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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

もっと親バカ丸出しで育てればよかった。たんぽぽの絵本に思うこと【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2018.03.25

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学2年生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


こどもはたんぽぽ

これは息子の1歳のお誕生日に即席で作ったケーキです。

今ひとつ元気がないなと思っていたら、翌日生まれて初めて熱を出しました。

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さて、年度末になると、いつも以上に子どもの成長が気になりませんか? 振り返りの季節ですものね。子どもの成長に目を向けざるを得ない、といった方が正しいかな。どんなことができるようになったか、色々と思い返してみると親子共々自信に繋がりますよね。

ウチの子の場合、この小2の1年間は本当に素晴らしかったと思うんです。学校での生活態度が1年目とまるで違う。すっかり「お利口さん」になって、笑顔もまたグンとお兄さんらしくなり、昨日はとうとう母の私も謙遜しきれず内心で好青年と呟きました。

もっと前からこんな風に、親バカ丸出しをして育れば良かったと時々思います。たくさん可愛がって育ててきたつもりですが、もっともっと、うんと可愛がれば良かった、と。

ふと、記憶に蘇ったのが、産後まもなくして実家を訪問してきた母の知人の言葉です。「Profitez en!」。思えば病院でも街中でも幾度も言われました。

私は、我が子をパリの病院で出産しました。初めてのことですし、産後の身の回りのことなど面倒をみてもらうのにもパリ在住の母の手が必要で、さらに希望していた無痛分娩も一般的だということで、8ヶ月目に入ってすぐに渡仏したわけです。それで、パリでの出産後によく耳にしたのがこのフランス語。

母の知人のように、みんな抱っこのポーズを取りながら、私にそう言ってくれました。意味を直訳すると「楽しんで!」。しかし、もっと深い意味が含まれる表現です。

「せっかくのこの機会、逃しちゃ損よ、たっぷり可愛がって! 幸せを満喫して! 今しかないよ!」という感じ。そこには、そうしないと後で後悔するよという、軽い危機感さえ感じさせるニュアンスもあります。

当時の私は、そう言われてもあまりピンときませんでした。赤ちゃんは、かわいいし、抱っこも勿論しますよ。でもなんでわざわざそう言ってくるのかしらと。ところが後に、私も同じ思いを抱くとは考えもしませんでした。

産後の肥立ちはというと、あまり良くなかったので、「上手く産めなかった」という意味もない劣等感からの育児デビューでした。

人工乳だし、抱っこもずっとはできないし、悲観的になってばかりで思えば少し産後鬱だったのかもしれません。それだけに体調が回復すると、今度は「失敗」を修正せねばという義務感や、上手く正しく育てなければという責任感が、可愛がることよりも先行して、闇雲に頑張っていたように思います。肩の力がガッチガチ。

もし「上手な」とか「正しい」とかいう子育てがあるとすれば、本当はとにかくうんと可愛がること、なのではないでしょうか。

しかし初めての子育てです。そのことに気づけず、一生懸命になりすぎて、結局「Profitez en!」のほうはどのくらいできたでしょう。後悔先に立たず。今となっては、私も赤ちゃんを抱いているお母さんを見ると、同じように声をかけたくなります。「たっぷり可愛がってね」と。

私の育児デビューはこんなでしたが、それでも毎日が驚きにあふれていて、とても楽しく、幸せを感じていたのも事実です。

特に最初の1年の成長は衝撃的でした。ふにゃふにゃ泣くことしかできなかったのに、いつの間にか手を動かし始め、足に興味を示し、寝返り、おすわり、の難関をくぐって、言葉のような音を出し始め、そして立って、歩くことを覚えるわけですから。人間ってこうも進化するんだ。凄まじい高度成長期。この最初の成長は、大人の何年分なのだろうか。そんな驚きばかりでした。

その息子も4月からは小3。すっかり「お利口さん」になった小2時代は、高度成長期の再来のようでしたよ。

今回の3冊は……

先日、読み聞かせのパートナーが選書した『たんぽぽ』(金の星社、甲斐信枝・さく)を手に取ると、ウチの子の成長とたんぽぽの生態が重なりました。なにげない道端の花のドラマチックな一生。たんぽぽも、子どもも、伸びたりすぼんだりして少しずつ大きくなるものですね。

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絵も繊細です。花が綿毛へと変わってゆき、風に乗っていよいよ旅立ってゆく見開きは感動的です。読んで聞かせるのは年中ぐらいからですが、思春期とか、大人でも人生への気づきを与えてもらえそうです。

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『ゆっくりがいっぱい!』(偕成社)はエリック・カール氏の大型絵本です。我が家ではパパ担当の読み聞かせ絵本の定番でした。

私がつい息子に「早く、早く」と急かしてしまうとき、パパがこの本をむんずと掴んで現れる。ウチの子の救世主といった感じでしたね。適年齢は3歳ぐらいからでしょうけれど、ウチは2歳ぐらいからだったかな。ナマケモノは、「ゆっくり、のんびり、おっとりと」が心地良い、みんなそれぞれのテンポで良いんだよ、というメッセージ。愉快で楽になる絵本です。

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『わたしとなかよし』(瑞雲舎、ナンシー・カールソン作、なかがわちひろ訳)は、世界的に人気のアメリカ絵本作家によるポジティブ・マインドのお話です。

子どもに自己肯定感を持って欲しいと思ったら、ぜひ手に取ってみてください。なにせ英題は『I Like Me!』ですからね。お茶目な子ブタちゃんが、自分を大切にすることを、シンプルに、優しく、楽しく教えてくれます。

色使いも外国風で美しく、ラッキー・チャームのような作品です。読み聞かせるほうも、色々と難しく考えがちな思いが吹っ飛びそうですよ。

絵本を通じて、子どもも大人も、自分というソファーに安心して座ってられますように。

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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