働くママのウェブマガジン

Column 絵本とボクと、ときどきパパ

新年度のスタートに。冒険映画と冒険絵本【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2018.04.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


新年度、冒険物語スタート

いよいよ新年度スタートですね。ウチの子は小3にあがりました。

保育園時代と違い、小学校は長い休みがあるので、3月時点では学童拒否の息子とどう春休みを過ごそうか頭を悩ませていましたが、なんだかんだ盛りだくさんで楽しい日々でした。仕事の方は全然できませんでしたけれどね。

例のごとく、映画館にも行きました。『映画ドラえもん、のび太の宝島』と『リメンバー・ミー』の2回。

IMG_3542_r
ウチの子はお気に入りのバナナオレがなかったのでカルピス。私は映画館では普段飲まないダイエット・コーク。ポップコーンはせがまれて、しぶしぶ。

ところでウチの子ですが、ずっと小さかった頃はアニメを観てよく泣いていたのに、6歳頃から徐々に悲しいシーンでも泣かなくなりました。どうしてだろうと、しばしば考え込みます。

悲しいシーンになると、とにかく私の顔を覗き込む。私が泣いているかどうかチェックすることで、気を紛らわして、泣かないようにしている? 自意識が目覚めて強がっている? 男子としてのプライド? きっと、そう。などと思ってみました。

ところが、最近では、いよいよ本当に悲しいシーンが全く心に響かないのかと思うくらいシラッとしていたりします。

「僕は映画を観て泣くことはない」だとか、「きっと、こういうシーンでは人は泣くだろうなと思う」だとか、「だけど、僕は悲しいと思わない」だとか断言しているのを聞くと、もしかするとまだあまり「悲しさ」に共感できないのかもしれない。そう思って、一瞬がっかりしましたが、まあ、それはそれと受け入れて、のんびり成長するのを待つ態勢に私も切り替えました。

切り替えたものの、なんとなくスッキリしません。本に関しては、登場人物の感情をよく理解しているほうだと思いますし、日常生活でも過敏なくらい人の気持ちが分かるのに、なぜかしら。

そんな中の春休み、『映画ドラえもん、のび太の宝島』と『リメンバー・ミー』を観に行ったわけです。『ドラえもん~』の方では、大切な友、ドラえもんを助けに行くのび太の勇敢な姿にウルッときそうになると、息子は「人が泣くシーン」を察知して即座に私の顔を覗き込んできました。正直、母として格好がつかないとまでは言いませんが、落ち着きませんね。困ったものです。

鑑賞後はというと、やはり愛すべき「ドラえもん」なのでしょう。母子間の会話が一際弾み、色々と感想を述べ合えた作品でしたが、それでもやはり「僕は泣きたいとは思わなかった」とのことでした。

そして数日後に『リメンバー・ミー』です。

なんだ。泣けないなんて、とんでもない。息子のことが良く分かりました。ギター好きだからか、いつも以上に共感したらしく、プライドのブレーキも上手く効かないようだと感じました。

なんとか涙をこらえようと、ジタバタ動いてみたり。自分用にティッシュを出したいけれど素直に出せない、だから「ママ、テッシュ、どうぞ」と私にくれてみたり。ティッシュで涙を拭くとバレるから、後ろ向きになって座席の背もたれで拭ってみたりしている様子。やっぱり、最初の勘は正しかったようです。一人前に感動しているのね。よかった、よかった。

とはいえ、いずれにしても、ウチの子のカッコ良くありたいという今のプライドは大切です。感動すること、涙が出てしまうこともカッコイイと気付くのは年齢的にずっと先なのかもしれません。名誉棄損はいけないですね。

なので、うん、どうやら、本当に泣けないのでしょう。悲しいって思わないんでしょうね。上に書いたことは私の勘違いでした、と締めくくらせていただきます。

『映画ドラえもん、のび太の宝島』は名作『宝島』、『オズの魔法使い』、『ピーターパン』など、数々の冒険ファンタジーがブレンドされたような映画で、『リメンバー・ミー』は死者の国への冒険物語でした。

この時期は新しい学年の冒険がスタートします。なのでウチの子が大好きだった冒険絵本をご紹介しますね。

image2_r

『ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ』(ペンギン社/マーガレット・ワイズ・ブラウン/坪井郁美・ぶん、林明子・え)。たった一人で、おばあちゃんの家までまっすぐ歩いていく小さな男の子の愛らしい冒険物語。おばあちゃんのお家を探して、犬小屋や馬小屋、蜂の巣などを覗いてその都度、男の子はハラハラドキドキ。

昔、ウチの子が年少にあがったばかりの頃が思い出されます。新しい保育園に転入したばかりで、家までのまっすぐの道を面白がって、歩いて帰る自分とこの絵本を重ねてみていました。「ぼくのお家はまっすぐまっすぐ」、「ここがぼくのお家かなぁ?」などと物語をシミュレーションしながら。

今となってはこの絵本は私の思い出の宝です。2・3歳から。

image1_r

『チムとゆうかんなせんちょうさん/チム・シリーズ_1』(福音館書店/エドワード・アーディゾーニ・ぶんとえ、せたていじ・やく)と他全『チム・シリーズ_』(なかがわちひろ・やく)。船乗りを夢見るチムは、ある日こっそり船に忍び込み……。チビッコ船乗りのハラハラドキドキの大冒険に進展します。

ウチの子が海洋生物ブームだった6歳ごろに何度も読まされたシリーズです。チムはチビッコにして勇敢。女の子に対してもジェントルマン。荒波の中、船長に教えられて、「たとえうみのもくずとなろうとも」めそめそしないと心に決めるシーンも印象的です。

今回、改めて思い返してみて、なんとなく、ウチの子が求める「かっこよさ」の原点はここにあるような気がしました。

絵本を通して、できるだけたくさん心の冒険ができるといいですよね。きっとそれは一生の宝物になると信じています。

prof2

Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


こちらも読んでね!
もっと親バカ丸出しで育てればよかった。たんぽぽの絵本に思うこと
もう少し楽しみたい。春のスキーと雪の絵本
冬の絵本と焼嗅のこと
鉄道ブームのときに読んだ絵本たち
0歳からデビュー! お正月は百人一首のかるた会
はじめまして、アンヌです

「絵本とボクと、ときどきパパ」連載一覧