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6年生とニュースを語らい、アフガニスタンのお話を読む。

連載:絵本とボクと、ときどきパパ 6年生とニュースを語らい、アフガニスタンのお話を読む。

2学期が始まりました。分散登校とオンライン授業が日替わりで、なかなか面白い新スタイルの学校生活。オンラインでは、私が目を光らせてなくても、さほど気を散らすことなく授業に参加できているようで、さすが6年生だと思うところです。

その横で、タブレット端末の接続の乱れに対応できず、次から次に増えるパスワードの管理にめまいを起こしそうになっている私。それをママ友に呟いたら、「私も、私も!」と共感してもらえ、胸を撫で下ろしたところです。

そんなこんなで、あまり外出ができない状況が続いていますが、夏休み中を振り返ってみても、良いことも案外あるので前向きに捉えています。

なにせこの夏はオリパラニュースが華やかでしたから、ステイホームでも十分。じっくりテレビ観戦することも、ゆっくり新聞を読むこともできたので、日々ニュースに関心を持っている息子との会話もよく弾みました。

息子には3~4歳の頃から、私が世の中のことに関心を持つようになってほしいと願って、小学生新聞の記事を読んで聞かせてきました。もちろん最初は、子どもが関心を持ちそうな記事です。ライオンのかわいい赤ちゃんがどこそこ動物園に誕生したとか、どこそこでロケットが打ち上げられたとか、新しい新幹線が登場したとか。

それを毎朝続けているうちに、ある日突然、「もう、ママ、読んでくれなくて良い、自分で読む」と言い出したので、それからは朝食の脇にそっと添えるだけにしました。でもちゃんと日課になっているんですね。

そして数年後には、小学生新聞では飽き足らず、大人が読む大きい新聞にも自然に目を通すようになったのです。

そんな経緯があるので、今では、その辺に見出しが目立つように置いておくと、気づけば読んでいる。世の中の情勢は、かなりざっくりではありますが、そこそこ網羅しているようです。

もちろんニュースはオリパラのように楽しいものだけではありません。

晩夏、ひときわ息子の関心をそそったのは、アフガニスタンの近況です。

アフガンから退避する人々でいっぱいの米軍輸送機内の写真を、食卓の上に置いてみると飛びつくように読み始めました。

「うわ! マジで!?」

アメリカ軍が撤退した直後、あっという間に首都カブールを制圧したタリバンに驚いたのと、それに危機感を感じたアフガン国民たちの状況を知って、色々と思うところがあったのでしょう。読み終えると、ああだこうだコメントを呟いていました。

私は、イスラム教徒とイスラム原理主義、それにタリバンと国際テロ組織のアルカイダが、息子の頭の中でごちゃごちゃになっていないかが気がかりで、その点に注意しながらじっと聞いていました。

でもどうやら大丈夫。長年、それなりに新聞を通してニュースに触れてきた甲斐あって、その辺もざっくりではありますが、区別できているようでした。

アフガンを去る人々のこれからはどうなるのでしょう。「難民」または「亡命者」となり、多くの苦難が待ち受けている筈です。

「祖国に留まれない苦しみは、筆舌に尽くし難い」。私がパリの高校に通っていたときの哲学の先生の言葉です。ハンガリーにルーツを持つ彼女自身、あるいはご家族が、フランスに亡命してきたのだろうということは、未熟な17歳の私でも分かりました。同じパリ在住の外国人でも、日本と往復できる私とは立場が違う。経験したことのない思いを想像して、亡命者の気持ちに添わせてみた、印象深い授業の一コマが忘れられません。

今のアフガニスタンに、私たちがこの遠い日本からできることは、少なくとも「無関心でいない」、ではないでしょうか。ロシア軍の撤退、内戦から米軍の介入、長すぎたアフガン戦争。一連の歴史がもたらした結果は、人々をどのような状況や気持ちにさせたのか、子どもと一緒に想像してみたい。そう強く思います。

そこで私は、暫くぶりに本棚から一冊の絵本を引っ張り出しました。『せかいいちうつくしいぼくの村』。

息子は、「ああ、これね」と。昔読んだことを覚えていたようですが、今また読み返すときっと解釈は違うでしょう。

9月11日からは、映画『ミッドナイトトラベラー』も公開されます。

監督はタリバンにより2015年に死刑宣告を受けた映像作家のハッサン・ファジリ。スマホを手に、自らの難民生活を納めたドキュメンタリーです。その旅路は5600km。上映はシアター・イメージフォーラム(他全国順次公開)で、見逃したくない。https://unitedpeople.jp/midnight/

というわけで、ぜひアフガニスタンのお話を手に取っていただきたいので、選書しました。

『せかいいちうつくしいぼくの村』(小林豊:作/ポプラ社)

20年以上前のアフガニスタンが舞台。まだ内戦が続いていた頃のお話です。ほとんど雨の降らない国ですが、周囲の高山からの雪解け水で、大地が潤い、森が繁り、果樹園や畑の作物も豊に育っていました。ある日、主人公のヤモはとうさんに連れられて市場に出かけることになります。村で取れたたくさんのスモモやサクランボを売りに行くのです。いつもはお兄さんが付き添っていましたが、今は戦いに行っていていません。ヤモは色々な人々が行き交う中で、時に不安になったり時に興奮したりしながらお兄さんの代わりを果たします。辛い状況の中でも人々の生き生きとした暮らしぶりが伝わってきます。ラストのサプライズには、どうしたって胸が熱くなります。(6歳~小2)

『学校が大好き アクバルくん』(長倉洋海:文・写真/アリス館)

紛争地の人々を長年取材してきたカメラマンによる写真絵本。アフガニスタン北東部の山中にある小学校に通うアクバルくんの一日を追ったものです。一本の鉛筆を握りしめ、一生懸命字を書こうとし、先生の話を聞こうとし、もっと学びたいという思いが強く伝わってきます。長い戦争下でも、友達と喧嘩をしたり遊んだりする姿があり、日本の子どもたちと同じような気持ちでいる姿に親しみを感じないではいられません。そしてこちらとはちょっと違う授業風景も魅力的。(5歳から)

児童文学は『11番目の取引』(アリッサ・ホリングスワース:作/鈴木出版)

トルコ、ギリシャ、イギリス……、とヨーロッパを転々とし、ようやく辿り着いたボストンで、アフガン難民のサミと祖父は暮らしています。祖父が演奏するルバーブという民族弦楽器は、彼らの生活費を稼ぐ道具でもあり、祖国の思いが詰まった宝物でもあります。ところが突然、その大切なルバーブが盗まれてしまいます。必死で取り戻そうと取引に奮闘するサミ。息もつかせぬ展開の合間合間に、文化的なことがらや祖国での楽しいひとときの回想、そして悲しい出来事のフラッシュバックが盛り込まれていて、読み手はぐいぐい主人公の心情に入り込んで行きます。難民の気持ちとはどんなものか。知恵あるおじいさんの言葉の数々も心に沁みる、中高生におすすめの作品です。(高学年から)。

(Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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