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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

お盆は息子と野山の家へ。ヒメマス釣りに成功!そして釣りの絵本【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.08.27

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


ヒメマス釣りに成功!そして釣りの絵本

お盆の時期になると「ふるさと」に子どもと帰省する方もいらっしゃいますよね。「ふるさと」では、子どもは日の出とともに網を持って虫取りに出かけ、おじいちゃんの畑で採れたスイカにかぶり付き、午後は近くの小川に飛び込む。そんな風にのんびり過ごしている、と聞くと、いわゆる「ふるさと」がない私は、とても憧れてしまいます。息子も、そんな夏を毎年過ごせたらどんなに良かっただろう、と。
でも、まあ、我が家は我が家。故郷ではありませんが、今年も、東京の暑さしのぎに野山の家で、それなりにのんびり過ごしてきました。

息子はというと、日の出とともに虫探しに出かけはせず、小鳥のさえずりにも蝉時雨にも目を覚まさず、思う存分朝寝坊をしていました。おじいちゃんのスイカの代わりに、朝市で見つけた桃にかぶりつき、小川に飛び込む代わりには釣りもしました。小川と言っても、一応自然に囲まれてはいるものの、「ふるさと」の大自然には及ばない、やや都会の香りがする環境ですが、それでも楽しいものです。

魚好きでもある息子は、日々釣りがしたい、釣りがしたい、と呟いています。連れて行ってあげたい気持ちはやまやまですが、都会暮らしで、しかも釣りに詳しくない母親の私は、努力をして学ぶのも、竿を持って出かけるのも億劫で、2~3回行ったきりになっています。私が付き添わなくても済むくらいの歳になったら、黙っていても友達と行くでしょう、と先延ばしにしていたところに、釣りのお誘いが来ました。息子は大喜びです。集まったのは10歳男子4人。もちろん、まだこの歳なので、付き添いは必要ですが、お誘いについていくだけでなので私も楽。とにかく良かった。

さて、釣りといっても本格的な川釣りはハードルが高いので、行ったところは人工的な釣り場です。それでもいわゆる釣り堀ほどではなく、自然な環境に近い釣りができるよう整備された小川で、水はとても澄んでいて、川魚も十分、それっぽく狙えるところです。

男子4人は、夢中で釣りを始めると、ちょうど、飽きてくるかこないかぐらいのタイミングで、1人2人と、ニジマスを釣り上げていきました。とはいえ、みんなシティーボーイ。毎日魚に触れているわけではありません。中には魚がピチピチ跳ねるのにおののいたり、触れた時のぬるっとした感じが苦手だったりして大人に助けを求める子もいました。都会暮らしなので無理もありません。もちろん中には、そういう時に大人より早く、「僕がやるっ」と飛んで行って、するっと針を取って、バケツに魚を入れてしまう子もいます。釣りに慣れているひとりでした。そのやりとりがまた騒々しく、やたらとオーバーリアクションですが、男の子ならでは。それがまた微笑ましく、見ていてこちらも楽しくなります。ウチの息子はというと、魚好きが高じて、何としても自分で針を外したい、という思いが強く、頑張っていました。こういうことも、きっと回を重ねれば手際よくできるようになるのでしょうね。

難関のイワナに挑戦していた息子も、三人が次々とニジマスを釣り上げると、イワナは諦め、ニジマスを狙い始めました。すると、やはり、ニジマスは、鈍感なのか、すぐに食いついてきました。パタパタパタ、っと釣り上げて、自分で針を外して、大満足。

ニジマス
ニジマス

他の3人がそろそろ切り上げて、釣った魚を食べようとしている中、息子の方は、やはり難関の川魚を釣り上げたいからと、最難関のヒメマスを狙いに川上に行ってしまいました。
ヒメマスはとても繊細で、人の気配をすぐに察知し、とても簡単には釣れないそうなのです。
きっと、無理。悔しがって戻ってくるでしょう。
そう思って、私は息子をひとり置いて、そそくさと魚を焼く網の前に座って待っていました。
すると、遠くで私を呼ぶ声がします。
何事かと思って駆けつけてみると、竿の先には、なんと透き通るようなヒメマスがぶら下がっています。
おお!やったあ!
息子も嬉しそう。ずっと行きたがっていた釣りで、待望のヒメマスを釣ったのですから、さぞ満足でしょう。
私だったら、ヒメマスなんて、いくら待っても掛からないからつまらないと、すぐに諦めてしまいそうです。よく粘ったと思います。
のんびりとした中で、好きなことをする。こういう機会に忍耐とか、根気とか、要するに諦めない心が育っていくものなのかな、と思いました。

ヒメマス
ヒメマス

さて、その美しいヒメマスですが、焼いて食べるにはあまりにもったいなく、お刺身にして頂きましたよ。

お刺身
お刺身にしたヒメマス

と、いうわけで、今回は、釣りの絵本を一冊。

私が息子に読んでとても好きだったお話で、とても心に残っている『しりたがりやのちいさな魚』(エルサ・ベスコフ:作/徳間書店)です。

絵本

しりたがりやの小魚スイスイは、うっかり人間の男の子に釣り上げられてしまいます。水のない世界に連れて行かれて、さあ困った、という時、男の子の部屋にスイスイの仲間が助けにきます。そのちょっと変わった姿に、こちらの顔も思わずほこびます。そして、素直な男の子はすぐにスイスイを水の中に帰してあげることにしますが、これがまた思いがけないことに…。生き物や子供の姿が自然で、それなのに奇想天外な展開という、なかなかない内容で、長い文でも飽きずにぐんぐん引き込まれてゆきます。素直で、優しくて、愉快な作品。古典ですが、最近はあまり読まれていないような印象があって、もっと知って欲しいという思いで、今回はこの作品だけに絞りました。(5歳ぐらいから)

夏休みはまだあと少し。もうそろそろ学校が恋しくなる頃かな。息子は少しまた根気強くなって、新学期を迎えるのかな。
(Anne)

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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