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どうしたって食べてくれない、困ったときの絵本

連載:絵本とボクと、ときどきパパ どうしたって食べてくれない、困ったときの絵本

我が家には、かわいい猫がいます。アメショのタンタンです。

先日、この子のお腹が少し爛れていることに気がつきました。私はそのうち良くなるとあまり気にしていませんでしたが、息子とパパはとても心配したのです。

早く動物病院につれていくよう嗜めるので、私は猫との鬼ごっことかくれんぼの末になんとか捕まえ、ケージに押し込み、病院へ。

受付を済ませると、いつもの先生がにっこり出てきてくれました。にもかかわらず、ウチの可愛い猫はウーウー警戒します。相当機嫌が斜めの状態なので、押さえつけながら無理矢理受診させたところ、薬で様子みましょうということになりました。

厄介だな。この子にどうやって薬飲ませよう……。嫌がって、また鬼ごっことかくれんぼかな。爪を立てられ、痛い思いをするのもごめんだわ。

気が重いまま家につき、抱っこしようとすると、すでに病院で不快な思いをしたので大人しくしてくれません。ピョンとはねて逃げ、案の定ソファーの下に隠れてしまいました。

ここから脱出させることから始めねば。はたまた大奮闘かと覚悟を決めた時、ちょうど餌の時間だということに気づきました。

しめしめ。ひとまずご飯で釣ってみよう。
「タンタン、ごはんですよー」
そう言って、カリカリをシャカシャカ振ってみせると、難なくビューンと飛んでやってきました。そして、さっとお座り(そう、タンタンは「お座り」をするんです)。

ムシャムシャと食べ始めた所まで見届けると、祈るように私はそこに、サッと薬を一錠入れてやりました。どさくさに紛れて一緒に飲み込んでくれ!

しばらくしてタンタンを見ると、満足げ。目の前のお皿は、きれいになっています。でもたった一粒、残っていました。茶色いカリカリではなく、まっ白なお薬。やられてしまった、と嘆いても仕方がありません。

気を取り直して、今度は少し強引に抱き抱えてみました。口の中に薬をポンと入れようという魂胆です。

「はい、タンタン、お口、あーん!」 ちっとも口を開けてくれません。

「お口、あーん! あーん! ほら、あーん!」 猫の口をこじ開けようにも獣医さんのように上手くできません。

「お口、お・く・ち! ほら、あーん!」 あら? この状況何かに似てる。

あ、そうだ! 息子が小さかった時と同じだ! チャイルドチェアに座った息子に、なんとかして離乳食をたべさせようと奮闘していた私を思い出しました。

「はい、お口、あーん!」
何度も繰り返した食事時のセリフです。あの時はどうしたっけ。そうだ、好きなものと混ぜれば上手くいくかも! かつての息子をヒントに、こんどは猫の口を開ける戦略を試みます。

小さなスプーンに、タンタンが大好きなリキッドタイプのおやつを出して、そこに白い薬を混ぜ込みました。そしてもう一度。

「お口、あーん!あーん!」
するとどうでしょう。まったく薬の存在に気づかず、ぺろぺろと嬉しそうに舐め、なんと一緒に飲み込んでくれたのです!

そのあとは、あのころ息子にしたと同じように、「まぁ、よくできました!すごい!えらい!よかったね!」とベタ褒めしておきましたよ。

早くおなかの皮膚がよくなりますように。さて、みなさんもきっと経験あるでしょう。なかなか食べてくれなくて苦労すること。

息子は幸い、自分の手を使って食べれるようになってからは、食事に苦労することは少なくなりましたが、それまでの離乳食期は大変なものでした。

嫌な時は口を牡蠣のように閉じて開かない。気に入らないと目の前の食べ物や食器、すべてを投げ飛ばし、白い壁はシミだらけ、という有様。もう、食べさせる方はヘトヘトでしたよ。

毎日の食事の時間をすこしでも楽にしたい。そのためには少しでも機嫌良く、楽しく食べてもらわなくては。それでは、絵本の助けを借りましょう!

『おさじさん』(松谷みよ子:文、東光寺啓:絵/童心社)

あかちゃん向け絵本の代表格、松谷みよ子のシリーズの一冊です。おやまをこえて、のはらをこえて……、姿を現したのはおさじさん。おさじさんは可愛いうさぎさんの「ぼく」のところにやってきます。小さい子がお食事に気持ちが向うように、やさしく、楽しくおはなしが進んでいきます。声掛けのヒントにもなるので、ぜひ一度試してみていかがでしょう。子どもはきっと、自分も同じものをもっている、と誇らしげに見せてくれると思います。ちなみに「おさじ」とはもうあまり言わなくなりましたが、それがスプーンのことだということは、小さい子にもちゃんと伝わりますよ。

『ぜったいたべないからね』(ローレン・チャイルド:作/フレーベル館)

野菜どころか、お肉もパンも、何にもたべてくれない、という子も中にはいるでしょう。偏食を無理に直そうとするのは、よくないことだと言われていますが、ふとしたきっかけで食べてくれるようになるのなら、と試してみたい方には是非この作品を。まず主人公の偏食ぶりは半端ありません。お兄さんも呆れるほどに、にんじんも豆も、子どもが好きそうなソーセージもバナナもチーズも、そしてトマトなんてぜったい食べないからね、と言い張るんです。そこで、賢いお兄さんは、とある戦略を思いつきます。さあ、妹は食べてくれるようになるのでしょうか? 写真と絵のコラージュがユニークで、ウィットに富んだ素敵な作品です。

『あひる』(石川えりこ:作/くもん出版)

小学生には、ぜひ、ちょっとドキッとする、この考えさせる作品を! 主人公の「わたし」は、毎朝家の鶏小屋に生みたて卵を取りにいきます。ある日、そこに、鶏に混ざってあひるが一匹羽をバタバタさせていました。初めて間近で見るあひるに、弟と一緒になって夢中になり、川で遊ばせたり草を食べさせたりしました。でも次の日、また鶏小屋へ行ってみるとあひるはもういません。どこへ行ってしまったのでしょう。作者の実体験から作成されたお話。食べ物を大切にすること、食べることへの感謝の思いが育まれるはずです。

みんなの食卓が楽しく、お腹も心もいっぱいになりますように。

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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