子育てママのお悩み解決メディア
夏休み終盤、高学年読書に課題図書を!

連載:絵本とボクと、ときどきパパ 夏休み終盤、高学年読書に課題図書を!

夏休みの宿題。これに頭を悩ませているご家庭は多いのではないでしょうか。

計算ドリルと漢字ドリル、それに自由研究。さらに読書もあります。

自由研究に関しては、我が家は親の手が必要。毎年、コピーを取ったり、ファイルを用意したり、実験のお手伝いをしたりと、サポート役としてパパか私が出動します。

本当は一人で一から十までやらせるべきかと迷います。でも、一方で作業することの楽しさや喜びを一緒に経験するのも貴重だと、前向きに捉えている部分もあり、結局手を貸してしまっているんです。そのうち子どもは親の手を煩わしく思って自然に離れて行くでしょう。今のうちですもの、と。今年はまだ取り組み始めてもいませんが、どの程度関われるのでしょう……。

実際、毎年夏休み明けの各学年の作品を見比べてみると、1年生と6年生ではずいぶん差がありました。高学年になるにつれて、綺麗にレイアウトされた親との共同制作ではなく、子どもらしい粗が残っていて自力で仕上げたのが見て取れます。それに段々と、お稽古事、スポーツの合宿や遠征、塾の勉強などそれぞれに忙しくなり、自由研究の力の入れようにも差が出てくるようにも感じました。それも微笑ましい。特に印象的だったのは、とあるスポーツに本格的に専念しているお子さんの作品です。その力の抜きように、どんなに合宿で忙しかったのか、どれほど気合を入れていたのかが伝わり、胸が熱くなったこともあります。

力の入れようはそれぞれで全く構わない。完璧でなくて勿論いいですし、仕上がってなくたっていい、とも私は思うのです。

大切なのは、こうした機会を与えられて、自分の「好き」を立ち止まって考えたり、それを親が知って、我が子への理解を深めたりすることではないでしょうか。今年はどんな作品が並ぶのでしょう。今から9月が楽しみです。

我が家の場合、親の出番が少なくなったと感じるのは、特に「夏休みの読書」です。

低学年の頃は、私の最大の趣味である「選書」を存分に堪能させてもらいました。

7月早々に図書館や本屋を駆け巡り、ひとまずガッツリ10冊揃えて持ち帰ります。そして、本棚の一番目立つところへ、ボン!絵本やページ数の少ないものが多いこともあり、読書習慣がついてきた息子は、あっという間に10冊読んでしまっていました。そこでまた、8月初旬に10冊選書してきて、ボン! それも読み終えたお盆の頃に、はたまた10冊、ボン!

夏休みに計30冊ほど、私が選んだ本を読んでくれていたのです。

でも、もうこの頃は、私がいくら「この本面白そう」と手渡しても、「そのうちね」で、そっけない。大概、本棚で眠ったままになっています。

読みたい本は、図書室や本屋で自分で決めます。私が差し出さなくても、家にある本の中から、そそられるものを勝手に引っ張り出していることもあれば、すでに読んだものを繰り返し開いたりしていることもあります。もう「選書人」という私の立場は消えつつあるのです。毎度のことながら、こうした成長は嬉しいけれど、ちょっと寂しくもなります。この夏の読書に関しては、もう全く関与していません。

と、言い切ろうと思っていたら……。

夏休みも終盤になった今、私の出番がまた来たのです。慌ただしさのあまり、好きな歴史ものや推理もの、図鑑や『ざんねんな~』シリーズ(高橋書店)のようなものではなく、宿題のための読書、つまり感想文用のものを、後回しにしていた息子が慌てふためきました。その様子を見兼ねて、選んできてしまいましたよ。「青少年読書感想文全国コンクール」のシールが貼ってある課題図書です。これはもう、こんな風に困った時の駆け込み寺、ならぬ駆け込み本です。

どれも年齢に相応しい読みやすくて心に響き、時代に見合ったテーマのものばかりで、感想文の書きやすさは補償付き。その中から一冊、息子に手渡しました。

息子が、素直に開き、すぐ夢中になり、あっという間に読み終えたのも、私が、作品を喜んでもらえたことに幸せを感じたのも、久しぶりでした。

というわけで、今回は、「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書の中から、始業式も間近で今ちょうど焦っている高学年以上のお子さん向けに、3冊。

共通しているのは、構成はどれも、一人の視点から描かれていない点です。ある環境、ある出来事、ある人物をさまざまな方向から見てみると、こんなにも違う。自分とは違う他者の気持ちを理解するのは、多様な世界へと心を開いていくのに必要不可欠です。ぜひ手にとって欲しい。

『おいで、アラスカ!』(アンナ・ウォルツ:作/フレーベル館)

息子に手渡したのはこれです。中学一年生になったばかりのふたりが交差する物語。一人は家庭に複雑な事情を抱える女の子パーケル。もう一人は一つ年上の、ちょっと偏屈なスフェン。「てんかん」の発症で一年遅れての入学に、彼もまた一言では言い表せない思いを抱えている。何よりも、発作がいつ起こるかわからないという不安。そんなふたりを繋いだのが、介助犬となったゴールデンレトリバーのアラスカです。短くてやさしい文体とさほど長くないページ数で、とても読みやすい。一方で、思いがけない展開が次々と起こり、犯罪心理やSNSなどの問題にも触れていて、読み応えのある作品です。

『Wonder ワンダー』(R・J・パラシオ:作/ほるぷ出版)

2016年の課題図書に選ばれ、映画化もされた作品。主人公のオーガストは、どこにでもいるような普通の男の子。顔以外は。という、インパクトのある出だしから、グイッと引き込まれます。度重なる顔の手術を乗り切り、9歳になって初めて学校に通い出しますが、「見た目」が与える問題が次々と彼を襲います。そんなことをものともしないオーガストのユーモア、周囲の愛情、心に深く刻まれる先生の言葉に心震えないではいられません。さまざまな人の気持ちを疑似体験できる意味でもおすすめです。

高校生以上には『水を縫う』(寺地はるな:著/集英社)

手芸好きの高校生男子、清澄と、その家族の物語。可愛いものが苦手な姉の水青。「良い母」になれないさつ子。「女なのに」自由に生きたいと思っていた祖母の文枝。よそで暮らす父の全は、「父親らしさ」も「男らしさ」もない。それぞれの思いは、それぞれの視点からつぶやきのように語られています。彼らの、思いやりはあるのに、通じ合えないもどかしさや苛立ちに共感すると同時に、こうあるべきという家族や性別の固定観念から解き放たれ、優しさに包まれる作品です。名言のように響く言葉も多く、とりわけ何度も繰り返される「失敗する権利」は、子育て中の私たち親の心を揺さぶるに違いありません。

それでは、読書と共に素敵な晩夏を!

(Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

Anneさんの記事一覧 →