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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

この夏も、たくさんの思い出を。海をイメージする絵本3冊【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2018.07.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


たくさんの思い出を、海と絵本の間に

この度の西日本を中心とした豪雨により、被災された皆様ならびにご家族の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

大雨がこんなに大きな被害をもたらすとは思ってもみませんでした。人手が足りないとのことで、すぐにでも行きたいところですが、そうもいかないので、まずは食材宅配の支援募金にクリックしました。できることからお手伝いしたいですね。

さて。こんな最中ですが、今回は、7月で夏休み前なので、海にまつわる絵本を思い浮かべてみました。

早めの海開きがあったころから、ウチの子の気分は、夏休みに向かってまっしぐらです。海、山、どっちも捨てがたいと。

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ノルマンディーの超遠浅の海。はるか向こうの波打ち際まで、祖母に手を引かれて

保育園時代は親の仕事の都合に合わせて、休みを自由に取り、7月は海、8月は山に行きましたが、小学校にあがると、学校スケジュールでなんだかんだ忙しくなりました。

山はともかく、以前のように海の日前後にたっぷり休暇を取って、波や磯を堪能するのは難しく、今年はお預けになりそうです。でも今まで過ごした7月の海の、かけがえのない時間は、十分すぎるほど思い出として残っています。

波乗りをしたこと、蟹をつかまえたこと、バケツに入れた魚の種類がハゼとわかった時のこと、イソギンチャクを押して塩の噴水に明け暮れたこと、砂でお城もどきを作ったこと、砂まみれになって機嫌が悪くなったこと、貝殻のお土産、焼きそばとかき氷…。それに、サメ図鑑。

浜辺に向かう前に立ち寄った書店で、どうしてもとせがまれてウチの子に買い与えた図鑑です。読むのに夢中だったのか、サメを警戒したのか、波打ち際に近寄らないどころか、パラソルの下から一歩も出なかった半日もありました。

それも、もう過ぎ去りし日。今後はシーカヤックが一緒にできるかもしれませんし、子どもが成長しても、いくらでも楽しみは生まれます。

さて、こうして海をイメージするだけでもワクワクする7月。この時期に合う絵本は、好きな作品がありすぎて、選びきれませんが、頑張って絞って、この3冊。

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なんといっても、『スイミー』(好学社)! 作者はもちろんあのレオ・レオニ氏。谷川俊太郎さんの訳は、ほんとうに素敵ですね。

これは教科書に載っているお話でもありますが、お勉強として学校で触れる前に、ぜひ幼少のころに、自由に感じ取って欲しい作品です。

小さい魚のスイミーが、周りの友達と力を合わせて大きな魚を退治する話です。ただ、そういった教訓もいいですが、ドロップみたいな海藻や、ブルドザーみたいなエビなど、海中に広がる美しく不思議な世界で、驚きにあふれた冒険を、スイミーと共にまずはして欲しいですね。また、描き方も、版画のような技法を使ったりして、その表現にも魅せられます。

5~6歳向けとありますが、「ウチの子、『スイミー』が大好きで~」と言う2歳児のママ友もいましたし、幅広く楽しめる作品だと思いますよ。ぜひ一家に一冊!

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『だいちゃんとうみ』(福音館書店)。数年前、『こどものとも』の原画を観に、静岡の美術館まで足を伸ばしたことがありましたが、その時に実物を目にして衝撃を受けた太田大八さんの作品です。速攻購入しましたよ。

長崎の小さな漁村の、海と戯れる子どもの夏の一日を描いたものです。エビ掬い、魚釣、浜でのご飯、素潜り、夕暮れ時のにおい。淡々とした昔の豊かな時間が、美しい水彩画にのせられて、じんわりと伝わってきます。こういうドラマチックな展開がとくにない絵本は、子どもが食いつかないのではないかと思いがちですが、本当は心の奥に、憧れとして深く浸み込んでいくようです。

ウチの子も、海洋生物に夢中だった時期と重なったのもタイムリーでしたが、何度もページをめくりましたね。長く読み継がれている傑作を、ぜひ。4才から。

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小さなお子さんにも、もう一冊! 『ぷかぷか』(ゴブリン書房)です。なにせ、ゆるいっ! ぼわぁーっとした感じでのんびりと、波にゆられて空をみつめて、頭の中を空っぽにする、そんな絵本です。空っぽにすると、あれや、これや、面白いものが見えたり、考えついたりするものですよね。

石井聖岳さんの作品は、ところどころにおかしみが散りばめられていて、思わずニンマリとしてしまいます。たこと一緒に、ゆったりした時を楽しんで欲しいですね。お話会にも使えます。私なら2才児にも読んでしまいそうですが、出版社HPには3才からとあります。

この夏も、たくさんの思い出を、海と絵本の間に蓄えたいですね。

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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はじめまして、アンヌです

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