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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

息子との週末。ラビューと秩父長瀞と、川の絵本【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.07.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


ラビューと秩父長瀞と、川の絵本

「久しぶりに電車に乗りたい。」
と、ある金曜日。

しばらく鉄道熱が下火になっていた息子が、週末の計画を考えながら私にこう言いました。

毎週のように乗り鉄をしていたら出費がかさんで大変ですが、久し振りなので、即了解し、早速「西武ラビュー」のダイヤを検索してみます。今年の3月にデビューした、秩父方面行きの新しい特急車両。前々から乗ってみたいとお願いされていたのを思い出したからです。
この車両は、秩父方面行きでは、ニューレッドアロー以来、25年ぶりの新型特急車両です。「今までにみたことのない新しい車両」というコンセプトをもとに世界で活躍する建築家・妹島和世氏が監修して開発されたとのことです。丸い先頭ガラス、大きな客室窓、黄色いソファー。鉄道ファンでなくても乗ってみたくなるほどのデザインではないでしょうか。
「べつに、ラビューじゃなくても、常磐線でもなんでもいいよ」と振り幅を広げる息子の意見に、私は「や、ラビューでしょ」と融通のきかない子供のように答えて、はっとしました。息子に感化されて、やはり私も鉄道の虜になっている?

というわけで、秩父を目指して特急ラビューに乗り込みました。息子は、外からも中からもじっくり新型車両をチェックしてから席に着きました。発車まではまだ少し時間がありました。お昼まではまだ30分ほどあります。子どもは早弁したがるものだと思って、お弁当を息子に渡しましたが、発車してからにすると手をつけません。やたら冷静です。私の方はコクーンのようなソファーシートの座り心地の良さに、ピョンピョンとお尻を上下させたいところでしたが、さすがに大人ですから我慢しました。サイドテーブルや可動枕とか、色々といじりたくもなりました。でもそれも大人なので我慢。私の分のお弁当も開かず、我慢。

ラビュー

出発のベルが鳴って、やっと食べれるとお弁当にかぶりついたのは、息子ではなく私でした。息子に食べるよう促しても、「せっかくだから、まず景色を楽しむ」とのこと。大人は一体どっちなんだろうか。
それにしても確かに息子の言う通りです。大きな窓のデザインにしただけあって、秩父の山奥に入っていくと、景色の素晴らしさがどんどん強調されます。あいにくお天気には恵まれませんでしたが、それでも乗る甲斐があるほどです。山深くなってきたなと思った矢先、急に視界が開けて、西武秩父駅に到着しました。

さて、着いたはいいのですが、何をしよう。ラビューに乗ることだけを考えていたので、秩父の観光プランは全く立てて来ず、私は改札でやや途方に暮れました。息子を見ると、観光案内の地図とにらめっこしています。そしてしばらくして、鍾乳洞に行くなら、芝桜見るなら、長瀞行くなら、などと行き方を教えてくれたので、私はもう、頭を悩まさず、息子についていけば良いや、という気になりました。

今回は時間の関係で、あれこれ観光はせずに、長瀞というところに行くことにしました。
予備知識ないまま、茶店が並ぶ小道を進むと、これまたいきなり視界が開けて、目の前に、川が!
岩畳と呼ばれる大理石のような色合いの岩が重なり合って、川べりを囲い、澄んだ川には水面をスイスイと進む小舟が下っています。これには息子も感激。雨などなんのその、夢中で岩を観察したり、川を見下ろしたりしていました。
また来ようね、今度はあの船に乗ろうねと約束をして、家路についたという、ことりっぷになりました。

川
小舟

さて、絵本です。長瀞の川に感激している息子を見て、思い出しました。本当に小さかったとき、2歳前ぐらいでしょうか、川ブームだった時期がありました。大きな河から小さな川、近所の用水路から境内の流水まで。とにかく水の流れを見るのが好きでした。今回は、その頃に何度も読んだ作品を引っ張り出してみました。

『かわ』(かこさとし:さく/福音館書店)です。

絵本1

1962年に発行されて以来、ずっと読み継がれてきた作品です。雪解け水が川になり、その川が大きな河へと広がり、やがて海にたどり着くという、言わば水の物語です。山あいで材木がいかだに組まれている様子、水が田んぼをうるわす様子、鳥たちが憩い、子供達は川面で遊び、浄水場も設置されているといった、川を取り巻く環境も細かく描写されていて、よく見るとたくさんの発見があります。4歳から。

少し大きくなり、息子が5、6歳の頃に読んだ『日本の川 たまがわ』(村松昭:さく/偕成社)もまた、何度もリクエストされた作品です。

絵本2

これは東京都を流れる多摩川の地理絵本なので、東京に住んでいる息子にとってはより親近感がわく内容でした。奥多摩の源流から始まり、たくさんの小川の水が集まり、流れになる。やがて、ダムを超えて、大きな河となって、東京湾に出るという展開ですが、かこさとしさんの作品同様、多摩川を取り巻くたくさんの生物や乗り物、施設や歴史の説明なども載っていて盛りだくさん。楽しみながら「社会科」に親しめるような作りになっていると思います。小学初級とありますが、年長ぐらいでも。

『あまつぶ ぽとり すぷらっしゅ』(アルビン・トゥレッセルト:さく/童話館出版)。

絵本3

ひとしずくの雨が、小川になり、大きな川になり、海へと繋がっていく様子は、おそらくこの作品が一番小さいお子さんでも無理なく理解できるように描かれているような気がします。絵も美しいし、詩のような韻を踏む文章は、楽しい歌のように子供の心に残るのではないでしょうか。「あまつぶ ぽとり すぷらっしゅ、あまつぶ ぽとり すぷらっしゅ」と繰り返したくなる響きです。6歳からとありますが、3~4歳でも。
と、いうわけで、綺麗な川を見に、ぜひ、秩父へ!
(Anne)

prof2

Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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