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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

さよなら、ちびっこカレー。大人の味覚に近づいてきた息子【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.02.27

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


さよなら、ちびっこカレー

大人もそうですが、子どもは特にカレーライスが好きですよね。我が家も息子が離乳食に慣れたころから、お子さまカレーを食べさていました。
なにせカレーならもぐもぐ、もりもり、あっという間に平らげてくれますし、お野菜もお肉も入っているので栄養バランスの面でも安心です。月に2回は夕食にカレーが登場していました。

とはいえ、小さな子ども用のカレーと大人が好むカレーはだいぶ味が違います。お子様カレーでは到底大人は満たされませんよね。なので最初は、私も頑張って息子用と大人用の2種類作っていました。でも早々に手間や洗い物を増やすのは無理と判断して、お子さまカレーに付き合うことに決めました。そうと決めたら大人だってそこそこ満足したい。そんな思いで極上の甘口カレールウを探しまわったわけです。

最初はスーパーやCMなどで見かけるものをあれこれトライしてみましたが、子どもには好評だけれど大人には甘すぎるルウ、あるいは美味しいけれど化学調味料や添加物が気になるルウなど、どれも我が家としては一長一短でした。

ある時、『島おこし 奄美カレー<ちびっこ>』というのを見つけました。トライしてみると、足りないのは辛味だけ。その味に私だけでなく、パパも思わず唸ったのを覚えています。大人はこれに、七味やタバスコ、私の一番はラー油ですが、何かしらのスパイスをかけて調節すれば完璧です。

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我が家の、これがないと困るもの:『島おこし 奄美カレー<ちびっこ>』

以来、ずっと、ずっと、我が家のカレーは『島おこし 奄美カレー<ちびっこ>』に頼ってきました。中身は、玉ねぎと人参の他に、豚小間と南瓜とコーンを入れるのが定番となり、はや9年経ったわけです。

その間に、給食のおかげか、色々なものを食べられるように息子も成長しました。そうなってくると、カレーの出番も、月2回から月1回、月1回から2ヶ月に1回、というように頻度は減ってきます。最近では3カ月も作らないこともありますが、それでも『奄美カレー<ちびっこ>』のファンであり続けました。
ふと、先日、またしばらくぶりにカレーを作ってみました。きっと息子は美味しいと言ってくれるでしょう。そう期待して。

ところがいざ食べさせてみたら、「なあに、これ?ハヤシライス?」と聞かれてしまいました。
我が家の定番カレーのはずなのに、間を空け過ぎたのでしょうか。それだけで味を忘れてしまうものでしょうか。
驚いた私は「ええ!!」と大声を上げ、「カレーよ。カレー!いつもの。ちょっとかぼちゃが少なかったかしら?」と、ともすると息子の味覚を疑わんばかりの勢いで答えましたが、あっさり「や、そうじゃなくて、」と返されました。辛くないから、ハヤシライスかと思ったそうです。

辛くないからって、、、と一瞬思いましたが、給食カレーの中辛に慣れてきた息子は、もはやお子様甘口カレーをカレーとみなさない大人の感覚に近づいてきたのかもしれません。
いよいよこの日が来ましたか。甘口カレー卒業の日。

ふと『カレーライス』という重松清さんの短編を思い出しました。小学3年生まではお父さんの作る甘口カレーを美味しいと思えたのに、4年生になったら中辛でないと、という味覚の成長と心の成長を重ね合わせた少年の物語です。
「4年生になったら中辛のルウ、4年生になったら中辛のルウ」。そう唱えながら甘口カレーのゴールに向かって、『奄美カレー<ちびっこ>』をバトンのように握りしめ、子育てを突っ走ってきましたが、とうとうテープを切ります。

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『カレーライス』を含む短編集『はじめての文学/重松清』(文藝春秋)。高学年にオススメです。

私の息子ももうすぐ4年生。あれだけお世話になったカレールウは、バトンのようにハイと手放すのには思い入れがあり過ぎます。幸い『奄美カレー』は、中辛、辛口もあるのだそうです。早速中辛を注文しました。まだまだ我が家は『奄美カレー』のファンでいられます。
という流れで、読むと思わずカレーを食べたくなる、作りたくなる、そんな絵本をご紹介します。

『ひみつのカレーライス』(井上荒野・さく、田中清代・絵/アリス館)。これは読み聞かせでも人気の、カレーライス絵本の定番です。カレーの種を植えて、カレーの実がなる木に育てるという発想の面白さ!

カレーの実というのも、お弁当箱のように、ご飯とルウと福神漬けがセットになっているものなんです。こんな木があったらなんて便利でしょう!登場人物と同じように口の周りを真っ黄色にして食べたくなりますよ。この作品の昭和な雰囲気もまた、魅力的です。5歳から。

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『ひみつのカレーライス』(今回は、図書館ラベルの上にバレンタインに頂いた手作りクッキーを置いてみました)

カレーといえば、元はインドの方の食べ物です。そのルーツに戻って、本格カレーに触れる『ラージャのカレー』は、表紙からもいい香りが漂ってきそうな絵本です。食欲をそそるあの香り、わかりますよね。

ラージャのカレーはみんなにパワーを注ぎ、元気と幸せをくれるというお話です。小さい子向けの楽しい絵本。こちらも即カレーが食べたくなるので、空腹時は禁物かも。3歳から。

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カレーは何もカレーライスに止まりません。カレーうどんやカレーそば、カレーパンだって身近な食べ物ですよね。近所のパン屋さんの人気商品には、カレーパンマンの形をしたお子さまカレーパンもありますが、ウチの子のために何度買ったことでしょう。

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この『パンどうぞ』(彦坂有紀・もりといずみ/講談社)には、ホクホクのあんぱん、ふわふわのロールパンなどの他にも、カレーパンマンの形こそしていませんが、サクサクのカレーパンも登場します。版画絵のパンはどれもこれも出来たてのようにリアルで思わず手にとって口に入れたくなります。小さい子向けですが、図工で版画制作を始める小学校高学年にも、技法を伝えると驚いて、喜んでくれますよ。

それでは、召し上がれ!!
(Anne)

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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はじめまして、アンヌです

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