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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

サンタクロースとクリスマスの贈り物。おすすめ絵本3冊【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2018.12.22

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


サンタクロースとクリスマスの贈り物

先日、前から息子にねだられていた映画『グリンチ』を、とうとう観てきました。原作は、『王さまの竹うま』や『ぞうのホートンたまごをかえす』など、数々の愉快な絵本を手がけたドクター・スースです。正直、私だって気にはなってはいましたよ。なので公開が始まるとすぐ、内容の確認もそこそこにチケットを購入。いつものごとく、近くの映画館に行き、お決まりのポップコーンを買って、シートにドッカと座り、そして上映を待ちました。

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すると、なんということでしょう。『ミニオンズ』の短編の後に、スクリーンに映し出されたのはクリスマスの物語ではないですか。あ、シマッタ!内容を確認しておくべきだったかも。そう思って焦りました。

そもそも12月ですもの。映画だって季節感あるものを上映して当然です。でも、大丈夫だろうか。

私は先日聞いた、パパと息子のやり取りを思い出していました。我が家でもクリスマス目前に、サンタさんを迎える準備を整えていました。ふいに、息子がパパに「サンタさんは、本当は、サンタさんにお願いされてパパやママが代りにやっていたりするんじゃないの?」と、質問をしてきたそうです。もちろんパパは「違うよ」と伝えたそうですが、やはり親としては気掛かりです。こんなふうに、子どもが疑問に感じ始めると、サンタさんは来なくなるかもしれません。サンタさんを待ちわびるクリスマスは、もう卒業かしら?

そんな矢先のこの映画です。サンタさんのプレゼンントがどうのとか、そんなやり取りが目の前のスクリーンで繰り広げられたら、この息子は、懐疑的な斜め目線で鑑賞するか、鼻で笑って帰ろうとするかもしれません。別の映画にすれば良かったかしら。少なくとも粗筋は読んでおくべきだったわ。そもそも原作を読んでいないなんて。などと、若干大げさに後悔や反省の思いを巡らせながら、ポップコーンをつまむ息子を横目で観察していました。

でもまだ9歳。そんな心配は無用でした。サンタクロースのプレゼントや華やかな装飾を片っ端から掻っ払っていくひねくれ者のグリンチがひとたび登場すると、その意地悪炸裂のドタバタ劇に、息子の方はひねくれるどころか、とことん素直に爆笑してます。そこで私は、ああ、良かった、と思ったわけです。良かった、連れてきて。良かった、楽しんでいてくれて。それに良かった、サンタさんはまだ来てくれるでしょう。

そういえば、私も息子と同じ年ぐらいのころ、同じようにサンタさんの存在を疑問に思ったことがあります。

一晩で世界中の子どもたちにプレゼントを配れる人なんているわけない。きっとサンタさんは宇宙人。さもなくば、ロボットに違いない。夜中に起きて、その正体を絶対に暴いてやるんだ。絶対に起きてやる、と。その気持ちは『グリンチ』の中のシンディー・ルーという女の子のそれにも似ていて、やはりみんな通過する「クエスチョン」のようですね。シンディー・ルーは、サンタさんがやってきたら、ベルの紐につまづかせ音を出すという、すごい仕掛けをこしらえましたが、一方の当時の私はどんなに頭をひねっても、そんなアイディアは出てきもしませんでしたね。それに仮に起きられたとしても、アメーバみたいな宇宙人と鉢合わせたら、もしくはロボットの機械式の目に振り向かれたらと想像するとちょっと恐ろしく、布団を被ったままの方が無難だと思いもしました。そもそも、だいいち、結局のところ、どんなに意気込んでも夜中に目覚めることはただの一度もありませんでしたが。お陰で、サンタさんはなんの気兼ねもせずプレゼントを置き続けてくれましたし、サンタさんが来なくなった中学2年以降も、この楽しみを運んでくれる優しい存在は、ずっと私の心の中でホカホカと生きつづています。

そうです。「サンタクロースはたしかにいるのです」。

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『サンタクロースっているんでしょうか?』(偕成社)の中の、アメリカのある新聞記者の言葉です。この作品は、100年ほど前、当時8歳だったある女の子が新聞社に投げかけた質問に対して、返事として載せた社説が元になっています。記事が掲載された後も、繰り返し新聞や雑誌で紹介され読み継がれたきたそうですが、何度読んでも心が和らぎ、豊かにしてくれる、真心のこもった素晴らしい文です。お子さんがウチの子にような疑問を抱いた時に、またはシンディー・ルーのように仕掛けを組み始めたら、親子でじっくり読んでみるのも良いかもしれません。

真心や信頼、想像力や思いやり、詩や歌。サンタクロースもそうです。そういった目に見えないものがどれだけ世界を美しくしてくれているのでしょう。それを改めて愛でる時がクリスマスなのでしょうと、歌に心を動かされるグリンチを観ながらも、つくづく思いました。

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『クリスマスのふしぎなはこ』(長谷川摂子・ぶん、斎藤俊行・え/福音館書店)は、私がとても気に入っているクリスマスの定番絵本です。ある男の子が家の縁の下に、不思議な箱を見つけます。開けてみると、なんと中にはサンタさんが寝ているではないですか! サンタさんのおとづれを待ちわびる男の子の気持ちが、なんとも愛らしく描かれている昭和風の作品です。宗教的なカラーが全くない、どの家庭も親しめそうなアットホームな内容は、小学校での読み聞かせなどでも重宝しますよ。2~4歳向きとありますが、息子が2年生の時も学校の読み聞かせに使って欲しいとリクエストされました。

そして『わたしのすてきなクリスマスツリー』(ダーロフ・イプカー・作/BL出版)。手にとってみて、その絵の美しさにため息が出た作品です。窓の外に一本のモミの木。大きな星が輝き、2頭のクマが現れ、3匹のボブキャットが寝そべり、4匹のヤマアラシが美味しい葉っぱを食べ始め…。1ページごとに動物たちが集まり、冬の景色を輝かせてゆく詩のような絵本です。数遊びもできるところも魅力です。3歳ぐらいから、大人まで。

贈り物は、なにも物である必要はないですよね。美しい景色だったり、美しい歌だったり、美しい行為だったり。サンタさんがいるからこそ美しくなる世界を大切に、本当の意味で豊かな生活を送れる1年になりますように。みなさま、よいお年を!

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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