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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

絵本の読み聞かせは、卒園まで? 低学年まで? 子どもが嫌がるまで?【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2018.11.25

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


読み聞かせ卒業

おうちでの読み聞かせ、いったい何歳まですれば良いのだろうと思うことはありませんか?

卒園まで? 低学年まで? 子どもが嫌がるまで?

読み聞かせは、4~5歳にもなればゴールデンエイジに突入です。およそ低学年ぐらいまでは、親子で心温まる素晴らしい読み聞かせタイムを過ごせるのではないかと思います。この素敵な時間を逃しては本当にもったいない。ママやパパ、その他ご家族の方々、お忙しいでしょうけれど、少し無理してでも読み聞かせタイムを、数分でいいので作ってほしいなぁ、と私は思います。

私はというと、とにかくこのゴールデンエイジを無駄にするまいと必死でした。食事のほうは少し手を抜いて時間を作り、朝は寝起きに15分、朝食中に20分、そして夜は寝る前に30分は必ず読んで聞かせていました。

絵本はもちろん、昔話や民話集、児童書のような長いお話も数日かけて親子で楽しみましたし、小学生新聞も読んで聞かせることから始めました。休日には、もう少したっぷり時間をとることもありました。

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先日、朝、地球温暖化に関する記事を、「じぶんでよむ」と言った時。

果たして、この時間が息子にとって、どれだけの価値あるものだったかというと、正直まだはっきりとは分かりません。でも、少なくとも効果があったように思うのは、語彙数、読書量、想像力、そういった面ではないかと思います。

言葉を使うときや、アイディアを出すときに、絵本の言葉や世界がベースとなっているだろうと思う時が多々ありますし、絵本からいわゆる「読み物」への移行もとてもスムーズでした。個人差はあると思いますが、ウチの子は9歳の今、200ページは45分もあれば読みきれます。

あとは、心の部分にどう作用しているかというところです。でも、こちらのほうはきっと、息子がずっと大きくならないと分からないかもしれませんね。それでも私は、幼少期の読み聞かせは、愛されている実感を育んでくれますし、その実感とともに記憶に染み込む物語の豊な世界は、絶対に一生の心の支えになると信じています。私の、読み聞かせの先輩は「10歳までやっとけば、(くじけそうになったときも)なんとかなる」と断言していました。いずれにしても100%そうではないにしろ、なんとなく頷けましたね。

というわけで、読み聞かせは大切だと思っている私ですから、自分で本が読めるようになっても、ウチの子のほうから、「もうけっこう」とストップがかかるまでは続けるつもりでいました。ストップがかかるのは、思春期ごろに決まってる。だから10歳までなんて余裕で読める。そんなふうにあぐらをかいていたら、予期せぬことになったのです。

とうとう、先日、ストップがかかりました。「自分で読むからいいよ」と。

それは小学生新聞の記事でした。4歳頃から、興味のありそうな記事を読んで聞かせていましたが、自分で読めるようになってからは、内容が難しそうなところだけ手伝うようにしていました。この日も、地球温暖化に関する記事を取り上げて、「これ読んであげるね」と声をかけました。そうしたら断られたわけです。正直、私は、喜びと寂しさが入り混じった、小さな衝撃を受けました。でもこれは成長です。絶対に邪魔してはいけませんね。なので私は、息子が自分でしっかり読み通すのをジッと見守ることにしました。

そういえば、この少し前から、私が読んであげようとしても、上手くいかなくなっていましたね。

はねとしっぽ

例えば『はねとしっぽ 世界の動物物語』(ディヴィッド・ケアディアン再話、ナニー・ホグローギアン絵/童話館出版)です。世界の寓話集で、温かみのある上品なタッチで描かれた動物たちが登場します。生きるための知恵がたくさん詰まっていて、面白いんです。なぞなぞもあります。ただ、これ、私が読んで聞かせていたら、お話の途中で、「はい、わかった、次のお話」と中断してきて、次のお話を読ませようとするのです。私の読み上げるペースを越えて、先にどんどん自分で読み進んでいたわけです。

グリムやラ・フォンテーヌなど、馴れ親しんだ他の寓話などとと比べてみたりしながら、息子本人は楽しんでいましたが、私はなんだか調子が狂ってしまいました。訳者は乾侑美子さんです。この美しい日本語にも早いうちから触れてほしいですね。5歳ぐらいから。

名前のない人

『名前のない人』(c.v.オールズバーグ・著/河出書房新社)もそうでした。図書館から借りてきて、「ちょっと待っててね、今読むからね」とテーブルに置いて、上着を片付けて戻ってきたら、「読んだよ」と言うんです。せっかく一緒に楽しもうと思ったのに。「良いお話だったよ~」ですって。

田舎で暮らすベイリーさん一家の家に、突然記憶を失った男が突然現れる話です。すると不思議なことがちらほらと起こり、そして、やがて、男は静かに去って行きます。男は何者だったのでしょう?

なんとも不思議な雰囲気の、魅力的な世界観が広がる、紅葉の季節にぴったりの作品です。大人向けかもしれませんが、子どもにも不思議な余韻を残してくれる物語は大切だと思います。5歳ぐらいからでしょうか。訳は村上春樹さんです。

チーロの歌

さて『チーロのうた』(アリ・バーク:文、ローレン・ロング:絵/クレヨンハウス)です。これは、忘れもしない年長の冬の思い出です。配本サービスから届いたばかりで、夜読んで聞かせようと子ども部屋の隅に置いていました。しばらくしてふと気づくと、息子がおとなしくしてるので、子ども部屋を覗いてみました。息子がこの絵本を大きく開いているではないですか。ちょうど最後のページをめくるところで、私と目が合いました。その時の笑顔といったら! 初めての絵本を、初めてひとりで読んだという達成感でしょうね。幸せそうでした。

これは小さなコウモリの冒険物語です。お母さんの元を離れて、真っ暗闇のなか一生懸命「感覚」を使って世の中を知ろうと旅に出ます。頑張って前に進む小さなコウモリの姿に勇気をもらったり、お母さんのもとに戻る安心感も得られる作品です。新しいことにチャレンジする大人も共感できる内容なので、オールエイジにおすすめです。

はてさて、我が家では、もう「これ読んで」ということはないのでしょうか。自分で読めるようになってくれて嬉しいです。でも少しだけ寂しいものですね。

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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はじめまして、アンヌです

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