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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

列車と、ダルマと。鉄道の旅から広がる好奇心の旅【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.02.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


鉄道の旅から広がる好奇心の旅

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少林達磨寺にて、達磨ゴロゴロ。

ピリリとした空気の中、梅が咲いているのを見つけると、春のおとづれを間近に感じます。
2月になりました。この季節は、何と言っても節分にちなんだ絵本は外せません。鬼が登場するお話は、昔話をはじめ、創作ものもたくさんあります。ぜひ、この機会に鬼のお話をたっぷり読んで聞かせたいところです。

と言いつつ、今回は鬼のお話ではなくダルマの話です。
息子の鉄道熱が再びヒートしたので、最近の私の週末も鉄道巡り三昧となったところで、先日、息子と、群馬県の高崎から少し離れた少林寺達磨寺というところに行ってきました。
保育園時代にも、鉄道にひたすら乗る、いわゆる「乗り鉄」を経験した息子ですが、同時に車種やら時刻表やら路線図やらに夢中になった時期を経て、ある時期を境に、はたと鉄道熱はクールダウン。

ところがある日を境に、何がきっかけだったのでしょうね、常磐線と茨城県に興味を持ち、突然土浦まで行きたいと言い出したのです。え、土浦?と思いましたが、パパも私も、息子がやりたいと言うことは、時間と金銭とモラルが許す限り付き合うことにしているので、今回の要望にもOKしました。

とはいえ、ただ単に、常磐線で土浦まで行って帰ってくるだけのことです。それでも、常磐線の珍しいパンタグラフをじっくり見たこと、れんこん畑を通過したこと、駅からすぐの霞ヶ浦では釣り人たちがいて、ひょっとするとシーバスを狙っているのかもしれないと想像してみたこと、駅のお土産屋さんで干し芋か、のし梅のどちらを買うか迷ったことなどが、とても新鮮に感じられたのでしょう。
これを機に、観光や特産物巡りが好きになったようです。

さてそこからは、週末にもなれば、川越に行こうだとか、水戸に行こうだとか、あれこれ日帰りできる範囲の駅名をあげて「ことりっぷ」をねだられるようになりました。そのひとつに、「高崎」という行き先が挙げられたわけです。地図上では達磨さんのお寺が近いように見えたので、面白そう、ということで行くことにしたのです。

ところが高崎駅に到着してみると、その少林寺達磨寺というお寺は、徒歩範囲にはありませんでした。バスに乗らなくてはならないのですが、本数が少ない。待ちの時間が長いわけです。さらに帰りはまるで珍道中。高崎駅からJR両毛線に乗り、桐生駅に着いたら新桐生駅に移動し、特急「りょうもう」に乗車して都内に戻りたいと急に息子が言い出すわけです。

鉄道のことはさっぱりわからない私はひたすらついて行くしかありません。ところが、いざ桐生駅で降りてみるとは特急が通る新桐生駅とは繋がっていません。息子曰く、繋がっていなくとも徒歩範囲だろうと思ったそうですが、駅前の地図を見てそうではないとわかると、タクシーだとばかりに勝手に乗り込んでしまいました。仕方がないので私も乗ります。こうしてなんとか新桐生駅にたどり着きましたが、これまた1時間くらい待つことに。

結局、想定外に時間がかかり、想定外に特急券代とタクシー代の出費があり、面白かったけれどだいぶ疲れた1日となりました。都内の地下鉄巡りと同じ感覚で、行き当たりばったりなスケジュールでは車に火がつき兼ねませんね。息子とよくよく反省したところです。

さて、肝心の少林寺達磨寺ですが、年末年始や達磨市のシーズンは大変な賑わいようだそうですが、私たちがお参りしたのはただの週末。ひっそりとしていてそれはそれは良いものでした。
長い階段を登り詰めると、大小様々な達磨がゴロゴロと積み上げられていて、なかなか風情があり、息子もとても喜んでいました。長生きがしたいという、これまた渋いというかなんというかの、ウチの子の願いを聞き入れて和尚様が開元しくださり、大満足。

そこへ「小さいので良いから達磨買ってきて~!」と祖母からのメールが。どうやらこのお寺は、老若男女、人気がありそうです。

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念願の高崎駅の達磨弁当!貯金箱にもなります。

というわけで、鉄道に興味があると、時を経て好奇心にいろいろな広がりが出てくるので、息子を見ていて面白くて仕方がありません。
鉄道熱は冷めやらず、読み聞かせも、もはやゴールデンエイジが過ぎ、「読んで」とねだられることはないだろうと思っていたにも関わらず、ついこの間、しっかり本棚から懐かしい絵本を引っ張り出してきました。『でんしゃがまいります』(福音館書店)です。

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これには私も胸が熱くなるほどの懐かしさを感じました。何度読んだことでしょう。新宿駅のJRホームの1日を描いたもので、乗客のつぶやきも多く楽しい作品です。
「昔読んでくれた読み方で読んで」というリクエストに、駅の構内アナウンスはそれっぽく、子供の声は少し変なトーンで、フランス人らしき人物の「パルドン」はRをしっかり発音し、二人で懐かしさを噛みしめました。

こんな風に鉄道に乗って、全国を一周すれば、全国都道府県の地名や特産物にも強くなるかも知れないと、少し期待してしまいます。とはいえ、出向くのは大変ですので、ちょうど良い絵本があります。『だじゃれ日本一周』(長谷川義史・さく/理論社)
都道府県を学び始める小学4年生ぐらいからの大人気お話会絵本ですが、なにせ長谷川さんのダジャレと絵です。小さいお子さんでも楽しめます。家族で集まって、描かれている特産品の名前当てっこ、などというのも面白いですよ。

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達磨といえば、もちろん『だるまさんが』(かがくいひろし・さく/ブロンズ新社)シリーズですね。昔ながらの遊びのように「だるまさんが」と言って、ページをめくると、そこには。。。赤ちゃんが大爆笑する、魔法のような絵本です。小さいお子さんがぐずった時のお助けグッズにもなりそうですよ。他にも『だるまさんの』、『だるまさんと』があります。(0歳から)

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鉄道の旅から広がる好奇心の旅には、どうやら終点はないようです。
(Anne)

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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