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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

ワシントン州滞在と、アメリカの自然を感じる絵本【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.01.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


ワシントン州滞在と、アメリカの自然を感じる絵本

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新年あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

みなさまはどんな年末年始を過ごされましたか?
我が家はアメリカで過ごしました。アメリカと言っても、広いです。私は東海岸は幾度も訪れていますが、今回は私の従姉の住む、ワイシントン州に行ってきました。それもシアトルから近い、とある島です。

出発前に下調べをほとんどせず、真っさらなまま行ったということもあって、毎日見るもの全て驚きの一点張りで、素晴らしい日々を過ごすことができました。

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まず空港に到着し、フェリーに乗って島に渡りました。ステイ先は、従姉の家の近くにある、海辺の小屋です。民泊ですね。窓からの眺めは一面の海。穏やかな水面には、低くて柔らかな冬の日差しがゆらめき、朝目覚めるとカモメや鴨、鵜やアオサギなどが集まってきます。鳥たちが待っている、ひょっとすると鮭が飛び跳ねて、イルカやオルカが姿を現すかもしれない。そんなふうに心踊らせて目覚めるのは、生物好きのウチの子にとってとびきり贅沢な環境だったと思います。

さてそんな場所で何をして過ごしたかと言うと、こうです。

まず、私の従姉は、科学者の夫と共に有機農園と小さな農場を営んでいます。営んでいると言うのが適切かわかりませんが、自分で耕した畑の野菜を食べ、羊の世話をし、樹々に集まる小鳥と、真っ赤に熟したりんごが成る木々に囲まれ、ワラビー3匹を可愛がり、番犬の頭を撫でる、そんな生活です。

ある日は、自分の農場を見せてくれました。私たちは畑を歩いて回って、芽キャベツのなっている様子を観察したり、ケールやわさび菜を夕食用に摘み取ったり、畑の土の匂いを嗅いだり、温室ではまだ食べられそうなグリーンゼブラというトマトを拾ったりしました。また、羊たちを呼び寄せて、親分を触らせてもらいました。小枝やら葉っぱやらが絡んだ縮れ毛が信じられないくらいモコモコなことや、触ってみると手に脂がつくことなど、驚きの連続です。ミニ農場体験ですが、あら?どこかで見覚えにある光景です。

ああ、そうでした、あの作品でした。私は「『かえでがおか農場のなかまたち』(アリスとマーティン・プロベンセン:作・絵/童話館出版)みたいだね!」と息子に囁きました。「あ、たしかに~!」と答える息子と歩幅を合わせて歩き、こんなやり取りができたことに、読み聞かせをしてきた喜びを噛み締めました。

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この作品は、農家一家を取り囲む様々な動物や植物の春夏秋冬を一コマ一コマ切り取った図鑑のような絵本です。自然や動物への愛情が詰まった、おそらく私が一番好きな絵本のうちの一冊です。全体が長く、息子がこの本が好きで好きでたまらなかった時に何度も読まされて大変でしたが、そんな苦労もものともさせないくらい楽しかったです。5~6歳ぐらいから。少しずつなら小さい子も。

ワシントン州滞在中のまたある日には、りんごの木からもぎ取ったばかりのりんごで、プレスジュースを作ったり、また別のある日には、遠出して雪山でソリ滑りなどもしました。

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海があり、山があり、田園もある、ワシントン州ならではの日々。羨ましいほど広大な自然に囲まれていて、息子は、やれイヌワシが飛んでるだとか、やれ山ネズミの足跡だとか、なんだかんだ呟いて忙しくしていました。「そんなに生き物が好きなら、これぞアメリカの自然というようなところがあるよ」と従姉。タコマの方に色々な動物の剥製が飾られているところがあるらしいのです。残念ながら今回は時間がなく、断念しましたが、「『タコマ』って英語っぽくないよね?」と言うパパに、息子は「たしかに、そうだね」と頷いて、それからみんなで色々な話をしました。アメリカは長い間人間に開拓されないできたから、様々な動物が生き残れて種類が豊富だということ。先住民はいたけど、自然を切り開いて開拓するようなことはなかったこと。この辺の先住民は、セイリッチ族というのだと言うこと。「タコマ」の語源はその先住民の言葉なんだろうということなど。

「そういえば、あのお話、アレ、覚えてない?」。私は『天の火をぬすんだウサギ』(ジョアンナ・トゥローン:さく/評論社)という北アメリカの先住民の伝説のことを思い出して、息子に聞きました。これも以前に何度も息子に読んだ絵本です。「耳が長かったり、尻尾が短かったり、なぜ動物がそうなったのかっていう話、覚えてない?」と私が続けると、「ああ、そういえば、あったね、そんな話」。

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こんなやりとりに、またしても読み聞かせをしてきた喜びを噛み締めました。5歳ぐらいから。

そしてまたある日は、こんなでした。最終日です。予定していた動物園に出向くより、もっとこの広大な自然を楽しみたい。そんな私たちの思いに対して、従姉がカヌーを出そうかと提案してくれました。私たちが宿泊していた海辺の小屋の前からカヌーを出し、鳥たちが行き交う水面をただ、ひたすら漕ぐ、というだけのことですが、言葉にできないくらい楽しかったです。息子は、疲れた、疲れた、と言いながらも、もう一回、もう一回と何度も漕ぎたがりました。

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パパと息子、どこまでも漕ぐ。

すると、あれ?何かがひょいと水面に顔を出しました。ラッキーなことに、アザラシでした。水族館ではなく、自然の海で、アザラシを見た息子の喜びようったらありません。アメリカの人のように、ワオーーッ、とは言いませんよ。でも目をキラキラ輝かせて、「ネコの仲間、ネコの仲間、可愛い~~」って!生物学的にはネコ目だそうです。

そんな息子に、東京に戻ってきてから『海のおばけのオーリー』(マリ・ホール・エッツ:作、岩波書店)を図書館で借りてみました。

居間に置いておいたら、学校から帰るなり上着も脱がずに一気読み。それもその筈。このアメリカで見たアザラシは、まさにこんな感じで顔を出していたのですもの。やっぱり、記念にこの絵本を購入しようかな。6歳ぐらいからでしょうか。読み聞かせに慣れているお子さんなら、もう少し小さくても楽しめると思いますが。

今回は少し大きい子向けの絵本の紹介になってしまいました。次回は小さい子向けのものも用意しますね。

では、皆様にとってさらに素敵な一年になりますように!

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息子が折ったイルカ。結局、今回、アザラシには会えましたが、イルカは見れませんでした! 夏に乞うご期待、だね!
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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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