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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

偕楽園、臨時駅と梅の花と早春の絵本。息子と梅のお花見【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.03.25

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


偕楽園、臨時駅と梅の花と早春の絵本

お花見といえば桜ですよね。まもなくシーズンです。

でも我が家では一足先に、梅のお花見に出かけてきました。茨城県の偕楽園です。
先月、これを言い出したのは私ではなく、息子の方でした。「そろそろ梅の咲く頃だね。偕楽園に行こうよ。」というリクエストがあり、この子は梅の花がそんなに好きだっただろうかと首を傾げながら承諾したわけです。

でもすぐさま、目的は偕楽園の梅の花のはずはないだろう、きっとあれに違いないと私は思いました。
目下、常磐線にハマってる息子のことです。「スーツくん」という、鉄道マニアのYouTubeもよく見ています。その中で、「偕楽園」という駅は、梅開花のシーズンだけオープンする臨時駅だということを知ったのも最近です。あれに違いない、とはこの臨時駅。是非ともこの臨時駅で降りてみたい、このシーズンを逃すわけにはいかない。そう思って、偕楽園に行こうと言ってきたに違いありません。

というわけで、上野駅に向かい、特急券を購入。お弁当には「チキン弁当」を選んでいるところも、YouTubeの影響でしょう。スーツくんが美味しそうに食べていたシーンがあったのを私も知っています。

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乗車して1時間ほどで偕楽園の臨時駅に到着しました。この珍しい駅を堪能するため、きっと息子はホームにしばらく居たいと言うでしょう。そう思っていると、予想を裏切って、下車後は即、私の手を引っ張り、早く梅を見に行こうと急かしました。私としては、ホームに居るのと綺麗な梅を愛でるのだったら、後者に決まってますから、そういう急かされかたは都合がよく、のんびり好きの私も意欲的に足を早めます。それにしても、この子はそんなに梅の花が好きだっただろうかと、またしても不思議に思うわけです。

さて、入り口付近に着きました。梅の木よりも先に屋台がずらりと並んでいます。団子やらたこ焼きやら、りんご飴やらが、梅の香りとは別の意味でいい香りを漂わせています。
ああ、なるほど、急かされたのはこのためか!そう思って、私は「何か食べたい?お団子?焼きそば?飴?」と聞いてみました。
すると息子は、「や、後ででいい。早く行こうよ!みんな花より団子だね!」と笑って素通りしています。
一度だけ、梅ソフトの前で足を止め、悩んだようですが、やはり後回しにして、意気揚々、という感じで偕楽園の門をくぐりました。「わぁ、きれい!来てよかったね!」

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一面に広がる梅に感動して、早々に花に鼻を近づけています。
どうやら本当に、臨時駅より、団子より、花、だったようです。

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そういえば、息子は毎年早春のムスカリの花を楽しみにしていましたし、よく満開の桜の木の絵も描いています。コブシの花が見たくて探し回ったこともありました。確かに花は好きでしたね。
とはいえ、もちろん団子の方も忘れてません。ちゃんと帰り際に梅ソフトを欲しがりました。私も一口もらいましたが、その美味しかったこと!

さて。花が咲き始めるこの時期に、こんな絵本はどうでしょうか?
『もりのてがみ』(片山玲子:さく、片山健:え/福音館書店)。
これは春を待ちわびる女の子の物語です。冬ごもりをしてしまった森の友達たちに、すみれが咲いたら遊びましょうと一通一通手紙を書いて、もみの木にさげます。もみの木は手紙に飾られてクリスマスツリーのようになり、そして雪解が溶けたころ…。先の見えるほのぼのとした安心の展開で、思わず手紙が書きたくなるような愛らしい作品です。少し長めの物語ですが、3才から。

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『根っこのこどもたち目をさます』(ジビレ・フォン・オルファース:え、ヘレン・ディーン・フィッシュ:ぶん、いしいももこ:やく/童話館出版)。春になり、根っこの妖精たちが目を覚まし、地面の上に出てきて花を咲かし、虫やカタツムリたちと戯れ、また優しいお母さんの待つ土に戻っていくという1年の物語。いのちを感じる温かみのある作品です。なにせ絵が美しいので大人も見入ってしまいますよ。ちなみに、平凡社から出ている秦理恵子さん訳の『ねっこぼっこ』と同じものです。訳者によってニュアンスが少し違いますが、好みだと思います。5才くらいから。

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あと、『くしゃみくしゃみ天のめぐみ』(松岡享子:作、手島龍一:絵/福音館書店)。こちらは絵本というより、読み物です。いびき、おなら、あくび、しゃっくりなどの生理的現象を題材にした短編集ですが、素晴らしいユーモアが展開する品格のある物語ばかりです。私がこの作品を知ったのは、ある図書館の司書さんの素話がきっかけでした。短編の一つ、『梅の木村のおならじいさん』を語ってくださいましたが、おかしすぎて吹き出してしまったくらいです。私もいつか、このお話を語れるようになりたいと思うほど好きです。ホーホケキョとウグイスが鳴き、ほのかな梅の香りが漂うこの季節にぜひ。
読んであげるなら、5~6才からでも。
(Anne)

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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