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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

年に一度の特別なイベント。観客席からの運動会と、走る絵本【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.06.18

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


観客席からの運動会と、走る絵本

今では運動会といえば、春。少なくとも近隣の小学校では、どこもこの時期に運動会が行われるようになりました。
昔のように、秋に運動会を開催する小学校は、10月になっても暑さが厳しい温暖化現象とともに、年々少なくなっているようですし、お弁当準備の負担を軽減するためなどの理由から、午前中のみというように時間短縮で開催という学校も増えているそうですね。これには様々な意見がありますが、運動会というものが全くないフランスでの学校生活を振り返って比べてみると、どういう形であれ、特別なイベントが年に一度あるというのはやはり嬉しいものです。

息子の学校でも、今年は6月の初めに開催を予定して、子どもたちは着々と準備を進めてきました。しかも午後までみっちりのフルコース運動会。お弁当も家族揃っていただく昔ながらのスタイルです。違うのは、春という季節に加えて、校内にシートを敷いて食べるということぐらいでしょうか。
子どもたちもしかりですが、先生方も準備に忙しく、遅くまで学校に残られていたようで、頭が上がりません。

運動会

さて、運動会も間近となると、今年はリレーの選手に選ばれるかしら、などと親は期待してみます。でもそれもつかの間。早々に補欠にもならなかったと息子からの報告が。結局毎年、本人曰く「まあまあ早い方」、補欠の補欠ぐらいの順位にとどまり、サッカーや野球少年のようなスーパーヒーローには、なかなか追いつけないそうです。となると、徒競走の方で活躍するかもしれない。そう思って、私はエールを送ります。頑張れ!

ところがそんな矢先、息子が足首を骨折をしました。
運動会までにはなんとか治るよう願いましたが、なんだかんだで本番に間に合わず、ギブスは外れてもサポーターは巻いたまま。走るのは禁止、踏ん張るのもダメで、足に負担をかけないように、とお医者さまから念をおされてしまいました。なんとか終始見学ということだけは免れて、足の動きが少ない午後の種目、大玉送りとダンスには、幸い参加できることになりました。ダンスは、一番楽しみにしていたようなので、それだけでも息子はホッとしたと思います。

そんなわけで、午前中の徒競走や集団競技は、観客席から私と2人で観戦することになりました。これも滅多にない経験だから、こういう状況も息子に楽しんでもらおうと寄り添いましたが、これが、わざわざ私が力まなくても、自然と盛り上がっていました。お友達の走りっぷりを応援したり評価したり、仲の良いお友達が1等になると大喜び。息子の代役が頼もしいプレーを見せてくれると拍手。確かに、観戦というものも楽しいものです。オリンピックや世界大会も賑わうわけですからね。

そして無事、運動会も終わり、息子はすっきりした様子で、またいつもの学校生活に戻ってゆきました。足の完治も、もうすぐです。

さて、今回は、「走る」絵本です。

『いちばんのーり』(おかいみほ:さく/BL出版)。

いちばんのり

「ごはんむら」の元気な運動会です。徒競走の位置についたのは、卵焼き、納豆、豆腐、醤油、海苔など、食卓の定番食材です。「よーい、どん」でスタート、と思いきや、「よーい、どんぶり」!「めだってはしる たまごやき」、「たまたまはやい たまごやき」、と、食べ物が走り出すとともに、ダジャレがどんどん追いかけます。一頭は海苔!そして次々にゴールに着くと、美味しい朝ごはんがセッティングされるという展開です。古典的な日本の朝ごはんは、とても美味しそうです。でも確かに、朝は徒競走のようにバタバタ慌しいものですよね。楽しい作品です。4歳くらいから。

『うさぎとかめ』(イソップ寓話、ポール・ガルドン:え、さがの弥生:ぶん/童話館出版)。

うさぎとかめ

かけっこ物語といえば、イソップのこれです。かけっこをしようと決めたウサギとカメ。足の早いウサギが油断していると、地道にまっすぐ進んできた亀に追い越されてしまうという有名な物語です。こんな展開は、日常でもよくあり、教訓にもなるので、子どもには是非とも触れてもらいたいお話ですよね。様々なバージョンがあり、選ぶときにはどれにしようか悩むと思いますが、今回は、子供っぽすぎない作品を選びました。このポール・ガルドン版は、抑揚感のある動物画が甘すぎず、語り口も軽すぎず、かといって重すぎず、詩的で文学的です。幼児向けの『うさぎとかめ』が物足りなくなったころにちょうど良いのではないでしょうか。息子にも、また読んで聞かせようかな。お勉強もコツコツやるのが大事だよって。5~6歳から。

最後に、『ようい どん』(わたなべしげお:ぶん、おおともやすお:え/福音館書店)。

よういどん

はじめての「よういどん」にぴったりの可愛い絵本です。表紙では、動物たちが障害物競走のスタート地点に並んでいます。表紙をめくると、そこからはクマさんだけの世界です。クマさんの気持ちにぴったりと寄り添って、よいしょ、よいしょ、と平均台を渡ったり、鉄棒で回ったり、跳び箱を超えてみたり。でもなんだか上手くいきません。それでも大丈夫。がんばって、がんばって、やっとゴールに着けました。一等賞だよ、がんばったね、とクマさんにも、いつもがんばってる子どもにも、拍手を送りたくなるような作品です。最後の裏表紙も見逃さないように。クマさんは、本当は何位だったのでしょうね。1歳半ぐらいから。
さて、我が子。来年は、どんな活躍を見せてくれるか期待して。
(Anne)

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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はじめまして、アンヌです

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