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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

「町」にいても自然の風を運んでくれる絵本3選【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2018.06.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


田舎の暮らしと町の暮らし

有名なイソップ物語に、『田舎のネズミと町のネズミ』というお話がありますよね。田舎のネズミは町のネズミを、町のネズミは田舎のネズミを、それぞれの家を訪問するお話です。それぞれのネズミは、結局は地元が一番と戻ってゆきますが、みなさんは田舎と町、どちらの暮らしが良いですか?

私は「町」に住んでいて、「町」の暮らしは嫌いではありません。

でも、子育てをしていると、時々「田舎」で暮らしたほうが良いのではと思うことがあります。

もっと早くに田舎暮らしに切り替えれば良かったと強く思うこともあります。

梅雨入り前のお天気続きはピクニックやサイクリングに最適でしたね。一ヶ月前ぐらいでしょうか、ウチの子に、小さくなった自転車のかわりに少し大きめのサイズを新調しました。そうしたら漕ぐ気満々。今ではどこへ行くにも自転車が良いというくらいです。

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そういうわけなので、この清々しい季節に近隣公園のサイクリングコースを子どもとたくさん楽しみました。新緑は青々としているし、木陰を通り抜ける風は心地よいし、大人の私も気持ちが良いとはまさにこのことだという感じで気分爽快でしたよ。何周かして、草原で一休み。お弁当食べて、またサイクリングコース。こんな風に楽しんでいると、あの思いが頭を過ぎりました。自然に囲まれた「田舎」暮らしをするべきだろうか…。

ついこの前オランダ暮らしの妹から送られてきた写真も、同じ思いで見ました。2歳の息子と自転車で散歩に行ったら、こんなのどかなところに辿り着いたとのこと。こんな写真です。

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牛が沼に浸かっていて、草原には馬が。それを見た妹の息子が、自分も牛と同じように沼に入りたいと言ったので、好きにさせたそうです。

私のような「町」での子育てでは、こうした経験は日常的ではありません。もしこうした経験をさせたければ、わざわざ遠出するとか、キャンプに参加するとか、お金か気合いか時間の、少なくともいずれかが必要になると思いますが、普段のふらり散歩で、自由気ままに川や沼遊びができるというのが羨ましい。ビチョビチョになったり、ドロドロになったり、こうした遊びこそ子どもが毎日するべきではと思ったりもします。

我が家も、野山にはよく行くので、ウチの子が全くこうした自然の遊びをしていないわけではありません。ただ、普段の生活が野山に囲まれていたら、毎日がビチョビチョのドロドロ。無我夢中で虫や動物を追いかけたり、植物や木の実収集に没頭したことでしょう。時間を忘れるくらい野山を駈けずり回れるような日々だったら、どんな風に成長しただろう、どんな風にこれからして大きくなっていっただろうと思うのです。子どもの想像力にどれだけの差が出てくるのだろうと思ってみたりもします。

でも、いくら考えてみても、我が家の生活基盤は「町」暮らしの、ここです。おいそれと移住するわけにはいきません。そもそも、ウチの子は今、学校が楽しくてしかたがない。「田舎」に行くよと説得しようものなら、パパママどうぞ、ぼくは野宿してでも転校しない、と豪語するまででしょう。

結局、私は「町のネズミ」。あれこれ考えても始まりません。子どもの想像力は、場所を問わず遊びを考え出します。放っておいても自ずと冒険もするでしょう。フィールドが違っても、そこで子どもの将来真っ暗なんてことはないでしょうね。なによりも大切なのは、楽しくてしかたがないという環境ではないでしょうか。大丈夫、と気をとりなおして、「町」の公園でサイクリングする、いまここの私と息子の時間を堪能しました。

今回は、田舎暮らしが羨ましいと思った作品をご紹介します。

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『アンドルーのひみつきち』(ドリス・バーン:文・絵/岩波書店)。窮屈な家を飛び出したアンドルーは、友達たちと自然の中で秘密基地を作り出します。どの基地も素晴らしい工夫が凝らしてあって、思わず見入ってしまいます。幼少のころにこんな遊びができたらどんなに楽しいでしょう。5歳ぐらいから小学生向き。ウチの子も、静かに何度も読んでいます。作者は、水道も電気もないところで4人の子どもを育てたというだけあって、豊かな想像力が広がっています。この作品はアメリカでは古典の領域。

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『くまのアーネストおじさん あめのひのピクニック』(ガブリエル・バンサン:さく/BL出版)。2015年に劇場盤も公開された、くまのアーネストおじさん』シリーズの1作。優しいアーネストおじさんはセレスティーヌ思いです。そうか、こんな発想があったか、と思うような素敵なピクニックを考え出します。真似してみたくなること間違いなし。工夫すれば楽しいことはいくらだってできますね! これなら田舎暮らしでなくてもできそうです。

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『14ひきのせんたく』(童心社)こちらもいわむらかずおさんの有名なシリーズの1作ですが、私はこの自然ワールド、本当に憧れてしまいます。小川の透明感や冷たさ、涼しい風や眩しい日差し、読んでいるだけでも大自然に運ばれる感覚があります。見ているとこんな風に川でお洗濯をしてみたいと思うでしょう。梅雨明けごろにぴったりです。3歳ぐらいから。このシリーズは国際的にも大人気で、なんと23ヶ国語に訳されていて、フランスでは芸術文化勲章まで受賞されています。素晴らしいです。

絵本は「町」にいても自然の風を運んでくれますね。

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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