが、だいぶ地味です。それに茎の部分は葉が枯れ落ちたのか、禿げています。わずかに残っている葉はヒラヒラした形をしていて、色合いは赤茶色。おばさんが見せてくれても、とても「きれいですね」とは言えません。

押し黙っていると、「だいぶ食べたの。これ、サニーレタス」と教えてくれました。

買ってきたサニーレタスの残った部分を水に浸してみたら、葉がまた出てきたとのこと。それを植木鉢に移し替えてみたのだそうです。そうしたら、みるみるうちに伸びて、毎日葉を3~4枚摘んではサラダにしていたのだとか。

「だいぶ食べたからね、これは、もう終わり。お宅もやってごらん。実験だと思って。坊やも面白がるでしょう」と。もはや坊やと呼べる可愛い年ではないような気がしつつも、いつも息子を気にかけてくれてありがたいことです。

家に戻り冷蔵庫の野菜室をみると、丁度良いリーフレタスが。葉をその日のうちに平らげて、残った茎の部分を浸してみました。すると翌日には少し。そのまた次の日にはもう少し。小さなレタスの葉が出てくるではありませんか。そして例にならって土に植え替えてみました。

大根や人参の頭の部分でトライしたことはありますが、観賞用止まり。でも今回のレタスは、伸びれば食べれます。それに食材再利用。おお! SDGsではないか? おばさんの思いがけない案に、やれることは無限にあると息子と頷き、茎が伸びるのを楽しみにしている今日このごろです。

というわけで、今回は、SDGsについて思いを巡らすきっかけになればと、以下の作品を選んでみました。

自分が欲しい物は自分で必要なだけ作る! そんな無駄のない世界に向けて。

『タンポポ たいへん!』(シャーロット・ミドルソン作・絵/すずき出版)

クリストファーくんとその家族は「モルモットが丘」が大好きです。なぜって、そこでは大好物のタンポポの葉っぱをたくさんかじれるから。ところが、いつの間にかタンポポの葉っぱが少なくなり、ついにはなくなってしまいました。クリストファーくんがやっとの思いで生き残りのタンポポを見つけると、かじりたい気持ちを堪えて、どうしたら良いか考えます。本も読み漁ります。そして名案が! みんなを幸せにする解決策は? 健気なクリストファーくんの姿が微笑ましい一方で、私たちが抱える食料危機の問題にもさりげなく触れています。4~5歳から。6年生の息子もなぜか面白がって読んでいました。このくらいの歳になると、絵の技法にも関心が向くようです。「これ、どうやって描いたんだ? コラージュっていう方法かな?」と。

『ウエズレーの国』(ポール・フライシュマン作、ケビン・ホークス/あすなろ書房)

みんなと同じは嫌というウエズレー。コカコーラも飲まないし、サッカーだってやらない。流行りの髪型だってヘンテコだと言っています。だからちょっと浮いていて、みんなの標的に。でもなんのその。大好きな書物に囲まれ、楽しい思いを巡らして過ごしているのだから。とある日、ウエズレーは閃きます。自分だけの文明を作ること。タイミングよく風に乗ってきた不思議な種が庭に根を宿すと、ぐんぐんと育ち……。植物を観察して、試行錯誤し、自分の世界を一から全て手作りしてしまいます。そのプロセスは実にワクワクしますし、憧れるような世界に吸い込まれて行きますよ。なんでも自分で作る。これこそSDGsが目指すところでは? 私がとても気に入っている作品です。小学生向き。

『ナマケモノのいる森で』(アヌック・ポワロベールとルイ・リゴー しかけ、ソフィー・ストラディ ぶん/アノニマ・スタジオ)

ナマケモノが暮らす豊かな森。でも突然の開発によって破壊され、動物や鳥たちは居場所を失ってしまいます。全てが失われたと思ったころ、一人の自然を思うヒトが現れ、森の再生へと向かってゆく物語。繊細なしかけ絵本で、あらゆる角度から、折り重なる森を間近にのぞいてみると、様々な生き物たちの様子が見えてきます。子どもたちはナマケモノ探しに夢中になりそうですし、美しい作りは大人も魅了するでしょう。

私たちは、経済的な発展や領土の拡大に明け暮れず、立ち止まってみるべきではないでしょうか。ナマケモノのように「ゆっくりのんびりおっとりと」でいい。そんな過ごし方が必要なのではないかと。先日亡くなったエリック・カールへのオマージュのようにも感じる作品です(参照:『ゆっくりがいっぱい!』偕成社)。

(Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

Anneさんの記事一覧 →