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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

なんでもかんでも「ネイ」! イヤイヤ期の甥っ子と絵本【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.01.25

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


イヤイヤ期の甥っ子と絵本

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ワシントン州の海で、ひたすらカヌーを漕ぐ伯父と従兄を、じっと目で追う私の甥。

『Nee!』
これは、オランダに住む2歳の甥が一日のうちにもっとも多く発する言葉です。
このオランダ語は「ネイ!」と発音し、英語のNOを意味します。イヤイヤ期全開炸裂の甥っ子は、目下なんでもかんでも「ネイ」。そんな甥っ子とも、今回のワシントン州滞在を共にしてきました。

例えば朝です。起きてきて「おはよう」と挨拶しても、開口一番が「ネイ!」。食卓では、「上手に食べられるようになったね」と笑顔を向けても「ネイ!」と嫌がられ、積み木で一緒に遊ぼうとしても、当然「ネイ!」と追い払われる、そんな連続でした。とはいえこのネイ坊やは、普段はオランダの保育園に通い、家では日本語とフランス語を聞き、親と外に出れば英語が飛び交うといった、4つの言語環境に居ながら、久しぶりに会ったら実に上手な日本語を話せるようになっていたのです。なので私としてはもっと頻繁に「ネイ」以外のやり取りがしたくて、あの手この手で声がけをしましたが、ほぼ「ネイ」の突っ張り勝ちでした。でもこれも大事な意思表示の時期。可愛過ぎてつい笑ってしまっていました。イヤイヤ期を楽しめるのも、少し距離のある伯母という立場の特権かもしれません。

息子がイヤイヤ期全開のころは、私はもう必死でした。どうしたら良いのかまごついたり、うなだれたり。「いやだ!」と言われて、笑ってなんていられませんでした。きっと息子の記憶に残っている私の顔は、眉間に皺、困った眉毛、そして大きなため息をこぼす口だと思うと胸が痛みます。今ではあの時代と比べると当然のことながら聞き分けがとても良くなりました。そのことに「いい子だね、いい子だね」と褒めるこのごろがあるので、まあ、親としての自分をプラマイゼロで良しとしていますが。

さて、甥っ子のネイ坊やですが、積木遊びでも「ネイ!」と参加を断られたので、私は側から見守ることにしました。

すると、四角柱の積み木を床に沿わせ、「でんちゃがとーりまーしゅ」と、2歳児独特の可愛い声で、電車に見立て進ませています。しばらくすると、立方体を2つ並べ、その上に四角柱を乗せています。何かなと見ていると、「かんかんかん」と言い始め、四角柱を上に持ち上げました。どうやら踏切のようです。「でんちゃがとーりまーしゅ」とまた言って、持ち上げた四角柱の下をくぐらせていました。大人の目には、2つの立方体と2つの四角柱が転がっているだけにしか見えません。でも子どもには、そこに豊かな鉄道ワールドが広がっているんですね。見ていてジーンとするものがありました。

このようにシンプルなものが、何かになって、そこに世界ができ、物語が生まれる、子どもならでは感覚をとてもよく描いていると思ったのは、『ふねなのね』『バスなのね』『おうちなのね』(中川ひろたか:ぶん・100%ORANGE:え/ブロンズ新社/3冊セット)です。これは、私が図書館のお話会の準備をしているときに、パタパタと入って来た小さな男の子から教えてもらった作品です。その子は、この絵本を抱えて「ふねなのね、ふねなのね」とずっと繰り返しているのがあまりに可愛くて、私も1年前に甥にプレゼントしました。案の定、甥っ子のお気に入り絵本です。一番は『バスなのね』らしく、少し傷んでいますね。2歳から。

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イヤイヤ期の甥っ子は、もちろん手袋をするのも「ネイ!」、耳の掃除も「ネイ!」、歯磨きも「ネイ!」です。歯磨きぐらいはそろそろスムーズにできるといいのかな、と思っていた矢先に先日、こんな作品を見つけました。『はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!』(くぼまちこ:さく/アリス館)

歯ブラシを電車に見立てた、楽しい歯磨き導入絵本で、大好評なのだそうです。ウチの子がイヤイヤ言っていた時に読みたかったと思いながら、さっそくオランダ行きの小包に入れました。これを読んで、もう「ネイ」と言わずに歯磨きしてくれると良いのだけれど。甥っ子の反応が楽しみです。2歳から。

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書店の本棚には、ロングセラーの『せんろはつづく』(竹下文子:著・鈴木まもる:絵/金の星社)もありました。きっと積み木で電車遊びをしている時ってこんな気持ちなんだろうな、と思わせる作品です。読み聞かせながら、親子で遊んでいるような感覚になれるでしょう。これも甥っ子のために購入しました。

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そう、私にもありました。息子との積み木遊びの時間。その過ぎ去りし時に後ろ髪を引かれつつ、オランダ行きの小包を郵便局に運んで行きました。
この作品も2歳から。

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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