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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

絵本の中で、落ち葉集めと木の実拾い【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2018.12.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


絵本の中で、落ち葉集めと木の実拾い

みなさんは、この秋、紅葉狩りや木の実拾いをお子さんとしましたか?

今年は塩害で都会のサクラもイチョウも、紅葉は、優雅に色づくというよりは、カラカラに乾いた茶色い枯葉の方が目立って少し残念でしたね。もともと秋が好きな私なだけに、毎年息子と綺麗に色づいた落ち葉を集めたり、木の実を拾ったりができるこの時期を楽しみにしていましたが。

そこで、赤いモミジや黄色いシラカバの葉を期待して、冬場は使えない山小屋へ戸締りを兼ねて出かけました。木の実もきっとたくさん落ちてるでしょう。

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ところが着いてみたら、まあ、残念。紅葉シーズンはすっかり過ぎ去り、赤いモミジや黄色いシラカバどころか、小屋の庭は一面茶色の枯葉絨毯でした。木の実もたくさん落ちたのでしょうけど、枯葉の下で見えません。仕方がないので慰めに、去年はこんなこと、一昨年はあんなことがあったなぁ、などと、落ち葉や木の実を拾ったときの過去を思い出してみました。

ひとことで木の実といっても色々です。代表格のどんぐりとひとつ取ってみても、その形は様々。息子がとても小さかったときは、ひとつ拾っては、「これなぁに」と聞いて来て、私は図鑑とにらめっこしてみたこともありましたね。そのうちに息子の方が詳しくなると、今度は私がひとつ拾っては「これなあぁに」と息子に聞いてみるようにもなったりして。マテバシイやミズナラ、それにクヌギなど、どんぐりにも色々な種類があることや、クリのイガがチクリどころか凄まじく痛いということも、息子と秋の野山を散策しなければ知りもしなかったことです。さらにクルミ。これこそ息子がいなければ、野山で見つけることも出来なかったでしょう。

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松ぼっくりは、ひとつ見つけました。

みなさんは、クルミを知っていますか?もちろん、食べたことはあるでしょう。でも、いったいどういう風に木に生っているか、見たことはありますか?私は、てっきり、あの硬いゴツゴツとした殻の形のまま、木にざらんざらんとぶら下がっていると思っていたんですね。でもそうではない。それを知ったのは、ある、保育園帰りのことでした。

息子が年長のころだったかと思います。園庭にある木を一本一本調べてみる、というようなことをクラスでやっていた時期がありました。葉や幹、それに実が成るものなら実を観察して、図鑑と照らし合わせ、最後に絵も描いてみる、という内容です。お陰様でそれがきっかけで、息子は一時期樹木ブームにもなったのですが、その息子が「保育園にクルミの木があるんだよ」というのです。送迎のたびに園庭を横切り続けて3年。クルミのような、とても目立つ形をした実を、一度たりとも見たことがないから、クルミをクヌギと息子が言い間違えたか、それとも私が聞き間違えたか、どちらかだろうと思って聞き流しました。ところが次の日、お迎えにいくとまたクルミの話が出ました。「クルミを拾った。カバンに入れた」と。家に着いてカバンを開くと、野山で見かけたことのある、腐りかけたようなオリーブ色の、形は楕円の実が出て来ただけです。あの硬い殻の実なんてどこにも見当たりません。「クルミなんて入ってないよ。それで、こっちは、なあに?」とそのオリーブ色の実を息子に見せると「クルミだよ」と言うのです。その時はもちろん、間違って覚えたのだろうと思いました。

しばらくしてから、ふと、割ってみたらどうだろうと、もう一度その実を取り出しました。中を見てみると案の定、そこには、私たちが知っているクルミが入っていたのです。あの硬い部分は種なんですね。さらに、その種を割ると、リスもヒトも喜ぶ、あのナッツが入っているわけなんです。そして、くるみにも色々と種類があるということも息子から教わりました。息子が持ち帰ったのは、「オニグルミ」というものでした。

子どもから教わる自然の豊かさと喜びは、なんて多いのでしょう!

いまや野山で、あのオリーブ色の実を見つけると、「あ、クルミだ!」と誇らしげ言うのは息子よりも私です。

さて、みなさんにもぜひクルミに興味を持っていただきたい季節ですが、種だけならまだしも、そんなに簡単に本物の実にはありつけませんよね。でも大丈夫。『くるみのなかには』(たかおゆうこ・作/講談社)があります。

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タイミングよく、先日、読み聞かせの指導をしてくださった先生から紹介された、うっとりするような創作絵本です。くるみの中にはなにが入っているかしら?小さな宝物?小さな針と糸?もしかしたら小さなおばあさんとおじいさん? そんな感じでファンタジーの世界を味わったあと、ゆったりとクルミの正体が「理科的」に紹介されます。4歳ぐらいからでしょうか。短いですが、小学生も満足できる作品だと思います。

そして、サルナシという実もしかりです。野山のハイキング中に、息子が「あれはなぁに?」と指差さなかったら、この小さなキウィそっくりの果実があるなんて知らないままだったでしょう。ヤマブドウ、コケモモだってそうです。

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『たべられるきのみ』(菅原久夫・作、高森登志夫・絵/福音館書店)には、見つけては息子と「なんだろうね?」と顔を見合わせていたヤマボウシ、ツノハシバミのような木の実も載っています。絵は美しいですし、食べ方や味わいも分かりやすく紹介されているのでハイキングに持ち歩きたいくらいです。小さいころは、木の実拾いに夢中になる時があります。そのタイミングに、ぜひ。

最後に『ばけばけはっぱ』(藤本ともひこ・作/ハッピーオウル社)をご紹介します。

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図書館で何度予約を入れても必ず順番待ちを強いられる人気絵本です。落ち葉拾いの楽しみは、集めて、合わせて、形にするまでに広がります。金魚を作ったり、タヌキを作ったり。お子さんだったら何を作るでしょう? 遊び心をくすぐる楽しい写真絵本です。

次回はいよいよ今年最後。クリスマスの絵本をご紹介しますね!

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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