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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

おすわりを覚えたうちの猫。「次男坊」のしつけと猫の絵本【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.09.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


「次男坊」のしつけと猫の絵本

うちの「次男坊」は、猫です。

うちの「次男坊」タンタン
うちの「次男坊」タンタン

割と人間嫌い。あまり触って欲しくないようです。本人の気持ちが乗らないタイミングで撫でたり抱っこしたりしようものなら、すぐに猫パンチしてくるは甘噛みしてくるはで、夏休み前は私の手足の傷がやたら増えていました。家猫暮らしでは、面白い虫や、狩りたい鳥や、咥えたい子ネズミにも出会えませんよね。たまに、窓際でスズメの気配を見つけては歯をガチガチと鳴らして、捕らえたくてたまらない様子です。でも、家の中にいては捕まえられない。きっとストレスが溜まって仕方がないのでしょう。だからパンチや甘噛みが増えていったのかもしれません。
猫とはいえ、ちゃんとしつけをせねばと思いつつ、家の中という環境が環境だけに不憫に思えてつい甘やかしてしまっていました。

そんな中、フランスに行って、久しぶりに実家の猫に会ってきました。
道端で拾われた気荒いストリート猫で、去勢前には雄猫を飼ってる来客に飛びついて、血だらけにさせてしまったという「黒歴史」もありますが、なぜかその子がすっかり大人しくなっていて驚きました。猫は年とともに性格が変わると聞いたことがありますが、成長したからしょうか。近づいて恐る恐る触ってもパンチしないし、思い切って抱っこしても噛んでもきません。撫でられるのが好きな方ではない筈ですが、じっと我慢してくれます。
大きなあくびをすると、錐のように鋭い牙がひときわ目立ってドキッとしますが、凶器として使うこともなく、ご飯を要求するときだけダミ声で「ミギャーゴ!」と一言鳴くだけです。大人しいものです。そして、ちょうだいちょうだい、のポーズをします。賢いものです。この猫は、ご飯をあげるとき、フランス語で「アッシ!(おすわり)」と言うと、犬のようにしっかりとお座りもします。感心しました。

実家
実家の「ストリート」猫と妹の子。触られてもじっと我慢しています。

そういえば、実家の猫は三代に渡って、みんなこの「アッシ!」ができていました。1代目のアメショもどきは賢かったので、できて当たり前。2代目のおっとり美人も問題なくできました。3代目のストリート猫だって、こんな感じでお行儀が良いものです。
ところが、ウチの「次男坊」ときたら、お座りなんて、まるで無理。最初こそ「アッシ!」「アッシ!」としつけてみましたが、出来たしつけはトイレのみで、結局それでよしとすることにしていました。
でもこうして改めて実家のストリート猫のお行儀を見ていると、やはりトイレ以外にもきちんともう一度しつけをしてみよう、そうすれば私のことも少しはリスペクトしてアタックしてこなくなるかもしれない、と思うようになり、帰国早々、再び「アッシ!」を試みました。お尻を床につけさせて頑張りましたが、やはり、難しい。
すると、それを見兼ねた「長男」の息子がやってきました。
「フランス語じゃ、分かんないよ。日本語で言わないと」と提案してきます。
猫に母国語も外国語もあるものか、と思いましたが、否定しきれず、じゃあとばかり、日本語で、「おすわり!」と命じてみました。すると、3回目でしっかりおすわりをするではありませんか!しつけができた喜びで、私の持ちうる限りの高くて甘い声でウチの猫を褒めまくりました。それが伝わったのか、猫の方もとても嬉しそうな穏やかな表情を浮かべてくれました。母国語で言うのが正解だったのかどうかはさておき、今ではすっかりおすわりが得意になりましたよ。

それから、しばらくして、うちの猫を連れてお盆のころに山小屋に行きました。そこでは、ネズミや鳥を捕らえるほどの贅沢はできませんでしたが、古い家の隙間からは様々な虫が入ってきてくれて、それをいじったりくわえたりと、「次男坊」にとって至福の時を過ごしていました。これでストレス発散できたのでしょうか。猫パンチも甘噛みも、その間は全くしませんでした。
子どもと同じですね。しつけも大事。しつけの仕方を工夫するのも大事。そして、環境も。
というわけで、以前にも数冊ご紹介しましたが、再び、猫の絵本をご紹介します。

『アンガスとねこ』(マージョリー・フラック:さく・え/福音館書店)

アンガスとねこ

スコッチ・テリアの子犬、アンガスが主人公のシリーズ第2作目。好奇心旺盛なアンガスは、今度は猫を追いかけます。構って欲しくてたまらないアンガスを、猫がツンデレのごとく振り回します。その犬と猫のやりとりがとても表情豊かで可愛らしく、また、思わずクスリと笑ってしまうシーンもありで、味わい深い傑作です。アンガスをちょっとなめてる感じの猫の様子がたまりません。瀬田貞二さん訳の日本語が丁寧で綺麗です。4歳から。

『ねこってこんなふう?』(ブレンダン・ウェンツェル:さく/講談社)。

ねこってこんなふう?

最近私がたまたま図書館で見つけた作品ですが、大人でも面白いと思える、想像力を掻き立てられる絵本です。様々な生き物の視点に立って猫を見たところ、こんな感じ、というのが描かれています。例えば、子どもから見ると、目が大きくて可愛い表情。犬から見ると、手足長くて身軽そう。ネズミから見ると鬼のようで、ハチから見るとスーラの点画のよう、というように。1ページめくるたびに驚きがあって楽しく、また、みんなそれぞれの視点があって面白い。様々な意見があって、それが良い。そういうようなことが当たり前として、小さいうちから感じることができそうな、素晴らしい科学絵本です。4歳ぐらいからでも。

最後に、『ルドルフとイッパイアッテナ』(斎藤洋:作/講談社)シーリーズを小学生のために。

ルドルフとイッパイアッテナ

これは絵本ではなく読み物ですが、斎藤洋さんの作品はどれもこれも息子にとって面白くて仕方がないようで、この夏一気に読み上げたこのシリーズも、クスクス、ゲラゲラ、と笑い声を出しながら読みふけっていました。東京に出てきた黒猫ルドルフが主人公の物語です。ボス猫のイッパイアッテナと出会い、愉快なノラ猫生活が綴られています。2作目の『ルドルフといくねこくるねこ』、3作目の『ルドルフともだちひとりだち』と続き、『ルドルフとスノーホワイト』の4巻まで今のところ出ています。人生において大切なことが、さらりとしたタッチでそこここに散りばめられているので、小学生だけでなく、大人にもオススメしたくなる傑作です。
それでは、また。
(Anne)

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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